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2-1 バカと試験とお友達

【悲報】ワイ、試験当日に寝坊する


◇1:名無しの元引きこもり

 草


 2:名無しの転生者

 でたわね


 3:名無しの転生者

 なにわろてんねん


 4:名無しの転生者

 寝坊はいかんでしょ


 5:名無しの転生者

 退学RTA始まったな


 6:名無しの転生者

 まーた引きこもりに戻るのか


◇7:名無しの元引きこもり

 入学式まで何もないと思って油断してたわ


 8:名無しの転生者

 ワイなんか初出勤の日に寝坊したし気にすんな


 9:名無しの転生者

 試験って何? 前スレでそんなこと言ってなかったけど


◇10:名無しの元引きこもり

 >>9

 入学式の前にクラス分けの試験があるんや。内容が簡単に言うと「なんでもいいから得意な魔法見せろ」ってやつ。その結果でAからEまでクラスを分ける。


 11:名無しの転生者

 ん?

 

 12:名無しの転生者

 分かりやすいけど雑な試験やな


◇13:名無しの元引きこもり

 ほんで試験あるの知らんかったからずっと寝てたんや。隣の部屋のフレッド君が叩き起こしてくれてギリギリ遅刻はせずに済んだんやけど、試験対策何もしてへんねん。試験内容もフレッド君にたった今教えてもらったばっかやし。


 14:名無しの転生者

 誰だよフレッドって


 15:名無しの転生者

 フレッド君に迷惑かけるなよ


 16:名無しの転生者

 対策って何を対策するんや?「得意な魔法見せろ」って言われて困ることある?


 17:名無しの転生者

 魔法チートもってるんだから、魔法ならなんでもええやろ


◇18:名無しの元引きこもり

 >>17

 選べる魔法が多すぎて逆にパニクるんや。食べ放題行ったら何から食うか迷うあれと同じ。


 19:名無しの転生者

 は? オレは迷わず肉を選ぶが?


 20:名無しの転生者

 僕は大トロ寿司!


 21:名無しの転生者

 適当に派手な攻撃魔法撃てばいいじゃん、見た目にも分かりやすいし


◇22:名無しの元引きこもり

 >>21

 いや攻撃魔法とか危険が危ないやろ、人に当たったらどうすんねん。


 23:名無しの転生者

 もっと危ない魔法人に使ってただろ


 24:名無しの転生者

 他人の記憶を吹っ飛ばす魔法はOKなの草


 25:名無しの転生者

 てか誰か試験あるって教えてやれよ……こいつ何も知らんやん


◇26:名無しの元引きこもり

 >>25

 そういや校長がそれっぽいこと言ってたような……

 めんどくて話聞いてなかったわ。

 フレッド君も「練習しといた方がいいよ」とか言ってたけど意味わからんからスルーした。

 まさかあれ試験の話やったんか……


 27:名無しの転生者

 うーんこの


 28:名無しの転生者

 話聞いとけ


 29:名無しの転生者

 フレッドも苦労するな……


 30:名無しの転生者

 イッチのマッマが解放されたと思ったら今度はフレッド君が犠牲者に……


 31:名無しの転生者

 じゃあ今まで何やってたん?


◇32:名無しの元引きこもり

 >>31

 普通に引きこもってたけど


 33:名無しの転生者

 は?


 34:名無しの転生者

 元引きこもりじゃないじゃん


 35:名無しの転生者

 引きこもる場所が変わっただけじゃねーか!


◇36:名無しの元引きこもり

 アカン、お前らがグダグダしてるせいでもうすぐワイの番や! どうしてくれんねん!


 37:名無しの転生者

 人のせいにすんな


 38:名無しの転生者

 お前が寝坊したせいだろ


◇39:名無しの元引きこもり

 しゃーない、もうお前らが魔法決めろ>>45な


 40:名無しの転生者

 ライブ感で生きてるなコイツ


 41:名無しの転生者

 もう何でもいいやんテンプレみたいにクソデカファイアーボールでも撃ってろよ


 42:名無しの転生者

 風魔法で女の子達のスカートめくる


 43:名無しの転生者

 水魔法で女の子達を濡れ透けにする


 44:名無しの転生者

 その場で自爆する


 45:名無しの転生者

 校長に忘却魔法リベンジ


 46:名無しの転生者

 【隠形看破】で試験場のハゲ全員看破


 47:名無しの転生者

 決まったな


 48:名無しの転生者

 ロクな提案なくて草


 49:名無しの転生者

 また記憶消去か、校長とのリターンマッチやな!


 50:名無しの転生者

 得意な魔法見せろって言われて他人の記憶消すの冷静に考えてヤバすぎないか


 51:名無しの転生者

 そもそもどうやって評価するんや?


◇52:名無しの元引きこもり

 >>51

 校長も試験官やからとりあえず試験官全員に撃ってみる。

 その身を以ってしてワイの魔法を評価させたるわ。


 53:名無しの転生者

 犠牲者が増えた……


 54:名無しの転生者

 試験官というより被験官だな


 55:名無しの転生者

 つーか忘却魔法って犯罪じゃなかったの?


