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アルジ往戦記  作者: roak
81/300

第81話 地位

アルジたちは目指す。

北土の魔術研究所を。

それは小高い山の中腹にあった。

大通りを抜けて橋にさしかかる。

すると、見えてきた。

灰色の四角い巨大な建物が。

林に囲まれ建っている。

その建物が放つ存在感は異様。

山に埋め込まれた大きな異物。

そのように言い表す者もいる。


アルジ「あれが北土の魔術研究所か…」

ミリ「大きな建物だね」

エミカ「たくさんの魔術師があの中にいる」

ミリ「何人くらい?」

エミカ「2000人くらい」

ミリ「そんなにいるんだ!」

エミカ「その中でも上級魔術師はごく一部。

 頑張っても、なれる人は限られる」

ミリ「エミカと私は上級かな?」

エミカ「まだ下級だよ」

ミリ「王火とか王氷が使えるのに?」

エミカ「強い魔術を出せるだけじゃだめなんだ」

リネ「魔力を操る技術、

 魔術の理論も重視されるから」

ミリ「そっか…」

リネ「ホジタ所長が上級魔術師になったのは

 24歳のときです」

ミリ「そうなんですか」

リネ「個人差はあるけど、大体40歳です。

 上級魔術師として認められる平均年齢は」

ミリ「え…そうなんですか!」

エミカ「だからホジタ所長はすごい」

リネ「あの人ももう今年で62歳」

エミカ「見た感じは年齢より若いですけど」

アルジ「研究所長ホジタか…」


坂道を上るアルジたち。

若手研究者たちの一団とすれ違う。

楽しげに話しながら坂道を下ってくる。


アルジ(オレより少し上くらいの年か…?

 研究者っていうより学生って感じだな)


長椅子に座り、思索にふける研究者もいる。


アルジ「あの人も魔術を使うのか?」

リネ「あまり強い魔波を感じませんね。

 魔術はあまり得意じゃないのでしょう」

アルジ「そんな人もいるのか」

リネ「魔術理論が優れているんでしょうね」

アルジ「魔術理論…か」

エミカ「優れた研究者はみんな優れた魔術師…

 とは限らないんだ」

アルジ「そうなのか」

エミカ「強い魔術が使えなくても、

 魔術理論が得意な人もいる」

アルジ「そういうことか」

エミカ「魔術が得意なことに

 越したことはないけど」

リネ「自分の魔術で実験できますからね」

アルジ「…そっか」

エミカ「ホジタ所長は兼ね備えてる。

 魔術理論が優れているだけじゃない。

 並外れた魔力も持ってるんだ。

 会えばすぐに分かると思う。

 息が苦しくなるような魔波だ。

 アルジも重みのある魔波を感じると思う」

アルジ「重みのある魔波か…」

ミリ「ホジタさんはとにかくすごい。

 そういうことだね」

アルジ「雑にまとめたな」

ミリ「気楽に行こうよ。

 別に戦うわけじゃないんだしさ。

 こっちが力入り過ぎてたら、

 話もうまくいかないでしょ」

リネ「そのとおり。いい心構え」

ミリ「へへ」

アルジ「気楽に行くか!」

ミリ「そうだよ。気楽に行こう。

 …でも、私の話なんて聞いてくれるかな」

リネ「大丈夫。私が話をします。

 昔からの知り合いですし。

 少しは目をかけてもらっていましたから…」

エミカ「さすがですね」

アルジ「任せたぜ」

リネ「はい。

 あなたたちのことは私から紹介します。

 私の優秀な弟子ということで。

 お願いしますね」

エミカ&ミリ「はい!」

アルジ「弟子…オレもか?」

リネ「はい。そういう設定で行きましょう。

 そう説明した方が話は簡単ですから」

アルジ「…分かった!」

リネ「ありがとう」


◆ 北土の魔術研究所 ◆

開け放たれた両開きの重い扉。

石でできた床と壁。

よく磨かれていて光沢がある。

巨大な彫像がアルジたちを迎える。

魔人カラタコクラ。

展示台にはそう記されている。

歴史書に登場する大魔術師。

遥か昔、混乱の世に彼は生まれた。

魔術で多くの民を救ったとされる。

魔術による救い。

それは北土の魔術研究所が掲げる理念。

魔術衣をまとった青年の姿をした彫像。

とても穏やかな表情で来訪者を迎える。

広々とした玄関広間の中央で。

研究所は4階建。

玄関広間は吹き抜けになっている。

大きな円形の天窓からは、日の光が降り注ぐ。

アルジたちは、来客用の受付台に向かう。

台の向こうに座っていたのは、小柄な女。


受付係「………」

リネ「クユの国、ワノエの町から来ました。

 魔術師リネと申します」

受付係「………」

リネ「所長に会わせてもらえますか?

