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アルジ往戦記  作者: roak
88/300

第88話 暗号

薬屋の戸を開けるリネ。

入るなりヤイナと目が合う。


リネ「できてる?」

ヤイナ「もちろん」


渡される薬。

ヤイナは代金を告げてリネは支払う。

リネの手にはまたしても大金。


リネ「大分負けてくれたね」

ヤイナ「最近景気がいいから」

アルジ(あれで大分負けてくれたのか。

 魔術薬…高級品だ)


◇ 治療魔術薬を10個手に入れた。

薬の入った袋をリネはしまう。


ヤイナ「分量の関係で10個に減っちゃった。

 でも、効果は絶大だから」

リネ「分かってる」

ヤイナ「気をつけてね」

リネ「ありがとう」


店の奥からトシロウが姿を現す。

大きな黒い籠を背負い、店の出入口に向かう。


トシロウ「配達、行ってくるわ」

ヤイナ「行ってらっしゃい」


手を小さく上げて彼は応えた。

戸を開けて店から出ていく。

パタンと戸の閉まる音が店内に響く。


リネ「配達もしてるんだ」

ヤイナ「そうだよ。

 最近はそっちが多くなってるかな。

 うちの店、分かりづらいでしょ。

 お客さんに足運んでもらうのも悪くって。

 移転も考えたんだけど、手間とお金がね」

リネ「彼も頑張ってくれてるんだ」

ヤイナ「あの人よく働いてくれて助かる。

 この店が続いてるのは半分彼のおかげ」

リネ「そうなんだ」

ヤイナ「配達だけじゃない。

 薬の仕上げはいつも彼。

 あの人は自分では何も言わないんだけど、

 なんだか不思議な力があるみたい」

リネ「不思議な力?」

ヤイナ「…変なことを言うかもしれない。

 この話は聞き流してくれてもいいから」

リネ「どんなこと?」

ヤイナ「トシロウに調合してもらうと

 薬に込めた魔力が長く続くんだ。

 知ってると思うけど、物に込めた魔力って、

 普通は時間の経過とともに消えていく。

 小さな魔波になって、消えていく。

 それが普通のことでしょ」

リネ「そうだね」

ヤイナ「だけど、彼が調合すると長持ちする。

 薬の魔力がずっと長持ちするようになる。

 何年経っても今作ったみたいに効いてくれる。

 おかげですごく評判よくてね。

 彼の不思議な力は魔力ではない。

 おそらくは、別の何かがあるんだと思う。

 それで、その不思議な力を…

 彼自身も知らないまま使っている」

リネ「別の何か…」

ヤイナ「だから、薬の調合は彼がやる。

 おまじないみたいなものだけど」

リネ「そうなんだ」


アルジたちは、店を出る。

ヤイナに別れの挨拶をして。

細い通りを抜け、大通りを歩く。

リネの顔はとてもにこやか。


リネ「もうこれで用事は済みました」

アルジ「よし、じゃあ行くか」

エミカ「北の方にある小さな町、

 テノハ…だったな」

ミリ「魔学校マス…だよね」

アルジ「行こう」

リネ「行きましょう」


リネは地図を広げて確かめる。

これから向かうべき場所を。

そして、ラアムとナアムを出した。

日は西へ傾き始めている。


リネ「ここからそんなに遠くありません。

 日没までに行けると思います」

アルジ「分かった」


ラアムとナアムは走り出す。

アルジたちを乗せて。



◆ 北土の魔術研究所 ◆

1人の男が廊下を走る。

立ち止まり、激しく扉を叩く。

ドン、ドン、ドンと、力強く。

彼が叩いていたのは、所長室の扉。


ホジタ「なんだ!入れ!!」


倒れ込みそうになりながら男は部屋に入る。

彼はホジタの秘書の1人。


秘書「所長、大変です…!」

ホジタ「…なんだ?」

秘書「魔信報を…受け取りました!」

ホジタ「…どんな内容だ?」


秘書はホジタに1枚の紙を渡した。

ホジタはそれに書かれた内容を読み取る。


ホジタ「…!!?」


魔信報。

緊急時の連絡にそれは用いられる。

情報の発信者は魔波を飛ばす。

受信者はそれを受け取る。

魔波の波長を変えることで情報を伝える。

魔波はあまり遠くまで飛ばせない。

そのため、遠距離の連絡には中継地点が必要。

中継地点の魔術師には特別な技術が必要。

受け取った魔波を正確に再現する技術が。

また、魔波の解読にも特別な技術が必要。

こうした事情から魔信報は普及していない。

一部の要人の間だけで使われている。

ホジタは読み終える。

文書化された魔信報を。


ホジタ「貴様っ!!こんな大事なことを…!!

 なぜもっと早く伝えない!?」

秘書「解読に時間を要したものですから…」

ホジタ「こんな大事なものを…なぜもっと…!」

秘書「何重もの暗号化がされておりまして…!

 解読士全員で、全力で取り組みましたが…!

 やっとさっき…文章として仕上がりまして!」

ホジタ「言い訳はいい!」

秘書「……!」


ホジタは大きなため息をついた。

それから、秘書に言う。


ホジタ「とにかくご苦労だった…。

 何重もの暗号化か…。向こうも…

 かなり神経をとがらせているようだな」


魔信報を発したのは魔術院のキト副院長。

彼は魔術院の次期院長と目される人物。

ホジタとはかねてからの知り合い。


秘書「どのようにいたしましょうか?」

ホジタ「考えさせろ!

 これは簡単な問題ではない!!

 しばらく1人になりたい。出ていけ!」

秘書「はい!」


所長室から出ていく秘書。

ホジタは1人考える。


ホジタ(明日、魔術院のアヅミナが行く…か。

 あの闇魔術師が…またここに…。

 大前隊も行くとあった…。

 今度は本当の大前隊だと。

 つまり、一隊の連中が来るということ…。

 ここにきて…向こうも勝負をかけてきた…。

 そんなところか…。

 大遊説の首謀者は私だと…

 まだ思い込んでいるのか…。

 なんとも愚かな連中よ!!!)


目を閉じて深呼吸。

そして、ゆっくり目を開ける。


ホジタ「くくく…」


ホジタの頭に1つの考えが浮かぶ。


ホジタ(そうだな…!これは名案。名案だ…。

 ここは…潰し合いをさせてみるとするか)



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   2277/2277

◇ 攻撃

 34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 素早さ

  28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力  5★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り


◇ エミカ ◇

◇ レベル 19

◇ HP   1452/1452

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火


◇ ミリ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   1008/1008

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ

  17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷


◇ リネ ◇

◇ レベル 27

◇ HP   1011/1011

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20

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