◇56:名無しの元引きこもり

 >>55

 校長が犯罪だからもう使うなよって言うてたけど、見せる魔法はなんでもいいとも言うてたし大丈夫やろ


 57:名無しの転生者

 ほんとに大丈夫か?


 58:名無しの転生者

 まぁなんでもいいなら大丈夫やろ、多分。


◇59:名無しの元引きこもり

 あ、やべっ、また話聞いてなかった。もう試験官に呼ばれてたみたいだからさっさと行ってくるで!


 60:名無しの転生者

 いってら


 61:名無しの転生者

 がんばれ


 62:名無しの転生者

 逝ってこい


 63:名無しの転生者

 逝くのは試験官の記憶だぞ


 64:名無しの転生者

 あれ、そしたら試験どうなるの?


 65:名無しの転生者

 あっ


    ◆


 クラス分け試験を終えて、僕──フレッドはほっと息をついた。


「はぁ……緊張した……」


 試験の指示は、やけに大雑把だった。「得意な魔法を一つ見せろ」。それだけだ。簡単に聞こえるのに、いざ自分の番が近づくと、心臓が妙にうるさかった。


 僕が披露したのは、村を出発する前に魔法庁の職員さんに教わった初歩の魔法だけだ。


【照光】(ライト)


 ぽん、と手のひらの上に小さな光が灯る。それで終わり。試験官が頷いたのを確認した瞬間、膝の力が抜けそうになった。


 周りの貴族たちは、まるで祭りの演目みたいな魔法を次々と見せていた。燃える鳥、氷の刃、雷の槍。僕の光は、その派手さの中に放り込まれると、虫も寄ってこなさそうな豆電球みたいに見えた。


 ……場違いだ。視線が刺さる。笑い声も、確かに混じっていた。


(消えたい……)


 そんなことを考えかけたところで、試験官の声が響いた。


「では最後、エイン!」


 ……返事がない。


「エイン! いないのか!?」


 ざわ、と空気が揺れる。嫌な予感のまま隣を見ると、エイン君は腕を組んだまま俯いていた。目は

半開き。完全に別世界だ。


「ちょっ、エイン君! 呼ばれてるよ!」


 僕は慌てて肩を揺すった。


「ゔぇあっ!? えっ!? 何!?」


 飛び起きた彼は、目をぱちぱちさせて前を見た。数日前に隣の部屋に入ってきたばかりの彼は、同じ平民のはずなのに、どうにも感覚が噛み合わない。練習に誘っても「面倒くさい」で終わったし、試験の話をした時も、今日初めて聞いたみたいな顔をしていた。


「次、エイン君の番だよ! 行って!」


「えっ、もう!?」


 ふらふら立ち上がり、前へ出る。それを見て、試験官が苛立ちを隠した声で言った。


「使う魔法を宣言して、行使しなさい」


「あっ、じゃあ忘却魔法を使います!」


 一瞬、空気が止まった。視線が一斉に、エイン君へ集まる。


「……今、何と?」


 確認するような声が上がるより早く、校長が反射的に魔法を展開した。試験官たちの前に、半透明の膜が張られる。


 それでもエイン君は気にした様子もなく、両手を軽く前に出した。


【記憶消去】(メモリーイレース)!」


 青白い光がふわりと広がった瞬間、僕は体の奥が冷えた。なんだこれ……ただの魔法ってレベルじゃない。空気がピリついて、肌がざわつく。これ、人に向けてセーフなやつ?

 光が防御膜に触れた。止まる──と思ったときには既にすり抜けていた。

 校長の抵抗虚しく魔法は着弾し、試験官たちの動きがぴたりと止まる。目は開いているのに焦点が

合っていない。虚空を見つめたまま、呼吸だけが続いている。その姿は、魂が抜けた人形そのものだっ

た。

 ……うん、アウトだろう。


「よっしゃ、効いたぜ!」


 エイン君はなぜか無邪気にガッツポーズした。


「……あのときのお返しだ!」


 新入生たちが固まる。僕も固まる。理解が追いつかない。


 やがて、試験官たちの目にゆっくり光が戻った。ぎこちない動きで紙をめくり、さっきまでの流れを続けようとする。


「ではまず、アナベル・フォートハイム!」


 それは、最初に試験を受けた女子生徒の名前だった。


「えっ、私ですか!? でも、私、もう……」


「……あっ、やべっ」


 数瞬のあと、エイン君が小声でつぶやき、顔をこわばらせた。その表情からは、彼が状況の深刻さに気づいたことがうかがえた。


 その様子を見て、僕も遅れながらようやく事態を理解した。彼の魔法のせいで、試験官たちの記憶が消えてしまい、試験が振り出しに戻ってしまったのだ。


 それはつまり、試験が終わるどころか、僕たちが必死でやったあの試験そのものが、最初から無かったことになる、ということで――。


 ……え、じゃあこの後……どうなるの……?

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