第73話 遺跡
スイオウジャが襲いかかる。
振り回されるいくつもの脚。
途切れることなく続く攻撃。
アルジを攻める。
猛攻だった。
爪は孤を描き、アルジを狙う。
アルジは1歩も退かない。
素早く剣を振って応じる。
スパン、スパン、と1本、また1本。
脚を斬り落としていく。
振り回されたら、斬り落とす。
見る見るうちに減っていく。
スイオウジャの脚が。
斬られた脚はあちらこちらへ飛んでいく。
スイオウジャ「ゴォオアアア…!!」
悲鳴のような鳴き声。
◇ スイオウジャに1569のダメージ。
脚による攻撃が止む。
スイオウジャは学んだ。
今のアルジに効かないことを。
脚を半分ほど失ってから。
アルジ「攻めるぜ!!」
地面を蹴って一気に接近。
腹部を深く縦に斬り裂く。
◇ スイオウジャに2882のダメージ。
続けて力強く剣を横に振り抜く。
肉も骨も断ち斬る。
◇ スイオウジャに2997のダメージ。
スイオウジャはたまらず王雷を撃つ。
◇ アルジに2944のダメージ。
(HP3220 → 276)
アルジ「ぐ…!!」
エミカ「アルジ!!!!」
リネ「アルジさん…!!」
直撃した。
アルジは気を失いそうになる。
だが、立ち続ける。
歯を食いしばり、剣を構え続ける。
その気迫に勇気の剣が応える。
アルジ「剛刃波状斬撃!!」
激しく、何度も、その胴体を斬っていく。
縦に。
◇ スイオウジャに2094のダメージ。
横に。
◇ スイオウジャに2468のダメージ。
斜めに。
◇ スイオウジャに2913のダメージ。
そして、再び縦に。
◇ スイオウジャに3019のダメージ。
アルジの攻撃の手が止まる。
限界だった。
息を切らしてスイオウジャをにらむ。
アルジの体を光が包む。
リネの再生魔術。
電撃で傷んだ体が癒される。
◇ アルジはHPが1050回復した。
(HP276 → 1326)
スイオウジャは王氷を出す。
今度は素早く魔波を察知。
アルジは左へ跳んで避けた。
だが、右半身が冷気に当たって凍りつく。
◇ アルジに1121のダメージ。
(HP 1326→205)
アルジ「クソ…!!」
アルジにかみつこうとするスイオウジャ。
蛇のような頭部が降りてくる。
素早く、しなる鞭のように。
狙うのは、アルジの首元。
一気に勝負を決めにきた。
アルジ(これが…最後の斬り合い!)
凍りついた右手。
勇気の剣を左手に持ち替える。
アルジ「食らえ!!円月斬り!!!」
振り抜かれたその剣は大きな弧を描く。
スイオウジャの頭は縦に斬り裂かれた。
牙がアルジに届く、その前に。
スイオウジャ「フォーン…!」
◇ スイオウジャに2051のダメージ。
◇ スイオウジャを倒した。
勇気の剣は光を失っていく。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。(レベル18→19)
◇ エミカはレベルが上がった。(レベル15→16)
◇ ミリはレベルが上がった。(レベル12→13)
◇ リネはレベルが上がった。(レベル26→27)
◇ ミシダムはレベルが上がった。(レベル27→28)
アルジはスイオウジャの死体をしばらく見つめ、振り返る。
エミカ「アルジ…」
アルジ「エミカ」
エミカ「………」
アルジ「リネ」
リネ「………」
アルジ「ミリ」
ミリ「………」
アルジ「ミシダム」
ミシダム「………」
アルジ「…倒したぜ。スイオウジャを」
エミカ&リネ&ミリ&ミシダム「………」
リネはミシダムのところへ駆け寄る。
切られた腕と脚を治した。
◇ ミシダムはHPが1210回復した。
(HP79 → 1168)
ミシダム「すまない。何度も…。ありがとう」
リネ「いいんです。あなたはよくやりました」
立ち上がるミシダム。
ミシダム「今回の1件オレから報告しておこう。
これだけの人が死んで、大惨事だ。
大前隊も黙っちゃいないはず。
あの魔術師…許せん…!」
リネ「助かります。大前隊が動いてくれるなら
彼らの企みも阻止できることでしょう」
エミカ「どんな企みなのか…
今はよく分かりませんけどね」
ミリ「大陸を変えるとか言ってましたよね」
エミカ「それも…研究所長に聞いてみよう」
リネ「そうですね。彼がどこまで知っているか。
そして…どこまで教えてくれるのか。
分からないけど」
それから、リネはアルジの凍った右半身を治す。
エミカ、ミリ、そして、リネ自身も傷を癒す。
◇ アルジたちはHPが全回復した。
ヤシズ湖を後にするアルジたち。
トウオウ道に出たところで、ミシダムと別れる。
ミシダム「お前たちなら、きっとうまくやれる」
リネ「ありがとう。ミシダムさんもお元気で」
アルジ「じゃあな。元気で」
ミシダム「ああ、また会おう。どこかで」
アルジ「ああ」
関所へ戻っていくミシダム。
その後ろ姿をアルジたちは見送る。
よく晴れた空の下。
高く上った日の光を浴びて彼は歩いていく。
アルジたちは見送った。
その姿が見えなくなるまで
ミシダム(おっと、忘れちまった!
