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アルジ往戦記  作者: roak
74/300

第74話 距離

エオクシ、アヅミナ、カタムラは進む。

地下深くへ。

虚構街は3層構造。

地上の都市。

地下の都市。

そして、さらに地下深く、最深部。

通称、悲壮郷ひそうきょう

頑丈な内壁。

広大な空間。

凝らされた採光のための工夫。

訪れた者は思わず忘れる。

その空間が、地下深くにあることを。

3人が歩いているのは、その悲壮郷。


エオクシ(すげえところに来ちまったな…)

アヅミナ(本当にこんな遺跡があるなんて…)


悲壮郷からは墓が多数見つかっている。

大半は古代国家の王族のものと考えられている。

広い地下空間をひたすら進む。

白い石壁で仕切られたいくつもの部屋。

各部屋の奥には、巨大な石碑。

しばらくすると、カタムラは立ち止まる。

一際巨大な石碑の前。

その石碑の手前側には、黒い小さな台座。

カタムラは、懐から1個の玉を取り出す。

その玉は、青く、淡い光を放つ。

大きさは、彼の片手に収まる程度。

都から持ってきた覚書を入念に読み、確かめる。

そして、小さな台座の上にそっと玉を置いた。

台座に置くと、その玉の光は急速に失われる。


カタムラ「………」

エオクシ「おい、今、何した?」

カタムラ「………」

エオクシ「その玉はなんだ?」

カタムラ「まあ…見ていてください」

アヅミナ「…!」


最初に感知したのは、アヅミナ。

次に、カタムラ。


カタムラ「チッ!」

エオクシ「…どうした?」

アヅミナ「魔力を感じる。近くに何かいる」

エオクシ「何…?」


3人は辺りを見回す。

大きな地鳴り。


カタムラ「ハズレか…」

エオクシ「なんだって…?」


ドスン、ドスンという音。

その音は次第に大きくなってくる。

カタムラは台座から玉を回収する。


カタムラ「さあ、不測の事態です!

 エオクシさん!アヅミナさん!出番です!!

 さあ、なんとかしてください!」


現れたのは、1体の怪物。

獅子の頭部に人の胴体。

厚い鎧がその身を覆う。

丸太のような両腕で構えるのは、1本の槍。


エオクシ「なんだ!?こいつは!!」

アヅミナ「考えるのはあと。倒そう」


言い終えた瞬間、放たれる炎。

アヅミナの王火。

熱く激しく焼いていく。

怪物の足元から頭部にかけて。

◇ 獅子の守護兵に6943のダメージ。

だが、怪物は突進の構えを見せる。

燃え盛る炎の中で。


アヅミナ「これならどう?」


王氷を撃つ。

カリカリと音を立て、凍りついていくその体。

1歩も前へ踏み出せず、動きを止める。

◇ 獅子の守護兵に7944のダメージ。

それでも立ち向かってこようとする。


アヅミナ「エオクシ…あ…」


呼びかける前に走り出していた。

エオクシは剣を構え、怪物に襲いかかる。

突風のように。

そして、相手が動き出す前に技を見舞う。

磨き抜かれた剣技。

天裂剣を。

地面を強く蹴り、斬り上げる。

速く、強く、大きく、深く。

まるで天を斬り裂くように。

その一撃は、鎧を壊し、肉を裂いた。

◇ 獅子の守護兵に8069のダメージ。


エオクシ「…!!」


怪物は、すぐさま体勢を立て直し、槍を振る。

その速度は、エオクシの想像を超えていた。

身をかがめ、なんとかその攻撃を回避する。

予想外の反撃だった。


エオクシ「…やるな!」


エオクシは巨大な剣を上段に構え、跳ぶ。

そして、まっすぐ振り下ろす。

怪物が次の攻撃を試みる、その前に。

構えて、跳んで、振り下ろす。

その剣撃は、大地に向かって放たれる。

エオクシのもう1つの剣技。

地破剣。

怪物の脳天に当たった。

巨体が地面に崩れ落ちる。

◇ 獅子の守護兵に11531のダメージ。

◇ 獅子の守護兵は死んだ。

◇ エオクシたちは戦いに勝利した。


エオクシ「………」


手を叩くカタムラ。

悲壮郷の地下空間に彼の乾いた拍手が響く。


カタムラ「素晴らしい!見事です!お見事!