 87期生のリネ。そう伝えてくれたら

 会ってくれると思うんだけど」

受付係「………」

リネ「ねえ、聞いてるの?」

受付係「………」


受付係はピンと指を弾く。

指先から極小の光の粒が飛ぶ。

リネの肩をかすめ、玄関広間を横切った。

一瞬のうちに。


リネ「!」


強い魔波を感じる。

近づいてくるその発生源。

アルジたちは振り向く。


警護人A&B&C「………」


3人は無表情でアルジたちを見ている。

がっしりとした体つきの男女が3人。

真ん中が女で、左右にいるのが男。

いずれも黒い魔術衣を身にまとっている。

その魔術衣は、八多等守護衣。

3人は強烈な魔波を放ち、警戒する。

近くを通りかかった者たちが立ち止まる。


アルジ「いきなり物騒なのが来たな」

受付係「警戒態勢を敷いていますので」

リネ「警戒態勢?」

受付係「今…部外者を…

 所長に会わせるわけにはいきません」


さらに、続々と警護人がやってくる。

4人、5人と現れて隊列を組む。

最後にやってきたのは魔生体。

四足獣の姿をした巨大な魔生体が4頭現れた。

そのどれもが強い魔波を発している。

アルジたちは取り囲まれた。

傍観者も増えていく。

辺りはざわめく。


アルジ(どうするんだ…これ…)

エミカ(話は聞いてくれなそうだ)

ミリ(みんな…すごく強い…)

リネ「…仕方ないですね。ここは…」

男の声「待て!!」


アルジたちの頭上から大きな声。

見上げれば1つのカゴが宙に浮かんでいる。

それはゆっくりと降りてきて地面に着く。

その男はカゴに乗って現れた。


リネ「ホジタ所長!!」

ホジタ「やあ、リネ君!久しぶりじゃないか!」

受付係「…!」

ホジタ「君たち、もう下がりなさい!!」


一層ざわめく研究所内。

所長の突然の登場に傍観者たちは盛り上がる。

舞台に上がった役者をもてはやすかのように。


ホジタ「レミ君」

受付係「はい!」

ホジタ「魔籠まろうを1基用意しなさい。

 4人で乗れるものを…な」

レミ「はい!」

アルジ「マロウ…?」

リネ「ホジタ所長が乗っているカゴです。

 魔力で動きます」

アルジ(魔力で空を飛ぶカゴか…。

 ラアムとナアムみたいなもんか?)


ホジタは髭をなでながらアルジたちを見る。


ホジタ「…いい魔波だ!」

リネ「ありがとうございます」

ホジタ「上で待っている。

 君たちなら楽に上がれるだろう」


ホジタを乗せた魔籠はふわりと浮かぶ。

最上階の4階まで力強く上がっていった。


エミカ「アルジ、分かったか?」

アルジ「ああ」

エミカ「重みがあっただろ」

アルジ「ああ。あった。

 エミカともリネともミリとも違う。

 重い魔波っていうのを確かに感じたぜ」


受付台の奥の部屋から魔籠が飛んでくる。

ふわりふわりと宙を舞い、アルジたちの方へ。

ゆっくりと音を立てず床に落ちる。


リネ「さあ、乗りましょう」


その魔籠はホジタのものより大きい。

アルジたちは楽に乗ることができた。


エミカ「操作は…」

リネ「私たちでやるの」

ミリ「…大丈夫かな?」

リネ「大丈夫。想像して。

 浮かんで、上っていくのを」

ミリ「はい…!」

エミカ「やってみます!」


エミカ、リネ、ミリは魔力を込める。

魔籠は静かに浮かび上がる。

最初は横に大きく揺れた。

しかし、次第に安定する。

魔籠の高さが人々の背丈を超えたとき。

何かで固定されたかのように揺れなくなる。


リネ「素晴らしい」


エミカとミリは少し照れる。

下には見上げる人々。

受付係、研究者、警護人。

リネは自信に満ちた表情。

魔籠から人々を見下ろす。


リネ「私たちは特別な地位にある」

アルジ「特別な地位…」

リネ「誇りましょう。

 私たちは繋がっている。

 私たちはホジタ所長と繋がっている」

エミカ「…はい」

リネ「もはや恐れるものなどありません。

 ホジタ所長の力を借りましょう」

アルジ(あの人が…

 本当に力を貸してくれるのか?)


魔籠は力強く上がっていく。

研究所長室がある最上階の4階へ。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   2277/2277

◇ 攻撃

 34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 素早さ

 28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力  5★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り


◇ エミカ ◇

◇ レベル 19

◇ HP   1452/1452

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火


◇ ミリ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   1008/1008

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ

  17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷


◇ リネ ◇

◇ レベル 27

◇ HP   1011/1011

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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