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ある あたたかい ひ

 なぜだ。

 なぜなのだ。


 守ってやっているというのに、なぜ挨拶の一つもしないのだ。

 新たに守るべきものが来ているのに、そのものは我に挨拶一つない。

 守っているのだ。守ってやっているのだ。

 矮小なものが平穏を過ごせるよう、守ってやっているというのに。

 確実に増えているのは分かっている。

 なぜならば、我はここを守るべき存在だからだ。

 腹内に宿るものを押さえつけ、日々守ってやっているというのに。


 なぜだ。

 なぜなのだ。


 場所が分からないのか。

 いや、分かるはずだ。

 かつて分からなかったものなどいなかったし、そのためにこの高い場所にいてやっているのだ。

 そう、ここは高いから、一番把握しやすい。

 だからこそ、そう、だからこそ、分かる。


 新しいものが、増えている。


 出ていくものは仕方がない。

 去る者追わず、来るもの拒まず。

 そうせよ、と命じられ、お願いされたからこそ、そうしてきたというのに。

 だからといって、来るものがそのまま何もしないのは、違うのではないか。


 我は敬うべき存在ではないのか。

 我は頭を下げられる存在ではないのか。


 守ってやっている、守ってやっているというのに。


 怒りを訴えているのにもかかわらず、その意図を理解できていないのも腹立たしい。

 我の声を聴けるものもない。

 そのくせ、守護の恩恵だけは授かろうというのか。


 腹立たしい。


 我は待ってやった。

 警告もしてやった。

 それなのに、どうして何も動かぬ。

 それどころか、我を排除しようとするか。


 なぜだ。

 なぜなのだ。


 この繰り返される疑問に答えるものもない。

 守ってやっている、守ってやっているのだ。


 なぜだ。

 なぜなのだ……。

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