第56話 頑丈
暗い森の中。
光る2つの黄色の目。
ベキザルの長がやってくる。
アルジは向かっていく。
1歩、また、1歩。
勇気の剣を握りしめ、歩いていく。
歩みは次第に速くなる。
張り出した木の根を踏み越える。
むき出しの大きな岩を蹴る。
そして、駆け出す。
アルジ「うおおおお!!!!」
ベキザルの長に斬りかかる。
エミカ、リネ、ミリは静かに見守る。
エミカ(…すごい気迫だ)
ミリ(倒せ!アルジ!!)
リネ(アルジさん、あなたは分かっている…)
ベキザルは強く腕を振る。
勇気の剣は弾かれた。
アルジ「くっ!」
大きくよろめくアルジ。
すぐに体勢を立て直す。
十分な間合いをとる。
ベキザルとにらみ合う。
アルジ(なんて力だ…!
まともに食らえば飛ばされる…!)
ベキザルの長「ファー!!」
アルジ(体もでかい!オレの倍くらいあるか?
圧力がやばい!だが!オレは退かない!!
勝つ!絶対に勝つ!安定の玉を取り返すため…
こんなところで負けるわけにはいかない!!)
ベキザルの長「ファー!!」
リネは小さくうなずいた。
アルジの背中を見つめて。
リネ(アルジさん、あなたは分かっている。
この戦いが、ただの魔獣駆除ではないと。
私たち人とベキザル。強いのはどちらか。
それを決める最後の戦いだということを。
大将同士の大事な戦いだということを。
アルジさん、あなたは分かっている)
エミカもミリも黙っている。
重い緊張。
深い静寂。
発する言葉はない。
言葉を発する気になれない。
心の中でアルジに声援を送る。
エミカ(勝て!!)
ミリ(負けるな!!)
アルジは踏み込む。
剣が届く、その距離まで。
ベキザルの長は両腕を高く上げる。
迎え撃つ姿勢。
ベキザルの長「ファー!!!」
アルジ(この巨体に…あの怪力…)
ベキザルの長「ファー!!」
アルジ(真っ向から攻め合えば分が悪い…!
なら、どうするか。オレの答えはこれだ!)
アルジは木に登った。
近くにそびえる大きな木に。
跳び上がり、太い枝をしっかりつかむ。
腕の力で一気に体を持ち上げる。
そこから、さらに登っていく。
枝をつかんで、蹴って、登っていく。
上へ、上へ、スルスルと滑らかな動きで。
ベキザルを見下ろす高さまで登る。
ほんのわずかな時間に。
エミカ(なんだ…!?あの動きは!!)
ミリ(まるで獣だ…!)
ベキザルの長はアルジが登った木を見上げる。
茂った葉の奥に潜むアルジ。
ベキザルの長は彼の姿を見失っていた。
ベキザルの長「ファー…」
アルジ(見せてやる…!)
アルジは枝から跳ぶ。
頭が下に、脚が上に。
真っ逆さまの体勢で。
アルジ(力比べがだめなら、技で勝負!!
これがオレの結論だ!!!)
森の中、落ちていく。
アルジはベキザルの長をとらえる。
両目で、しっかりと。
そして、勇気の剣を素早く振り抜く。
アルジ(朔月斬り!!)
