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アルジ往戦記  作者: roak
69/300

第69話 闘気

外は夜の静けさに包まれている。

柔らかな月明かりが辺りを照らす。

人や建物の輪郭を浮き上がらせる。

アルジとミシダムは歩いていく。

宿屋から関所まで。

セラギ川の流れる音が聞こえる。


ミシダム「戦歴は?」

アルジ「戦歴?」

ミシダム「これまでどんな戦いを

 してきたかって聞いてるんだ」

アルジ「ああ…」


アルジは話した。

ヤマエノモグラモン、ベキザルとの戦いを。

ワノエとガヒノで警備隊長と戦ったことも。

さらにはカクノオウとの戦いまで。


ミシダム「なかなかの実戦経験だ」

アルジ「………」


関所の門の前に立つ。

橋の向こうを眺めるアルジとミシダム。


ミシダム「オレは何度か挑戦した」

アルジ「挑戦って?」

ミシダム「大前隊第一隊の昇格試験だ」

アルジ「昇格試験?

 大前隊って試験があるのか?」

ミシダム「ああ」

アルジ「学校みたいだな」

ミシダム「外の者には少し奇妙に思えるかもな」

アルジ「知らなかったぜ」

ミシダム「オレは15のとき大前隊に入隊した。

 とにかく武術が得意で地元じゃ神童扱いだ。

 親、教師、いろんな大人がちやほやした」

アルジ「………」

ミシダム「三隊から二隊の昇格はすぐだった。

 二隊の主力級になるのにも

 あまり年月はかからなかった」

アルジ「一隊はどうだったんだ?」

ミシダム「これが通らない。

 1回、2回と試験に失敗。

 3回目で行けるかと思ったがだめだった」

アルジ「そうか」

ミシダム「何しろ大陸中の大前隊員、

 その上位たったの10人が一隊だ。

 二隊の連中の間では『一隊の壁』と呼ばれる。

 越えるには、並大抵の力では不可能」

アルジ「そうなのか」

ミシダム「そして、試験会場に行くと分かる。

 ある程度自分が強いと、これが分かっちまう。

 不思議なことに」

アルジ「何が分かるんだ?」

ミシダム「受かるやつが誰か分かる。

 試験の前に。会場で。

 一隊に行くやつは、闘気というか、

 闘志というか、そういうものが違う。

 根本から違う。力とか技とか戦闘能力以前に」

アルジ「………」


ミシダムは視線を移す。

橋の向こうからアルジの方へ。


ミシダム「そして、お前にはそれを感じる」

アルジ「え…?」

ミシダム「今は力も技も不十分かもしれない。

 だが、オレは感じる。お前には闘気がある。

 第一隊の連中と同じ闘気が」

アルジ「そう…なのか…?」

ミシダム「だから、自信を持て」

アルジ「…おう!」

ミシダム「オレは詰所で休む。

 しばらくしたら交代しよう。

 交代したあとは、朝までオレが見張る」

アルジ「ああ、分かった」


ミシダムは去っていった。

静かに時間は流れていく。

まぶたが勝手に閉じてくる。

首を振って、眠気を払った。


アルジ(あの橋の向こうがナラタの国か…。

 魔術師が待ち構えてるかもしれない…

 リネはそう言ってたけど…

 そんな感じはしないぜ…)


宿屋の方に2人の人影。

アルジの方へやってくる。

エミカとミリだった。


エミカ「差し入れだ」

ミリ「おいしいよ」


エミカの手に1枚の皿。

その上に大きな団子が4個。


アルジ「うまそうだ!」

ミリ「宿屋の若女将が作ってくれた」

アルジ「そうなのか」

エミカ「アルジの見張りの話をしたら、

 何かしないではいられないって感じで…」

アルジ「あとで礼を言わないとだな」

エミカ「ああ。それにしても…静かなものだな」

ミリ「見張らなくてもいいんじゃない?」

アルジ「どうだろうな…」

エミカ「ミシダムさんは?」

アルジ「今はあっちで休んでるぜ。

 あとで交代する。

 エミカも、ミリも休んでろよ」

エミカ「そうさせてもらうよ」

ミリ「明日のためにしっかり回復させとくね」

エミカ「それじゃ、気をつけて」

アルジ「おう」

ミリ「困ったらいつでも助けを呼んでね」

アルジ「おう。

 でも、なるべくそうならないようにする」


宿に戻っていくエミカとミリ。

また1人きりになる。

特に異常は見られない。

橋の上も、橋の向こう側も。

近くにあった大きな石の上に座る。

月明かりの下、団子を1個食べた。

弾力のある薄皮の中に甘辛い具材。

みっしりぎっしりと包まれていた。

あっという間に2個食べてしまう。

それから、さらに見張りを続ける。

日付が変わった頃、ミシダムが現れた。


ミシダム「交代しよう」

アルジ「これ、差し入れだ」

ミシダム「宿屋の団子だな!

 オレはこいつが好物なんだ!」

アルジ「うまかったぜ」

ミシダム「そうだろう」

アルジ「じゃあな。何かあったら呼んでくれ」

ミシダム「おう」


宿屋へ戻り、アルジは眠りにつく。

そして、そのまま何事もなく朝を迎える。



◆ 都 ◆

エオクシ、アヅミナ、カタムラの3人は旅立つ。

日の出前、空が明るくなり始めた頃に。

人目を避け、小路を選び、彼らは歩く。

都の外れに広がる野原に向かって。

そこに着くと、アヅミナはカルスを取り出す。

彼女が魔力を注ぐ。

カルスは瞬く間に巨大化する。

3人はその上に乗った。


カタムラ「ほっ、これがカルスですか。

 素晴らしい。

 それでは、早速行きましょう!」


3人が目指すのは、オキシマの国。

都から遥か南東へ行ったところにその国はある。

徒歩だと50日はかかる。

しかし、カルスなら1日。

浮かび上がり、空を飛ぶ。


エオクシ「………」

カタムラ「エオクシさん」

エオクシ「…なんだ?」

カタムラ「あまり神経質にならずに」

エオクシ「なってねえ」


進む先をじっと見つめるアヅミナ。

その顔には憂いの色。


アヅミナ(これから行くのは古代遺跡…。

 虚構街…。遥か昔、なんらかの力で

 一瞬で滅んだとされる都市。

 カタムラという男…この学者は…

 一体何を考えている…?

 シノ姫の考えも分からない…。

 だけど、間違いなく言える。

 何か危険を冒そうとしている…。

 このカタムラという人は。

 そして、不測の事態に備えるため…

 あたしたちは同行する…)


カルスは速度を上げる。

空はよく晴れていて、雲はほとんどない。

目的地まで夕刻には着く見込みだった。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ エオクシ ◇

◇ レベル 37

◇ HP   3692/3692

◇ 攻撃

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 防御

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 素早さ

 46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 35

◇ HP   404/404

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術


◇ カタムラ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   766/766

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御   9★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力   3★★★

◇ 装備  魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、

      探検用強化研究衣

◇ 魔術  光玉、治療魔術

◇ 秘術  青珠

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