第90話 希望
◆ テノハ ◆
そこは、森に囲まれた静かな町。
日没前にアルジたちは到着する。
ひっそりと建ち並ぶ家々。
アルジ(この町にマスタスが…)
エミカ(それらしい魔波は感じないけど…
ばったり出くわさないといいな…)
アルジたちは町の中を歩く。
小さな弁当屋を見つけた。
そこで夕食を買う。
さらに、町の中を歩く。
ミリ(本当に静かな町…)
リネ(マスタスはこの町で魔術の学校を…
どうして…?)
日が沈み、辺りは暗くなっていく。
すれ違ったのは、数人の農夫だけ。
アルジたちは町の外れに小さな宿を見つける。
リネ「…今日はここで休みましょう。
疲れをとって、明日に備えましょう」
アルジ「ああ」
エミカ&ミリ「はい」
受付を済ませ、部屋に入る。
空いていたのは1部屋。
狭い部屋に4人分の布団が畳まれている。
その宿は古く、傷んでいた。
床には大きなシミ。
戸には無数の小さな傷。
そして、壁には太いひび割れ。
アルジたちは小さな座卓を囲み、食事をとる。
誰も何も話さない。
ただ弁当を食べる。
リネ「やだな…」
エミカ「…え?」
リネ「これじゃまるでお葬式」
リネは笑う。
だが、ほかに誰も笑わない。
アルジも、エミカも、ミリも。
明るい口調でリネは続ける。
リネ「食事が終わったら、
魔術の特訓を始めましょうか」
アルジ「特訓…」
リネ「そうです。アルジさん。あなたの…」
アルジ「オレのか?」
リネ「魔術を教えてくれって言ったでしょう」
アルジ「…ああ。確かに。
でも、今日じゃなくても…」
リネ「今日だからしなきゃ」
アルジ「リネ…それはどういう…」
ミリ「いいね、やろう」
リネ「決まりだね。
ミリもエミカも手伝ってくれる?」
ミリ「はい、手伝います。
アルジ、ビシビシやるからね」
アルジ「…ああ」
エミカ「………」
リネ「さあ、エミカも」
エミカ「…はい。でも、どうしてこんなときに…。
だって、明日は…」
リネ「私だって、明日のことを考えたら、
気持ちが張り詰めて、くたびれてしまいそう。
そんなときだからこそ別なことをやれば、
少しは気が紛れて心が落ち着くと思わない?」
エミカ「………」
アルジたちは食事を終える。
空になった4つの弁当箱。
部屋の隅のくず入れに入れる。
リネは座卓を湿らせた布で丁寧にふく。
リネ「さあ、アルジさん。ここに手を」
座卓にアルジは両手を乗せる。
リネ「手のひらを上に」
アルジ「こうか…」
リネ「想像して。あなたの手から魔力が出てる。
その魔力が形を変える。見えなかったものが…
実体をもって現れる」
アルジ「実体をもって現れる…か」
アルジは自分の手のひらをじっと見つめる。
リネは笑みを浮かべる。
エミカもミリもアルジの手を見ている。
だが、何も起こらない。
リネ「ところでアルジさんは…」
アルジ「ああ」
リネ「どんな魔術が使えたらいいと思うの?」
アルジ「どんな魔術がいいか…か」
リネ「希望した魔術が使えるようになる…
わけじゃないんだけどね。
こういうのが使いたい。
そんな思いがあれば早く目覚めることもある」
アルジ「…そうだな。オレは…」
少し考えてからアルジは答える。
アルジ「火術がいいな」
エミカ「!」
リネ「そう、火術」
アルジ「ああ」
リネ「どうして?」
アルジ「強くて派手だからな」
リネ「とても単純だね。
でも、そういう気持ちは大事」
アルジ「それと…」
リネ「それと?」
アルジ「初めて見た魔術がエミカの火術だった。
旅を始めて、すぐのことだ。
エミカの火の球を見て…すごいと思った。
オレもああいうのを出したいって思った」
リネ「そういう感動も大切だね」
エミカ(照れるじゃないか…)
ミリ「でも、氷術の素質があったりして」
アルジ「そうか?でも、それでもいいぜ」
エミカ(…いいのか)
リネ「実際にできてみるまで分からない。
そこが魔術の面白いところなんです」
アルジ「そっか」
アルジは訓練を続ける。
リネの指導を受けて。
エミカとミリもアルジにコツを教える。
さらに、2人は手本を見せる。
アルジ「手から火が…!氷が…!」
エミカ「こうするんだ」
ミリ「さあ、やってみて」
アルジ「ああ」
エミカ&ミリ「………」
アルジ(やっぱり魔術って不思議だ…)
アルジの手には何も出てこない。
アルジ(そして…難しい…!)
