第7話 対面
アルジたちはトノク峠を歩く。
遠くにはワノエの街明かり。
アルジはオオデンに話した。
この旅の目的を。
オオデン「そうか。安定の玉を求める旅…か」
アルジ「そうだ。村の宝を取り返す。
そのためにオレはこうして旅に出た」
オオデン「にしても、こんな夜に旅立ちとは…
どういうつもりだ?暗くて危ないだろ」
アルジ「長旅は夜に始めろ。
その格言にならったんだ」
オオデン「格言?」
エミカ「ないだろ。そんな格言は」
アルジ「………」
オオデン「聞いたことがない」
アルジ「格言っていうのは………嘘だ」
オオデン「お前な!それなら一体なぜだ?」
アルジ「ひっそりと旅に出たかった」
エミカ「………」
アルジ「みんなが寝静まった夜に…
ひっそりと旅立とうと思った」
オオデン「なぜだ?」
アルジ「騒がしいのは好きじゃないから」
エミカ「見送りされると照れるからか?」
アルジ「………」
オオデン「見送りはあった方がいいだろう」
アルジ「オレは望んでなかった。
でも、結果的にそうなった。
村の人たちがたくさん集まって、
広場でオレを見送ってくれた。
村長が広めていたらしい。
オレの旅立つ日と時間を」
エミカ「よかったじゃないか」
アルジ「そうだな。今はよかったと思ってる。
村のみんなのために頑張ろうと思った」
オオデン「みんなのため…か」
アルジ「なあ、オオデン。
あんたもなんでこんな場所に?」
オオデン「それはな…あれのためだ」
前方を指差すオオデン。
アルジとエミカは目を向ける。
のそりと動く1つの影に気づく。
アルジたちをじっと見ているのは1匹の獣。
その獣の名はヨイノシシ。
夜行性で日が暮れると巣から出てくる。
体は小さめ。
気性は荒い。
人に突進することがよくある。
オオデン「あれを捕まえに来ていたのさ」
アルジ「狩りか」
オオデン「ああ。オレはもう警備隊員ではない。
獣を捕らえ、肉や毛皮を売って暮らしている」
アルジ「猟師になったのか」
オオデン「見てろ。お前たちは手を出すな」
オオデンは走り出す。
驚き、後退りするヨイノシシ。
剣を素早く突き出した。
ヨイノシシを一撃で仕留めた。
◇ ヨイノシシに36のダメージ。
◇ ヨイノシシを倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
アルジ(雰囲気が変わってて驚いたけど…
あの身のこなしは…変わってない…!
警備隊の頃と全然変わってない!)
オオデン「今日は宴だ!」
オオデンは仕留めた獲物を持ち上げる。
オオデン「ワノエに着いたら決起会をやるぞ」
アルジ「そいつを料理するのか」
オオデン「ああ、そうだ!」
エミカ(おいしいのかな…)
峠を下っていく。
下り終えるとワノエに到着した。
◆ ワノエ ◆
街の灯りが1つ、また1つ消えていく。
夜は深まっていく。
アルジ「さてと、どうしようかな」
エミカ「リネ先生の館へ案内するよ」
アルジ「行ってもいいのか?こんな夜遅くに」
エミカ「ああ。先生は寝るの遅めだから」
アルジ「そっか」
オオデン「…なるほど」
アルジ&エミカ「………」
オオデン「魔術師を追うなら魔術師に聞け。
そういうことだな」
アルジ「ああ」
オオデン「北土の魔術師が安定の玉を奪った。
その話はナキ村の村長からも聞いていた。
そいつらから宝を取り返そうってわけか」
アルジ「そうだ。探して、必ず取り返す。
安定の玉を…オレは必ず村に持ち帰る」
オオデン「いい心構えじゃないか」
アルジは強く拳を握る。
エミカ「さあ、こっちだ」
アルジ「ああ」
オオデン「おい、お前たち」
アルジ「なんだ」
オオデン「魔術師様との面会が終わったら
マノトノ食堂に来い」
アルジ「マノトノ食堂…」
オオデン「ああ、そこで決起会をやるぞ」
アルジ「ああ」
オオデン「カクノオウ退治の決起会だ。
ちゃんと来いよ。
こいつを料理して待ってるからな」
オオデンは手にしていたヨイノシシを揺らす。
アルジ「楽しみにしとくぜ」
アルジとエミカは大魔術師リネのところへ。
彼女の館が見えてくる。
◆ 大魔術師リネの館 ◆
黒い屋根に白い壁。
重厚な外壁と扉はまるで城のよう。
エミカ「行こう」
