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アルジ往戦記  作者: roak
60/300

第60話 失神

アルジは剣を腰に携えたまま。

何も武器を持たず、ダンシモと向き合う。

そんなアルジをダンシモはにらみつける。


ダンシモ(こいつ!!なめやがって!!だが…)


ダンシモが連れてきた3人の警備隊員。

彼らがダンシモに加勢する様子はない。

ただ近くで黙って見ていた。


ダンシモ(勝てるのか!?)

アルジ「おい!どうした?来ないのか?」

ダンシモ(こいつの迫力は一体なんだ…?

 この迫力はどこから来てやがるんだ…?

 オレの方がでかい。だが。圧される…!

 こうして向かい合ってるだけで圧される…!

 この感覚は…なんだ?この感覚は前にも…!

 …そうだ…これはっ!!)


ダンシモは思い出す。

苦い敗北の記憶を。



◆◆ 4年前 ◆◆

◆ ガヒノ ◆

その年、ダンシモは警備隊隊長に就任した。

盗賊団を成敗した功績が評価されたために。

それからしばらくした頃

クユの国の役人が町を訪れる。

役人の名はマシジマ。

マシジマは中央政府から派遣された高級文官。

そんな彼がガヒノ警備隊を視察しにきた。

マシジマは戦士を1人連れてきていた。

彼の護衛役として。


ダンシモ「ここが訓練場です」


警備隊の施設を案内するダンシモ。

その日は視察のため、施設を空けていた。

誰もいない静かな訓練場に3人は来た。

マシジマが入っていき、護衛の男も入る。


マシジマ「案内どうも」

護衛の男「………」

ダンシモ「おい…あんた」


ダンシモは護衛の男に声をかける。

湧き上がる衝動を抑えられなかった。


護衛の男「?」

ダンシモ「護衛ってことは…強いんだろ?」

護衛の男「まあな」

マシジマ「………」

ダンシモ「お偉いさんの護衛だからなぁ…。

 そうだよなぁ…。

 強くなくちゃ勤まらないよなぁ」

護衛の男「何が言いたい?」

ダンシモ「ここで勝負しろ」

護衛の男「勝負だと…?」

ダンシモ「殺し合おうってわけじゃねえ。

 ここは訓練場だ。設備も備品もある」

護衛の男「………」

マシジマ「相手をしてやりなさい」

護衛の男「…はい」

マシジマ「この方は…身をもって知らなければ

 納得してくれないようだから…」

ダンシモ「…ふんっ」


訓練用の木製武器を手に、両者は向き合う。

護衛の男が武器を構える。

今にも攻撃を仕掛けてきそうな体勢。

強い闘気が全身からあふれ出す。


ダンシモ「!!?…は…はいや…!!」


打ち倒される。

1度も反撃できずに。

ダンシモは即座に悟る。

次に彼を襲ったのは、息が止まるほどの恐怖。

腕が、脚が、冷えて固まって動かなくなる。

護衛の男は大きなため息をついた。

それから、退屈そうに武器を床に放り投げた。

斧を模した、その木製武器を。


ダンシモ「なんだ…お前…。おい…今のは…」

マシジマ「詫びてもらおう

 さっきの無礼な振る舞いを」

ダンシモ「………」

マシジマ「私の護衛に圧倒されて戦意を失った」

護衛の男「あの程度で縮こまっちゃ

 戦う気が失せる。

 自分から挑んでおいてあのざまかよ」

ダンシモ「…くそ!」

マシジマ「だが、決して恥じることではない」

ダンシモ「…は?」

マシジマ「彼は大前隊の戦士だから」

ダンシモ「な…!大前隊!!」

護衛の男「オレの名はガシマ。

 昨年、第一隊に昇格した」

ダンシモ「ガシマ…」

ガシマ「第一隊は、戦士の頂点に立つ存在。

 そんなわけだから、恥じることじゃねえ。

 弱者が強者を前にして縮み上がる。

 そんなのは当然のことだからな」

ダンシモ「ぐ…!」

マシジマ「ここには今、我々3人だけです」

ダンシモ「…あ?」

マシジマ「この1件、言わないでおきます。

 町長さんにも。あなたの部下にも。

 黙っておいてやりましょう。

 だから、心の底から我々に謝りなさい。

 さあ、今ここで謝りなさい」

ダンシモ「………」

ガシマ「謝れ!!」

ダンシモ「…!!」

マシジマ「ほほほ…」

ダンシモ(クソ!!大前隊がなんだ…!