真剣な顔で取り組み続ける。
アルジ「できないぜ…」
リネ「今日はもう寝ましょう」
エミカ「そうですね」
ミリ「できるの待ってたら、朝になっちゃうね」
アルジ「く…!悔しいな…!」
寝支度をする。
アルジたちはそれぞれの布団に入った。
◆ 都 センケン通り ◆
エオクシは戦う。
ヤマエノモグラモンと。
巨大な体、硬い鱗、鋭い爪、おぞましい顔。
その迫力に圧倒される二隊の隊員たち。
そんな状況で、エオクシは1人走っていく。
ヤマエノモグラモンの群れの中へ。
壮刃剣を握り締めて。
エオクシ(食らえ!!天裂剣!!)
ヤマエノモグラモンA「フゥー!!」
◇ ヤマエノモグラモンAに14407のダメージ。
◇ ヤマエノモグラモンAを倒した。
近くにもう1体。
横から長い腕で襲いかかる。
壮刃剣で弾き返す。
そして、反撃。
一気に決めにいく。
必殺の剣技、地破剣で。
跳び上がり、振り下ろす。
鋭く、大きなその剣を。
ヤマエノモグラモンB「ガァウー!!」
◇ ヤマエノモグラモンBに18814のダメージ。
◇ ヤマエノモグラモンBを倒した。
レンダ「かはあっ!!」
二隊の隊員、レンダが蹴り飛ばされる。
暴れ回るヤマエノモグラモンに。
体が地上を跳ねて転がった。
エオクシ「レンダー!!」
エオクシはにらみつける。
蹴り飛ばしたヤマエノモグラモンを。
それから、攻撃までは一瞬。
猛然と突き進み、振り回す。
壮刃剣を。
その剣は斬り裂く。
肉を、骨を、深く、致命的に。
◇ ヤマエノモグラモンCに9120のダメージ。
◇ ヤマエノモグラモンCを倒した。
子「父ちゃん!!母ちゃーん!!」
エオクシ「!!」
逃げ惑う子どもの姿。
エオクシは見つける。
その子どもの後ろにはヤマエノモグラモン。
長い爪で今にも捕まえようとしている。
エオクシ「させるか!!」
駆けつけて、剣を大きく横に振る。
ヤマエノモグラモンD「ブゥウ!!」
◇ ヤマエノモグラモンDに7991のダメージ。
◇ ヤマエノモグラモンDを倒した。
エオクシ「おい!平気か!?」
子ども「うん…」
ふと辺りを見渡せば、多くの人家が燃えている。
まるで炎の森のようになっていた。
エオクシ「なんてこった…!!」
男「コズミ!!」
コズミ「父ちゃん!!」
エオクシ「ここは危ねえ!早く離れろ!!」
コズミの父「は…はい!!エオクシ様!
ありがとうございました!!」
娘を抱えて去っていく父。
エオクシは黒い影を見定める。
炎の向こうに、いくつも、いくつも。
その正体はどれもヤマエノモグラモン。
10体以上いるのが分かる。
男たちの叫び声が聞こえてくる。
二隊の隊員たちが次々と倒されていた。
エオクシ「こいつは…ただ事じゃねえな…!!」
◆ テノハ ◆
真夜中、アルジは目を覚ます。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 23
◇ HP 2277/2277
◇ 攻撃
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 素早さ
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 魔力 5★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ エミカ ◇
◇ レベル 19
◇ HP 1452/1452
◇ 攻撃 9★★★★★★★★★
◇ 防御 12★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 魔樹の杖、深紅の魔道衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
◇ ミリ ◇
◇ レベル 16
◇ HP 1008/1008
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 7★★★★★★★
◇ 素早さ
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 魔石の杖、紺碧の魔道衣
◇ 魔術 氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
◇ リネ ◇
◇ レベル 27
◇ HP 1011/1011
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、創造の杖、聖星清衣
◇ 魔術 雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20