アルジに伝えようと思ってたのに…。
だが、まあ、いいか…。いずれ声がかかる…。
あの強さなら…いずれ向こうから)
1人、歩きながら笑うミシダム。
◇ ミシダムは仲間から外れた。
リネ「大前隊が研究所を探っているのも…
もしかすると、関係があるのかも。
さっきの魔術師が言っていた計画と」
エミカ「そうかもしれませんね」
ミリ「ホジタさん教えてくれるといいですね」
リネ「ええ…」
アルジ「行こうぜ」
再びラアムとナアムで進む。
ナラタの国の大地を蹴って。
ラアムに乗るアルジとリネ。
後ろには、ナアムに乗ったエミカとミリ。
リネ「もう少しです。北土の魔術研究所まで」
アルジ「そっか」
道は右に、左に、緩やかに曲がりながら伸びる。
そして、広く、まっすぐな道になった。
遠くまでよく見通せる。
道の途中に旅人たちの姿。
立ち止まり、不安げに話をしている。
ラアムの足を止めて、リネは声をかけた。
リネ「どうしました?」
旅人A「この先、行こうか悩んでたところだ。
ヤシズ湖の近くで魔獣が出たって聞いて…」
旅人B「とんでもないことになったらしい…。
何人も引き返してきた…。あんたらも…」
アルジ「オレたちは関所から来た」
旅人A&B「………」
リネ「魔獣は私たちが退治してきました」
旅人A「ほ…本当か…!」
アルジ「ああ。もう大丈夫だ」
ラアムは再び走り出す。
すぐ後ろで止まっていたナアムも走り出す。
アルジ「リネが言ったとおりだな」
リネ「………」
アルジ「あの日、エミカとオレに教えてくれた。
人と出会い、悪と戦えと。それで道が開けると。
なんとなくだけど、見えてきた気がする…。
どんな道がこの先にあって、何があるのか」
リネ「………」
アルジ「まだまだ分からないことは多いけど、
さっきの計画とかも、そんな話は知らない。
だけど、見えてきた。ロニ…マスタス…。
戦うべき敵が。安定の玉を取り返す道のりが。
なんとなくだけど、見えてきた気がするんだ」
リネ「どうでしょうね」
アルジ「………」
リネ「簡単にことが運ぶとは思えません。
何か不吉な予感がしています。
とても不吉な…」
アルジ「………」
日が西に傾き始めた頃、町に着く。
町の名前は、ユカリテ。
ワノエと同じくらいの大きさ。
多くの人と物が行き交う。
ナラタの国有数の商業都市。
アルジたちはその町で休むことにした。
◆ オキシマの国 虚構街 ◆
カルスは着陸する。
古代遺跡がある場所に。
エオクシ、アヅミナ、カタムラの3人は歩く。
虚構街の管理施設に向かっていく。
その巨大な遺跡は政府が管理している。
特別な許可がなければ近づくこともできない。
一日中、厳重な警備が敷かれている。
エオクシ「通るぜ」
門番「大前隊のエオクシ様、
魔術院のアヅミナ様ですね。
どうぞ、お通りください。そちらは…」
カタムラ「考古学者のカタムラです」
門番「あなたはダイオ島の…」
カタムラ「いいえ」
門番「………」
カタムラ「ダイオ島にはもう行きません。
ここでの調査後、私は学術院に戻ります。
すぐに戻ることになるのです」
門番「…そうですか。どうぞ、お通りください」
3人は足を踏み入れる。
頑強な門の向こうへ。
そこはもう、虚構街。
カタムラが地図を手に先頭を歩く。
高い塀に囲まれたその遺跡。
生い茂る草むらが広がる。
その中に、崩れた柱、ひび割れた壁。
いくつも見えている。
太古の街の変わり果てた姿。
だが、それは虚構街の本当の姿ではない。
カタムラ「エオクシさん、暗黒時代のことは?」
エオクシ「それぐらい知ってる。なめんな」
カタムラ「…失礼。今から2000年以上も前。
国家が、文明が失われた。一瞬にして。
何が原因か。今もよく分かっていません。
こうじゃないかって意見はありますが。
当時の言語、古代言語は解読できていない。
このこともまた真相解明を阻んでいます。
これから私が探るのは、そういう類のもの。
古代文明を解明する上でとても重要なもの。
シノ姫の、あなた方のご協力があって、
初めて調査できる。本当に感謝します」
アヅミナ(太古、ここに巨大都市があった。
今ではただの荒野になってしまった。
でも、虚構街の…その本当の姿は…)
草をかき分けて進み続ける。
やがて塀で囲まれた荒野の中心部に着く。
そこでカタムラは見つけた。
地下へ通じる入り口を。
彼は1度深呼吸してから入っていく。
エオクシ&アヅミナ「………」
エオクシとアヅミナが彼に続く。
アヅミナ(暗黒時代は200年近く続いた。
文字による記録が一切残っていない時代。
一体何が起きたのか。今も分かっていない。
分かっているのは、多くの人が死んで、
文明や国家が滅んでしまったということ。
暗黒時代というものが、なぜ生まれたのか。
その原因についてはいろんな説がある。
大地震、火山の噴火、隕石、気候変動。
あるいは…戦争。少数説の戦争説がある。
大規模な戦争で古代文明は滅んだ。
それが、戦争説。カタムラはその提唱者…)
カタムラは光術の使い手。
手から光玉を出す。
その光が地下空間への道を照らす。
石段を一段、また一段と下りていく。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ エオクシ ◇
◇ レベル 37
◇ HP 3692/3692
◇ 攻撃
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 壮刃剣、戦究防護衣
◇ 技 天裂剣、地破剣
◇ アヅミナ ◇
◇ レベル 35
◇ HP 404/404
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 装備 大法力の魔杖、漆黒の術衣
◇ 魔術
火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火
氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷
暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、
酷死魔術
◇ カタムラ ◇
◇ レベル 16
◇ HP 766/766
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御 9★★★★★★★★★
◇ 素早さ
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 3★★★
◇ 装備 魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、
探検用強化研究衣
◇ 魔術 光玉、治療魔術
◇ 秘術 青珠




