第6話 再会
◆ トノク峠 ◆
月明かりに照らされる峠の道。
アルジとエミカは話しながら歩く。
エミカ「わずかに魔力を持っているな?
どうやって身につけた?」
アルジ「…いつの間にかって感じだな」
エミカ「覚えてないのか?」
アルジ「ああ。知らないうちに身についたんだ。
でも、心当たりがないこともないぜ」
エミカ「なんだ?」
アルジ「3年前、オレの村をヤマグマが襲った。
そのとき、オレはそいつの魔波に当たった。
考えてみるとあれがきっかけかもしれない」
エミカ「…その剣は?」
アルジ「剣?これか?オレの村に伝わる宝剣で…」
エミカ「その剣にも…ちょっと魔力を感じる」
アルジ「剣から?魔力なんて出てないぜ」
エミカ「私には分かる。感じられる。
その剣がアルジに魔力を与えたのかも」
アルジ「剣が…?」
エミカ「魔力の感じが似てる」
アルジ「オレの魔力が…剣の魔力と?」
エミカ「そうだ」
アルジ「………」
歩きながら剣をじっと見るアルジ。
アルジ「…よく分からん」
エミカ「今度、よかったら魔術について教えるよ」
アルジ「!」
エミカ「この先どんな敵が現れるか分からないし。
それに、北土の魔術師と戦うことになれば
魔術は欠かせないものになるだろうから」
アルジ「本当か!さっきのは驚いたぜ。
どうやったんだ?あれは!」
エミカ「大したことない。初歩の魔術だ」
アルジ「あれで初歩なのか…。教えてくれ!」
エミカ「ああ。いいけど、簡単じゃないぞ。
魔術は一言で教えられるものじゃないからな。
勉強して実践して失敗しながら習得するんだ」
アルジ「勉強…失敗…か…!」
エミカ「嫌なことかもしれないけど、
どれも大事なことだ」
突然、5匹の獣が林の中から姿を現す。
それらはトノクザルと呼ばれる小型の獣。
トノク峠を中心に群れをなして生息している。
もともとは臆病な性格。
しかし、餌づけする人々に甘やかされ、増長。
いつしか峠の通行人を襲うようになった。
行楽に訪れた親子が惨殺される事件もあった。
5匹はじりじりとアルジたちに近づいてくる。
叫び声を上げ、威嚇しながら。
エミカ「帰るつもりはないようだな」
アルジ「そうみたいだ」
エミカ「やるしかない」
アルジ「…ああ」
エミカは杖を振り上げて火球を作り出す。
そして、トノクザルに向かって飛ばした。
1匹のトノクザルに命中する。
メラメラと体毛が燃え上がる。
地面の上を転げ回る。
こんがりと体が焼かれた。
トノクザルたちの奇声が辺りに響く。
焼かれた1匹は動かなくなった。
◇ トノクザルAに89のダメージ。
◇ トノクザルAを倒した。
アルジ「やるな…!」
エミカ「これで逃げてくれたらいいけど…」
トノクザルたち「ギャー!!」
アルジ「………だめみたいだぜ」
トノクザルたち「ギャー!!」
トノクザルたちは逃げ出す様子がない。
アルジとエミカをますます威嚇する。
アルジ「今度はオレの番だ!」
アルジは地面を強く蹴る。
駆けていき、ひらりと跳び込む。
トノクザルの群れの中へ
剣を構える。
エミカ「え…!」
アルジを取り囲むトノクザルたち。
爪でひっかき、牙でかみつこうとする。
だが、アルジの剣はその速さを上回る。
アルジ「食らえ!!円月斬り!!」
アルジは体を回転させて力強く剣を振る。
4匹のトノクザルを一気に斬り裂いた。
◇ トノクザルBに101のダメージ。
◇ トノクザルCに96のダメージ。
◇ トノクザルDに77のダメージ。
◇ トノクザルEに82のダメージ。
◇ トノクザルB〜Eを倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
エミカ「…やるな!」
アルジ「まあな」
口笛を吹く音が聞こえる。
前方から、フュー、フューと少しかすれた音。
闇の中からゆらりと姿を現す1人の男。
男「トノクザルのやかましい声が聞こえたから
何事かと思って来てみたが…」
アルジ&エミカ「………」
男「見事じゃないか。アルジ!」
アルジ「なぜオレの名前を?お前は誰だ?」
オオデン「オレだ。オオデンだ!」
アルジ「オオデン!お前が!?」
オオデンの様子は3年前と変わっていた。
ずんぐりとした体型で髪も髭も伸び放題。
身にまとった鎧はボロボロだった。
オオデン「腕を上げたようだな」
アルジ「オオデン…なのか?本当に」
オオデン「ああ、まあ、無理もない。
少し変わったからな」
アルジ「少しじゃないだろ」
オオデンは力なく笑う。
何よりアルジの目を引いたもの。
それは、だらりと垂れた彼の左腕。
オオデン「さっきからこの腕を見ているな?」
アルジ「その腕どうしたんだ?動かないのか?」
オオデン「敵にやられた」
アルジ「敵…」
オオデン「話せば長くなる」
エミカは黙って見ていた。
アルジとオオデンの再会を。
アルジ「確か…ワノエの警備隊長だったよな」
オオデン「隊長じゃない。副隊長だ。
