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アルジ往戦記  作者: roak
64/300

第64話 国境

トウオウ道を進むラアムとナアム。

小さな村を通過する。

ひたすら進み続ける。

国境が近い。

クユの国とナラタの国。

その境に近づいている。

ナラタの国はクユの国よりも大きい。

人口も面積も2倍ほど。

その国に北土の魔術研究所はある。

雨は一向に止まない。

それどころか強まっていく。


リネ「これはだめですね。休憩しましょう」

アルジ「ああ、そうしよう」


アルジたちはラアムとナアムから降りる。

近くの木陰でしばらく休むことにした。


ミリ「雨が当たりますね」

リネ「こっちへ来て」


リネが岩壁魔術を使う。

頭上に岩の壁が現れた。

木の幹から生えたかのように。

薄い岩壁が水平方向に広がる。

ちょうど屋根のようになった。

岩壁は雨をまったく通さない。

その下でアルジたちは雨宿りをする。


ミリ「リネさんの岩壁魔術、便利ですよね」

リネ「いろんな使い方ができていいでしょう」

ミリ「私もそういう魔術が使えたらいいな」

エミカ「ミリが使うなら氷の壁か」

ミリ「そう、そういうの」

リネ「便利だけど少し寒くなっちゃうかも」

エミカ「寒いのはちょっとな」

ミリ「エミカが火でみんなを温めてよ」

リネ「ぜいたくな雨宿りになりますね。

 いいでしょう。今度やってみましょう。

 あなたたちの魔術の訓練も兼ねて」

エミカ「…!」

ミリ「やってみよう」

エミカ(氷の壁を解かさずに人を温める…

 火の調節が大変だな)

アルジ「いいな。オレもそこに入れてくれよ」

ミリ「アルジは有料だよ」

アルジ「は?なんでだ!!?」

ミリ「当たり前でしょ。

 私とエミカが頑張るんだから」

アルジ「安くしてくれよ」

ミリ「考えとくね」


雨が強まる。

バチバチと草木に当たる雨粒。

2人の旅人たちが駆けてくる。

アルジたちのところへ。


旅人A「すんません、

 ちょいと雨宿りさせてください」

リネ「どうぞ」

旅人B「こりゃあ助かる!どうもありがとう!