 なんだってんだ!!

 この役人も偉そうにしやがって…!!

 気に食わねえ!!!気に食わねえ!!!)


謝罪を求められても、素直に応じられない。

それどころか彼はマシジマに悪態をついた。


ダンシモ「…クソ野郎が…!」


すぐさまガシマの拳が飛んできた。

その拳はダンシモの顔面に当たる。

大きな打撃音が静かな訓練場に響き渡る。

激痛のあまりダンシモはうずくまる。

だが、ガシマは起こして再び殴る。

言葉はない。

無言で、ただ殴る。

苦痛を与えるため、的確に拳を当てる。

それはあまりに強烈な連打。

ダンシモの戦意は完全に失われた。

それでも殴り続けるガシマ。


ダンシモ「ひっ…ごめんな…さい…!」

マシジマ「…もうよいでしょう」

ガシマ「………」


ダンシモが詫びるまで顔面の殴打は続いた。

腫れ上がり、変形した顔。

別人と見間違うほど。

その日、ダンシモの心は深く傷つけられた。



◆◆ 現在 ◆◆

ダンシモは剣を振り上げる。

アルジに斬りかかっていく。


ダンシモ(そうだ!こいつの迫力は…

 あのときのあいつと…ほぼ同じ…!

 嫌なことを…思い出させやがって…!)


大きく剣を振り下ろす。


ダンシモ(オレはここで変える!!

 オレ自身を!!過去の自分と決別する!

 あのときできなかった…踏み込み!!

 そして…斬り込み!!今ここで…やる!!

 お前を倒し…過去の自分の醜態を打ち消す!!

 食らえ!!)


刃が当たる、そのとき。

アルジの姿がダンシモの視界から消える。


ダンシモ(!!!!!?どこだ!?)


アルジはダンシモの背後に回り込んだ。

ダンシモは気づかない。

アルジは両腕を使って締め上げる。

ダンシモの首を。

彼が失神するまで。


ダンシモ「ぐむっ!!ぐむ!!…ううん!!」


彼の体をそっと地面に寝かせた。


アルジ「モク…」

モク「…すまない」


アルジに腕を引っ張られ、モクは立ち上がる。

ダンシモが連れてきた3人の警備隊員。

彼らはモクに駆け寄ってくる。

そして、口々にモクに謝った。


モク「…いいさ。別にいいんだ」

警備隊員たち「………」

アルジ「?」

モク「…3人に任せてたんだ。

 ダンシモの注意を引きつけておいてくれと。

 オレはその間に雅繊維戦衣を持ち出した」

アルジ「そうだったのか。

 本当にオレがもらってもいいのか?

 この雅繊維戦衣を」

モク「さっきも言っただろう。託すと」

アルジ「分かった。ありがたく使わせてもらう」

モク「余計な騒ぎに巻き込んですまなかった」

アルジ「別にいいぜ。

 でも、どうするんだ?この隊長は…」

モク「縛り上げて、正査院に突き出す。

 横領だとか、いろいろ不正も働いていたしな。

 帳簿をひっくり返せば、

 いくらでも証拠は出てくる」

アルジ「そっか」


正査院は、中央政府の機関。

役人に不正がないか調査する。

警備隊の不正も彼らの調査対象。

ワノエ警備隊にも近いうちに調査が入る予定。

アルジは雅繊維戦衣を着た。


アルジ「!!軽い!なんだこの服は!!

 それに…すごく丈夫そうだ!」

モク「よく似合ってるぞ」

アルジ「そうかな…。本当にありがとう」


アルジは歩き出す。

警備隊員たちに別れを告げて。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 15

◇ HP   772/933

◇ 攻撃

 25★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 防御

 22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 素早さ 16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  4★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り


◇ エミカ ◇

◇ レベル 13

◇ HP   630/630

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火


◇ ミリ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   522/522

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  25★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷


◇ リネ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   921/921

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 13★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ ダンシモ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   685/685

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御  8★★★★★★★★

◇ 素早さ 6★★★★★★

◇ 魔力  

◇ 装備  隊長の剣、隊長の戦闘着

◇ 技   海千山千斬

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