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温室の妖精  第3話

 私はカードを見つけることができずに春江様の待つお屋敷に戻りました。

「ではカードを見つけた方提出して下さい。」

 春江様が答え合わせをします。

「はい。」

最初に手を挙げたのは美令さんです。

「こちらはウサギ小屋の裏に貼ってありました。」

美令さんは春江様にカードを見せます。

「ウサギ小屋の裏なんて気付かなかったわ。」

「もっとよく見ておけば良かった。」

広間には後悔の声が響き渡ります。さすがは几帳面な美令さんです。

「では美令さん、封筒を開けて下さい。」

美令さんが春江様の妹になってしまうのでしょうか?

封筒を開けるとすみれのカードが出てきました。美令さんがカードを開き中身を確認すると私達の方に見せます。

そこには何も書かれていませんでした。

「他にカードを見つけた方いますか?」

「はい。」

次に挙手したのは桜の木をよじ登っていた少女です。彼女は別の教室なので詳しくは知りませんが体育の授業で運動場を先頭で走ってる姿を見かけます。運動神経の良い娘なのでしょう。

「私は桜の木の枝の間に見つけました。」

封筒の中を開けると桜のカードが出出来ました。こちらも中身は何も書かれていません。

メッセージの書かれてたカードは薔薇のカードが当たりだったのでしょう。

「では最後のカードを持ってる方はいらっしゃいますか?」

春江様の問いの後沈黙が続きます。薔薇のカードは見つからなかったのでしょう。

「残念ですわ。誰も見つけて下さらなかったなんて。」

 その日はそれでお開きとなりました。 

「あの春江様、薔薇のカードはどちらに隠されたのでしょうか?」

私は帰り際にそれとなく尋ねてみました。 「薔薇の温室よ。赤い薔薇の花の茎の間。」

その場所は私がカードを探しに行った場所でした。

「あの、私そこに行ったのですが。」


 

 私達は薔薇の温室へと向かいます。春江様は白い手袋をして薔薇の茎の周りを調べます。しかし何も出てきません。

「おかしいわね、確かにここに隠したはすまなのに。」

私は先ほど温室で出会った少女の事を思い出しました。

「あの、私温室で桃色の振り袖に赤いリボンをした少女と出会ったんです。薔薇の棘が刺さって手当てまで。」

私はハンケチを見せます。

「桃色の振り袖。そんな娘今日はいなかったわ。」

「でも。」

その時温室の木の下に赤いリボンが落ちてるのが見えます。

「まあ、まただわ。」

温室ではよく赤いリボンが落ちてるのを見るそうです。その日に限って春江様の部屋の花瓶に赤い薔薇が一輪飾られてるそうです。

「妖精の仕業かしら?」

春江様は冗談を言うように笑ってらっしゃいます。ですが私は冗談に思えません。先ほど温室で出会ったのは薔薇の妖精でメッセージの書かれてカードを持っていったのでしょう。春江様の隣は平凡な私よりもあの妖精のが相応しいのでしょう。

 私は春江様とメイドの女の子に見送られ屋敷を後にしました。

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