探検
翌朝、ユイが目を覚ますと魔導師の姿はカウチにあった。
こんなに大きなお屋敷なのに、ここで寝ているのだろうか。ユイの気配に目を覚ましたのか、起き上がると部屋を出て行ってしまう。
代わりにメイドがやってきて大きな窓にかかる布を両側の柱にくくりつけ、机とテーブルを拭き、朝食の準備をし始める。
下働きどころか、人らしい人はこのメイドだけだ。どうやら人ではないらしい。にこりともしないし、話もしない。この魔法のメイドさんが全てやってしまう。
ユイは困った。
魔導師様の家にいられたら、何かしようと思っていたが、何もやることがなさそうだ。
さらに、また新しい服が用意されていることに気付く。手早く着替えると顔を洗いに昨日の風呂場へ向かう。
廊下からドアを開けると、浴室からは水音がしている。ユイは急いで顔を洗うと風呂場を出た。
メイドがいつの間にやら来ていて、タオルを渡してくれる。
「いま、魔導師様、お風呂?」
メイドは何も言わずにタオルを受け取ると、廊下を歩き出した。
見送りながらユイは少し考えた。
とにかく屋敷を探検しなければ! ユイは二階の部屋を次々に制覇した。大きなベッドがある寝室があり、不思議に思う。ほとんど使われている形跡がない。いつもカウチで寝てるのかな。
書斎以外も本がたくさん置いてあった。
衣裳部屋もあった。奉公先ほどではなくても、充分に大きなお屋敷だ。使っていない部屋もたくさんある。掃除はいきとどいていた。家具などには布がかかっており、使われていないお屋敷のようだ。
昔は、お客様とか、家族がいたりしたのかな。そのくらいの部屋はある。一人で暮らすには、広すぎるお屋敷だ。
一階は少し大きめな調理場と、大きな暖炉のある居心地良さそうな居間と、使われていない広間があった。調理場の地下に井戸がある。
広いけれど、人がいない。
とても静かで、雪の降る音が聞こえてきそうなほどだ。
魔導師に喜んでもらうには、どうしたらいいんだろう?