ベキザルの長の頭を大きく斬った。
◇ ベキザルの長に658のダメージ。
ベキザルの長「ファーー!!!」
アルジは体を回転させ、着地する。
森の柔らかな土の上に立つ。
頭を抱え、苦しむベキザルの長。
軽やかな空中攻撃が決まった。
エミカ「すごい…」
ミリ「アルジって…あんなこともできるんだ」
リネ「アルジさんは山や川といった
自然の中で技を磨いた。
ナキ村の村長さんからはそう聞いています。
だから、ああいう戦い方もできるんでしょう」
タジヤ「…かっこいい…!」
アルジの連続攻撃が始まる。
一気に勝負を決めにいく。
アルジ「行くぜ!!剛刃波状斬撃!!!」
脚を深く斬る。
◇ ベキザルの長に758のダメージ。
左腕を斬り落とす。
◇ ベキザルの長に838のダメージ。
腹部を斬り上げる。
◇ ベキザルの長に919のダメージ。
地面に倒れるベキザルの長。
アルジ「これで終わりだ」
狙いを定め、速く小さく剣を振る。
アルジ「朔月斬り!!」
ガツンと大きな音が響く。
頭部を深く斬り裂いた。
◇ ベキザルの長に1146のダメージ。
ベキザルの長「………」
アルジに駆け寄るタジヤ。
タジヤ「すごいな!」
アルジ「これでもう安心だぜ」
アルジは剣をしまい、タジヤに笑いかけた。
そのとき。
突然、奇声を上げるベキザルの長。
ベキザルの長「ファアアアー!!!」
アルジ「!!?」
タジヤ「!!!」
ベキザルの長はゆらりと立ち上がる。
大きく開けた口から飛び出したのは、火砲。
アルジはタジヤをかばう。
左腕を焼かれた。
アルジ「ぐああああ!!!」
タジヤ「わっ…!」
倒れ込み、地面の上でのたうちまわる。
◇ アルジに478のダメージ。(HP494→16)
エミカ「アルジ!!!」
ミリ(魔力がない…!助けたいけど、無理!!)
リネ「アルジさん!!」
リネは杖を振る。
再生魔術をアルジに使った。
強い光がアルジを包む。
◇ アルジはHPが563回復した。(HP16→579)
そこへ振り下ろされる太い腕。
アルジ「ゴフッ!!!」
硬く握られた拳がアルジの腹部を強く打つ。
身につけていた銀獣の鎧は破壊された。
◇ アルジは563のダメージ。(HP933→16)
さらにもう1発。
拳が振り下ろされようしたとき。
閃光と轟音。
アルジ「!!!!」
リネの魔術。
王雷だった。
ベキザルの長「………」
頭に雷を落とされ、崩れ落ちる。
◇ ベキザルの長に2091のダメージ。
◇ ベキザルの長を倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。(レベル14→15)
◇ リネはレベルが上がった。(レベル25→26)
アルジ「終わった…」
リネ「…ふう…」
よろめきながら立ち上がるアルジ。
アルジ「リネ…ありがとう」
リネ「…油断は禁物です」
アルジ「ああ…。
最後、倒したと思ったんだけどな」
リネ「頭の骨が異常に厚いのでしょう」
アルジ「なめてたぜ…。魔獣の頑丈さを…」
歩いてくるエミカとミリ。
エミカ「アルジ、お疲れ様だ」
アルジ「心配かけたな」
ミリ「頑張ったね」
アルジ「おう、次は油断しない」
エミカ「死ぬんじゃないかと思ったぞ」
アルジ「リネがいなかったら死んでたな」
ミリ「無理しないでよ」
アルジ「心配かけてすまなかった」
エミカ「最後まで気を抜くな」
アルジ「おう、分かってる」
ミリ「さあ、帰ろうよ」
リネ「………」
ミリ「リネさん…?」
リネ「さっきの王雷で…
魔力を使い果たしました」
ミリ「てことは…」
リネ「目印もすべてなくなりました」
アルジ&エミカ&ミリ「!!」
日は沈み、森の中はほとんど真っ暗。
タジヤ「早く帰ろう…?」
アルジ&エミカ&リネ&ミリ「………」
遠くで鳥が鳴いている。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 15
◇ HP 16/933
◇ 攻撃
25★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 防御 7★★★★★★
◇ 素早さ
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 4★★★★
◇ 装備 勇気の剣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ エミカ ◇
◇ レベル 13
◇ HP 403/630
◇ 攻撃 9★★★★★★★★★
◇ 防御 12★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 装備 魔樹の杖、深紅の魔道衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
◇ ミリ ◇
◇ レベル 10
◇ HP 315/522
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 7★★★★★★★
◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★
◇ 魔力
25★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 装備 魔石の杖、紺碧の魔道衣
◇ 魔術 氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
◇ リネ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 751/921
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 13★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、創造の杖、聖星清衣
◇ 魔術 雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬 25




