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第1話:「異世界帰りの教師、現代高校に降臨!

 朝の光が校庭の桜を淡く照らす。司は駐車場で立ち止まった。


「……ここが、現代の学び舎か」


 異世界では剣も魔法も自在だった。戦場を駆け、民を教育し、魔物と戦い、すべてを統べてきた。しかしこの世界では、手にしたスマホも鍵も操作に戸惑う。


 鍵を取り出そうとポケットに手を入れたが、スマホと絡んでゴチャゴチャになった。思わず小さく息を吐く。


「……これが現代式の鍵というやつか」


 背後から静かな足音が近づく。振り返ると、柔らかい笑みを浮かべた校長が立っていた。


「司先生、初日ですね。ようこそ我が校へ」


 司は軽く会釈した。校長は理解者だ。異世界での経験を唯一理解してくれる存在。


「……校長。こちらの世界には、魔法というものはない、と聞いたが」


「物理的な魔法はありません。しかし、先生の“特殊な力”は、現代の学び舎でも活かせると聞いています」


 司の瞳が一瞬光った。理解者がいるだけで、心が落ち着く。



---


 教員室に入ると、若い先生たちが書類の山に囲まれ、忙しそうに動き回っていた。


 司も書類のフォルダを手に取るが、開け方がわからない。思わず魔法で浮かせると、紙が空中でふわりと舞った。


「……司先生?」


 同僚の声に慌てて手を振る司。


「いや、失礼。これは……単なる書類整理の補助だ」


 校長は苦笑しつつもうなずく。理解してくれている。



---


 教室のドアを開け、司は生徒たちの顔を見渡す。スマホに夢中な生徒たちの表情は、異世界の戦場よりも複雑だった。戦いは剣や魔法だけでなく、心の中にも潜む。


「皆、今日は新しい教師の紹介だ。名前は……司。よろしく頼む」


 生徒たちは一斉に視線を向けるが、興味は薄そうだ。


「……これは、氷の壁のようなものだな」


 司は心中で呟く。異世界で人々の心を開いた経験を、この世界でも活かせるはずだ。



---


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