第13話:残滓の覚醒、異世界力の暴走
放課後の校庭は静まり返り、夕日に照らされて赤く染まる。
だが、その赤に紛れて、赤黒い影がゆらりと揺れていた。
「……これは、ただの残滓ではない」
司は一歩踏み出すたびに微細な振動を感じ、魔力を集中させる。
異世界の残滓が、今まさに覚醒し、暴走し始めている。
手をかざすと、透視魔法が影の内部を可視化する。
影は分裂し、無数の小さな残滓が広がり、校舎周囲に不規則な波動を放つ。
「……この力は、想定以上だ」
司は戦闘魔法を展開。赤黒い残滓が攻撃を仕掛けるたび、光の盾で防御し、同時に反撃の光弾を放つ。
衝撃で砂埃が舞い、校庭に影を落とす。
だが、残滓は司の魔力に反応し、分裂しながらより広範囲に動く。
司は心の中で戦況を解析し、戦闘魔法と心理誘導を組み合わせる。
「生徒に被害は……絶対に出さない」
校舎の窓からは、生徒たちの心の揺れが見える。恐怖、驚き、そして少しの勇気。
司は透視魔法で生徒の心理を操作し、影響を最小化しながら、残滓の力を押さえ込む。
影の中心に光を集中させると、残滓の暴走は徐々に制御下に入る。
しかし、その力の片鱗だけでも、校舎の一部が軽く揺れ、異世界の力の恐ろしさを見せつける。
司は汗をぬぐい、深呼吸をする。
今日の戦闘で、現代での魔法制御の限界と可能性を再認識した。