アルジ「…ああ」
エミカ「緊張してるのか?」
アルジ「そんなことはないぜ!」
エミカ「………」
エミカは扉に取りつけられた鐘を揺らす。
リンと涼やかな音が鳴る。
しばらくして、近づいてくる足音。
重い扉がゆっくりと小さく開かれる。
誰かがひっそりと顔をのぞかせる。
そこにいたのは、女の魔術師。
魔術師「どなたですか…?」
扉は小さく開けられたまま。
彼女の顔はほとんど隠れている。
エミカ「ミリ、私だ」
扉が一気に開かれる。
ミリ「エミカ!久しぶりー」
アルジ「なんだ、知り合いか?」
エミカ「そうだ、魔術の練習仲間だ」
アルジ「練習仲間…」
ミリ「元気だった?最近どうなの?」
エミカ「まあまあってところだ」
ミリ「ねえ、いろいろ聞かせてよ。
聞きたいことは山ほどあるんだから。
どんなだったの?北土の…」
エミカ「わー!!」
ミリ「!!…え?何!?急に…?」
アルジ「…?」
エミカ「…積もる話はあとにしよう。
今日は別な用事があって来たから」
ミリ「別な用事って…?こんな遅くに」
エミカ「リネ先生に会いにきたんだ。
相談したいことがあって」
ミリ「なんだ、そっか。
じゃ、どうぞ、上がって。
……あら?あんたも?」
アルジ「ああ、いちゃ悪いか」
ミリ「悪いってことないけど…誰?」
アルジ「オレの名はアルジ。ナキ村の剣士だ。
よろしくな」
ミリ「ああ、ナキ村の…。田舎者だね!」
アルジ「お…お前っ!」
エミカ「この人は旅人だ。
リネ先生から教えを受けにきたんだ。
この先どうしたらいいか」
ミリ「そうなんだ…」
アルジ「お世話になるぜ」
ミリ「ありがたく聞いてね。先生のお話を。
…魔術の素質はなさそうだけど」
アルジ(こいつ…いちいち頭に来るぜ)
アルジたちは館の中へ進む。
広間に通される。
ミリ「今、呼んでくるから。ここで待ってて」
奥の扉から出ていくミリ。
アルジは広間を見回す。
細かな模様が施された大きな花瓶。
大胆に彩色された巨大な絵画。
重厚な作りの棚。
そこに整然と並ぶ何冊もの分厚い書物。
アルジ「すごい館だ…。外も中も…」
エミカ「ここにはいろんな人が来る。
実業家、大地主、高名な絵師や歌人…。
リネ先生の助言を求めてここに来る。
先生は魔術師であり、占い師なんだ。
大切なお客さんに少しでも優美な空間を。
この館、この広間は先生の心配りだ」
アルジ「すごいな」
エミカ「ああ。すごくて気後れする人もいる」
アルジ「…そうなのか」
エミカ「ああ。…してるだろ?」
アルジ「オレは全然してないぜ」
エミカ「そうなのか?」
アルジ「そうなのか?…じゃない!」
広間に戻ってくるミリ。
ミリ「リネ先生がいらっしゃいます。
静粛に願います」
アルジ「………」
そして、大魔術師リネと対面する。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 4
◇ HP 145/145
◇ 攻撃 8★★★★★★★★
◇ 防御 4★★★★
◇ 素早さ 4★★★★
◇ 魔力 1★
◇ 装備 勇気の剣、革の鎧
◇ 技 円月斬り
◇ エミカ ◇
◇ レベル 4
◇ HP 127/127
◇ 攻撃 2★★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ 5★★★★★
◇ 魔力 7★★★★★★★
◇ 装備 術師の杖、術師の服
◇ 魔術 火球
◇ オオデン ◇
◇ レベル 10
◇ HP 336/336
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 4★★★★
◇ 素早さ 3★★★
◇ 魔力 2★★
◇ 装備 鉄の短剣、錆びた鎧
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬 9
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ヨイノシシ ◇
◇ レベル 1
◇ HP 31
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 1★
◇ 素早さ 1★
◇ 魔力