第3話:透視魔法でSNSトラブル解決
朝、教室に入ると、生徒たちはざわついていた。スマホを手に持ったまま、互いに画面を見せ合い、ひそひそ話をしている。
「今日もSNSが荒れているな……」
司は小さく呟き、机に座る生徒たちを観察する。
数日前に一部の投稿が炎上し、クラス内で微妙な空気が流れていた。
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「これは……心の中の“凍結”とはまた違う。情報の渦で生徒の心が混乱している」
司は目を閉じ、透視魔法を発動する。魔力の光が目に見えない糸のように、教室内を巡る。誰が情報を広め、誰が被害者なのか、瞬時に把握する。
魔法の力で、スマホに触れている生徒の心理状態や投稿の意図が、脳裏に映像のように浮かぶ。
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「なるほど……原因は、この男子生徒だな」
司は指さしもせず、静かにその生徒に近づく。
声をかけると、男子生徒は驚いた顔で司を見上げる。
「え、えっと……先生?」
「投稿の内容、少し配慮が足りなかったな。皆が不快になった理由を考えてみろ」
司は魔法を使って心理的に「気づきの光」を与える。生徒は頭を抱えつつも、徐々に反省の表情に変わる。
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クラス全体に魔法を巡らせ、炎上の渦に巻き込まれていた生徒たちの混乱を鎮める。
スマホの画面を見るだけではわからなかった、互いの気持ちのすれ違いが、魔法の力で見える化された。
女子生徒の一人が小さく呟いた。
「司先生……なんか、わかる……」
司は微笑む。異世界で学んだ「相手の心を読み取り、正しい行動へ導く教育」が、ここでも生きている。
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授業後、司は校長室で今日のことを報告する。
「クラス内のSNSトラブルを、透視魔法で整理しました。生徒たちは少しずつ自覚しています」
校長は頷き、窓の外を見つめる。
「なるほど……この力、表立って使うだけでなく、こうして教育に応用できるのですね」
司は微かに笑った。
異世界残滓はまだ影を潜めているが、現代社会で生徒たちの心を守る力を確実に持っている。
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教室の帰り道、生徒たちの小さな笑顔が目に入る。
スマホに振り回され、疲れ切った顔だった子も、少しずつ元気を取り戻していた。
「……この世界でも、命と心を守る戦いは続く」
桜の花びらが風に舞う中、司は次の課題に思いを巡らせる。
この世界の戦場は、剣や魔法だけではなく、心の中にあるのだ。