 アヅミナさんのその魔術…

 大変感服いたしました!

 エオクシさんのその剣技にも…

 感激いたしました!

 いやぁ!素晴らしい!

 生でこうして見ることができて。

 光栄です!いやぁ!よかったよかった!」


一層強く、速く手を叩く。


エオクシ&アヅミナ「………」

カタムラ「お見事です!」

エオクシ「てめえ…」

カタムラ「?」


拍手をやめるカタムラ。

剣を手に、歩いていくエオクシ。


エオクシ「答えろ」

カタムラ「………」

エオクシ「オレたちは一体…何を倒した?」


沈黙。

エオクシはカタムラをにらむ。

アヅミナも非難の目をカタムラに向けている。


カタムラ「…守護兵だ」

エオクシ「守護兵。なんだそりゃ?」

カタムラ「守護兵は…守護兵です…」

エオクシ「答えになってねえだろうが。

 もったいぶってねえで言いやがれ」

アヅミナ「普通の魔生体じゃないよね?あれ。

 誰かの魔力で動いてる感じがなかったし…」

カタムラ「………」

エオクシ「答えねえつもりなら…」


カタムラは突然、口を押さえて笑い出した。


カタムラ「…くくくくくくく…

 くくくっくくくくくく……!!

 クク…フククク…クククッ!!」


その様子は奇妙だった。

エオクシもアヅミナも口を閉ざす。


カタムラ「…答えねえつもりなら?

 …どうするんですか!?

 どうするんですか!?オイ!!

 ああ!?おい!!!コラ!!!

 言ってみろよ!!!!

 言ってみろ!!!この野郎っ!!!!」

エオクシ「………」

カタムラ「おい!言ってみろよ!!

 いい気になってんじゃねえぞ!!

 大前隊だからって!魔術院だからって!

 いい気になってんじゃねえぞ!!

 てめえら!!おい!!」

アヅミナ「………」


両腕を広げ、高らかに彼は話す。

その声を悲壮郷の隅々まで響かせるように。


カタムラ「いいのか!?お前ら!オレは兄だ!

 シノ姫の腹違いの兄なんだ!いいのかぁ!?

 オレに盾突いて許されると思ってんのか!?

 シノ姫のことはよぉく知ってるよな!!?

 でも、本当のとこはよく知らねえよな!?

 秘術がどんなものか!?知らねえよな!!?

 てめえら実はよく知らないよなぁ!?」

エオクシ&アヅミナ「………」

カタムラ「いいのかぁ!?

 このオレに刃向かって!!

 秘術にやられるぞぉ!!?

 あれはどんなに遠くても!!

 どんなに離れてても!!

 関係ねえんだからなぁ!!

 魔術とは全然違う力だ!!いいかぁ!?

 シノ姫の逆鱗に触れちまったらぁ

 オシマイよぉ!!1発で…ドン!!!

 オシマイよぉ!!!いいのかぁ!?

 それでもいいのか!?さっきみたいな態度!!

 このオレにとるのかぁ!!?」

エオクシ「………」

アヅミナ「…エオクシ」

エオクシ「………」

カタムラ「どうなんだぁ!?おい!!!

 なんとか言えよ!!クソガキが!!!」

エオクシ「…悪かった」

カタムラ「………」

アヅミナ「エオクシ…」

エオクシ「………」

カタムラ「…フンッ!!」

アヅミナ「………」


カタムラは歩き出す。

地上に向かって。

エオクシとアヅミナは彼についていく。

来たときよりも距離を置いて。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ エオクシ ◇

◇ レベル 37

◇ HP   3692/3692

◇ 攻撃

  49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 防御

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 素早さ

 46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 35

◇ HP   404/404

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術


◇ カタムラ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   766/766

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御   9★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力   3★★★

◇ 装備  魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、

      探検用強化研究衣

◇ 魔術  光玉、治療魔術

◇ 秘術  青珠

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