だが、今じゃもう副隊長でもないんだが」
アルジ「どうしたんだ?」
オオデン「クビになった」
アルジ「何があった?」
オオデン「任務で重大な失敗をした」
オオデンは話した。
警備隊をクビになった経緯について。
事件は2年前。
1つの依頼がワノエ警備隊に舞い込む。
依頼者はワノエ町の富豪カサナ家。
内容は、屋敷の警備をしてほしいというもの。
発端は、カサナ家に送られた1通の手紙。
強盗予告の手紙だった。
カサナ家を憎む何者かのいたずらではないか。
当初、警備隊はそのように考える者が多数。
だが、手紙を読んだオオデンは直感する。
ただならぬ悪人の気配を。
当時、ワノエでは強盗事件が多発していた。
そのこともあって彼は依頼を引き受けた。
そして、警備に当たる。
カサナ家警備の最高責任者として。
警備を始めて3日目の夜のこと。
ついに強盗団が現れる。
オオデンたちは対決する。
オオデン「そこでオレは負けた」
アルジ「その腕は…」
オオデン「そのときの傷によるものだ。
決して治らない深い傷を負った。
今じゃこの左手、果実の1つもつかめない」
アルジ「事件はどうなったんだ?」
オオデン「カサナ家の財宝はすべて奪われた。
一家も全員殺された。そして、オレの部下も」
アルジ「………」
オオデン「やつらに復讐するため、
オレは今、生きている。
あの憎き強盗団の息の根を止めるために」
アルジ(オオデンは…ただの力自慢とは違う。
3年前も戦いの専門家って感じだった。
その男を…ここまで打ちのめした強盗団。
一体…何者なんだ…?)
オオデン「お前たちも気をつけろよ」
アルジ「何者なんだ?その強盗団って」
オオデン「それが分かれば苦労はないさ…。
だが、あの日、強盗団の指導者は名乗った。
自らを『カクノオウ』とな」
アルジ「カクノオウ…」
オオデン「古い歴史書にたまに出てくる。
雷を操る戦士だ。実在したかは定かじゃない。
伝説上の存在だ。それになぞらえているようだ」
アルジ「雷を操るって…」
オオデン「魔術だ。やつは魔術を使う」
アルジ「魔術師なのか」
オオデン「魔術師ではない」
アルジ「なら、なんなんだ」
オオデン「剣士だ。だが、魔術も使える」
アルジ「そんなやつがいるのか」
エミカ「いるよ」
会話にエミカが入ってくる。
エミカ「でも、そういう人は少ない。まれだ」
アルジ「まれなのか」
オオデン「かつてはオレもそうなろうとした。
だが、無理だった。魔術は今も使えない」
エミカ「雷術使いで、剣士か。
その強盗団の指導者がどんな使い手か。
魔術師として少しだけ興味がある」
アルジ「戦いたいか?」
エミカ「悪党は退治したい。アルジもそうだろ」
アルジ「まあな」
オオデン「なあ、お前たち、オレと組まないか?」
アルジ「組む?」
オオデン「力を合わせて強盗団を倒さないか?」
アルジ「そうだな…」
オオデン「どうだ?」
アルジ「ああ、分かった。いいぜ。
あんたには3年前世話になったしな」
オオデン「…助かる」
アルジ「エミカはどうする?」
エミカ「リネ先生のところに行くんだろ?
話を聞きにいくんじゃないのか?」
アルジ「ああ、そうだ。そうだったな。
まずは魔術師の先生の話を聞きに行こう。
強盗団を倒すのはそのあとだな!」
エミカ(…行き当たりばったりだな)
アルジ「エミカはどうするんだ?」
エミカ「私も手伝わせてもらうよ。
魔術の実戦も兼ねて」
オオデン「よし!!決まりだな!!」
◇ オオデンが仲間になった。
こうしてアルジたち3人はワノエを目指す。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 4
◇ HP 145/145
◇ 攻撃 8★★★★★★★★
◇ 防御 4★★★★
◇ 素早さ 4★★★★
◇ 魔力 1★
◇ 装備 勇気の剣、革の鎧
◇ 技 円月斬り
◇ エミカ ◇
◇ レベル 4
◇ HP 127/127
◇ 攻撃 2★★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ 5★★★★★
◇ 魔力 7★★★★★★★
◇ 装備 術師の杖、術師の服
◇ 魔術 火球
◇ オオデン ◇
◇ レベル 10
◇ HP 336/336
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 4★★★★
◇ 素早さ 3★★★
◇ 魔力 2★★
◇ 装備 鉄の短剣、錆びた鎧
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬 9
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ トノクザル ◇
◇ レベル 2
◇ HP 68
◇ 攻撃 3★★★
◇ 防御 1★
◇ 素早さ 2★★
◇ 魔力