日陰の妖精 第3話
あれから1週間が経った。お嬢様の誕生日がやって来た。あたいは赤いリボンを持って温室へと向かう。お嬢様の部屋に赤い薔薇を渡して本当の事を言うためだ。あたいがいつも薔薇の花を飾ってたって。赤いリボンはあたいのだって。お嬢様が好きだったって伝えれば妹の件考え治してもらえるかもしれない。
そう思って温室の扉を開ける。
「あら、お里じゃない。」
温室の中にはお嬢様がいた。
「お嬢様。おはようございます。朝からどうされました?」
「薔薇に水をあげに来たの。」
お嬢様は赤い薔薇の花が好きで自分でも育てている。
「お里は?」
薔薇の花を摘みに来たのだ。今お嬢様に打ち明けよう。
「あのお嬢様。部屋に飾ってある薔薇の花ですが」
あたいはメイド服のエプロンのポケットから赤いリボンを取り出す。
「あら、それ妖精さんのリボン。分かったわ。妖精さんにリボンを返しに来たのね。」
お嬢様、その妖精さんあたいなんです。そう言おうとするが言葉が出ない。
「今日はお誕生日会なのだから新作のドレスを着るの。妖精さんにリボンを返したらわたくしの部屋に来て。」
お嬢様は温室を出て行こうとする。
(お嬢様?!)
あたいは見たお嬢様の手袋に土がついているのを。あたいはお嬢様が育ててる赤い薔薇の花壇へと急ぐ。持ってきた手袋をつけて薔薇の花をかぎ分ける。
「やっぱり!!」
お昼頃にはお嬢様の女学校の娘達は集まった。お嬢様にドレスを着せると次はお菓子やお茶の準備だ。お嬢様が贈り物を受け取りピアノの演奏をする間あたい達女中は慌ただしく働く。お嬢様の周りの娘達は贈り物を渡す。お嬢様も周りの娘も笑顔だ。
「それでは宝探しをしましょう。」
お嬢様の一言で目的の宝探しが始まる。あたいと同い年の少女達は散り散りになってカードを探しに行く。
「お里」
あたいが片付けをしているとお嬢様が話しかけてくる。
「わたくし、紅茶が飲みたいわ。」
「はい、お嬢様。」
あたいは一度台所に戻り紅茶とお菓子を用意する。外からは少女達がカードを探す声が変身聞こえてくる。
(そうだ!!)
あたいはとある事を思い付いた。
あたいは直ぐさまお嬢様にお茶とお菓子をお出しすると自分の部屋に戻る。母の形見の振り袖を着て髪には赤いリボンを付けて温室へと向かう。
カードがあったのはお嬢様の好きな赤い薔薇の花壇だ。
「いたっ!!」
花壇には先客がいた。赤い振り袖の少女だ。参加者の1人であろう。
「大丈夫?」
彼女の指から血が出ている。棘がささったのだろう。
「血出てるじゃない。」
あたいは帯の中から持ってきたハンケチを取り出して彼女の腕に巻く。
「しっかりしなさい。薔薇の花には棘があるのだから。」
「ありがとうございます。でもカードを探さなくては。」
カードはまだ見つかってない。
「カードはここにはなかったわ。それより時間は大丈夫?」
「そうね、貴女も行きましょう。」
あたいは落とし物があると嘘付いて先に行かせた。赤い薔薇の花壇を再び漁る。
「あったわ!!」
花壇の奥の薔薇の茎の中に白い封筒が挟まっていた。