 しかし、この岩は一体…!?」


めきめきと音を立て、岩壁は横へ広がる。

旅人の男たちの頭上も覆う。

驚く2人。


リネ「私の魔術です」

旅人A「魔術!はーっ!」


驚く旅人たち。


旅人B「魔術師さんたち、どちらまで?」

リネ「北土の魔術研究所まで」

旅人B「てことは、これから国境を越えるのか」

リネ「はい」

旅人B「これ、ささやかですが通行料の足しに。

 雨宿りのお礼だ」

リネ「これはどうも、ありがとう」

旅人A「私たちはナラタの国から来ました。

 関所でやたら金をとられましてね…」

アルジ「金をとるのか」

エミカ「ああ。

 国境を越えるには普通はお金がかかる」

アルジ「そうなのか」

ミリ「世間知らずだな」

アルジ「しょうがないだろ。

 ナキ村から出たことなかったんだから」

旅人A「ナキ村!あなたナキ村の方ですか?」

アルジ「ああ、そうだ」

旅人A「そうでしたか。

 私はナキ村好きですよ。のどかで」

旅人B「旅の目的地ではないが、通る予定だ」

旅人A「ちょっと立ち寄ってみようじゃないか」

旅人B「そうだな。寄りたくなった」

旅人A「あの村の郷土料理がなかなかうまい」

旅人B「ああ、なんだっけ?あの鍋の…」

アルジ「…ドブノフ煮込みか?」

旅人B「そうだ!それだ!」


それから、ナキ村の郷土料理の話で盛り上がる。

アルジは強く主張した。

ドブノフ煮込みよりうまい料理があると。

さらに、ナキ村の景勝地について話し合う。

旅人たちはアルジの話を熱心に聞いた。

ふと気がつくと、雨は止んでいた。

分厚い雲は消え、青空が見えている。

リネは岩壁を消した。


旅人A&B「ありがとうございました」

アルジ「じゃあな」

エミカ&リネ&ミリ「さようなら」


アルジの顔をじっと見るミリ。


アルジ「なんだ?どうした?」

ミリ「好きなんだね。自分の村が」

アルジ「好きっていうか…詳しいぜ。

 それなりに。ずっと住んでたからな」

ミリ「私もちょっと行ってみたくなったよ。

 ナキ村に」

アルジ「ああ、今度案内してやるぜ」

リネ「そのときは私もお願いしますね」

アルジ「ああ」

エミカ「私も頼むよ」

アルジ「もちろん」

エミカ「ナキ村って行くことがないんだよな。

 ワノエの隣にあるんだけど」

アルジ「…そうだろな。

 ナキ村からワノエに行く人は多いけど」

ミリ「ワノエの方がいろいろあるしね」


リネはラアムとナアムを取り出す。

そして、エミカとミリに笑いかけて言う。


リネ「あなたたち」

エミカ&ミリ「はい」

リネ「まだ苦しくないでしょ?」

エミカ「そうですね」

ミリ「はい。確かに」

リネ「ガヒノからもうかなり進みました」

エミカ「はい」

リネ「しかも、かなりの速さで。

 でも、苦しくない」

ミリ「疲れてません」

リネ「それは魔力が増えた証。

 あなたたちは強くなった。

 短い間に、信じられないくらいに」

エミカ「まだまだ行けます」

ミリ「余裕です!」

リネ「それだけ成長したんです」

アルジ「やったな」

リネ「アルジさん」

アルジ「ああ」

リネ「あなたもです」

アルジ「え?」

リネ「少しずつですが成長してます。

 あなたの魔力も」

アルジ「そうか。あんまり実感なかったけど」

リネ「今度、教えてあげましょう。

 魔術の使い方を」

アルジ「本当か!オレが魔術を…」

エミカ「楽しみだな」

ミリ「どんな魔術が使えるようになるんだろう」

アルジ「カッコイイのがいいな」

リネ「どうでしょうね…。

 あなたの魔術がどんなものになるか。

 私にも分かりません。

 でも、お手伝いならできます。

 魔術を使えるようになるまでの…」

アルジ「ありがとう。頼むぜ」

リネ「はい」


出発する。

ラアムとナアムは軽快に走る。

やがて道は下り坂に。

右へ、左へ、緩やかに曲がりながら下っていく。

ナアムがラアムに遅れることはない。


リネ(エミカもミリも…本当に強くなった)


ラアムを操縦するリネ。

その後ろにアルジが乗っている。

リネの背中に向かってアルジは言う。


アルジ「ベキザルは強かったけど、

 戦ってよかったと思う。

 エミカもミリも魔術が上達したし」

リネ「昨夜、ガヒノの広場でも言ってましたね」

アルジ「ああ」

リネ「私もよかったと思います。

 今日この調子で進んでいけば、

 旅の遅れも取り戻せそうですし。

 それに…貴重な実戦経験が得られた。

 普通の訓練では得られない経験が。

 それはヤマエノモグラモンのときも

 そうなんですが…」

アルジ「ああ。

 マスタスとの戦いにも備えられたな」

リネ「そう…ですね」

アルジ「………」


長い橋にさしかかる。

見下ろせば、大きな川。

かなり古い橋で幅が狭い。


リネ「慎重に行きましょう」


ラアムが渡り切ってから、ナアムも渡る。

ナアムが渡り終えるとき。

ビシッと大きな音がした。

だが、橋が壊れる様子はない。

一息ついて、また進む。


アルジ「ミリは魔術院に行くのか?」

リネ「その話…ミリに聞いたの?」

アルジ「ああ」

リネ「正直に言って、あの子の素質はすごい。

 真面目に訓練し続ければ、なれると思う。

 大陸でも最上級の魔術師に」

アルジ「最上級…。そっか」

リネ「私があの子と同じ年齢だったときより、

 今のあの子の魔力は強い。だけど…」

アルジ「なんだ?」

リネ「ミリにはその気持ちはないみたい。

 本人が行きたくないのなら、仕方ないけど、

 魔術師としては惜しいと思う。とても」

アルジ「そっか」

リネ「だから、よく考えてって言っといた」

アルジ「そうだったのか」

リネ「ええ」

アルジ(あのとき…リネが怒ってたのは…

 何か…別な理由があったのか…?

 よく分からん…。でも…今ここで…

 問い詰めるような話じゃないよな)


国境へ向かって進み続ける。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 15

◇ HP   933/933

◇ 攻撃

  25★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 防御

  22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 素早さ 16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  4★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り


◇ エミカ ◇

◇ レベル 13

◇ HP   630/630

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火


◇ ミリ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   522/522

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  24★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷


◇ リネ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   921/921

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 13★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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