1.はじまり
私、河野ひより。普通の女子高校生。
平凡な日々に少し退屈さを感じている。
「おはよー」
私が教室に入ると一斉にみんながこちらを向き、
「おはよー」
と声を返してくれた。
つまんない。
毎回私に媚びを売ったり、気を引こうとしたり、インスタに勝手に私の写真をアップしたり。
私はつまらない同じクラスの生徒が嫌いだ。
「何か面白いことないかなあ」
ぽつりとつぶやいた私の声は誰の耳にも届いていなかった。
…………1人を除いて。
『ガッシャーン!!』
突如多くのガラスの破片が私の頭に降り注ぐ。
「いたっ!」
血が出ている。やばい…これって病院行かなくちゃいけないやつじゃん
私は犯人をちらっと見ると、
そこには藤田透がいた。
「はっ。面白いこと望んでたんだろ?どーだよ楽しいか?」
こいつは入学式に校長を殴った不良で、孤立している。
「ちょっと謝れよ藤田!」
「そーよそーよ!」
次々と私の取り巻きA、Bがここぞとばかりに声を張り上げる。
けれどそんな声は私の耳には届いてなかった。
私は、
ただ藤田だけを見ていた。
こんな体験、はじめて。
自分の血がみえる。血の匂いがする。私は今藤田に暴力されたのに、なんでこんなにも…
こんなにも心臓が高ぶるのだろう?
藤田という存在が気になり始めたのは、この日からだった。