第52話 対抗
アルジは見つける。
森の奥で動き回るいくつもの影を。
アルジ「…あれか」
真っ赤な体毛、真っ黒な皮膚。
体の大きさはアルジと同じくらい。
牙をむき、ほえながら向かってくる。
ぞろぞろと。
その獣は、ベキザル。
いつでも跳びかかれる。
そんな距離を置いてベキザルは威嚇する。
アルジたちは武器を構える。
アルジ「縄張りに踏み込んだのはオレたち…」
エミカ「そうだな」
アルジ「でも、あいつらを倒すぜ」
リネ「それで問題ありません」
アルジ「………」
リネ「魔力に目覚め、魔力を得た獣…
つまり、魔獣。あれらは全部魔獣です」
アルジ「ああ。この近さならオレにも分かる。
あいつらが魔獣だってことは」
リネ「魔獣は危険ですから基本的に駆除対象。
魔力で人々を襲ったら大変ですから。
町にやってくる前にここで駆除できるなら…
それはよいこと。ためらう必要はありません」
アルジ「…分かった」
リネ「どうぞ。心置きなく。この大陸には…
魔獣狩りを生業にしている者もいますから」
アルジ「そうなのか」
リネ「はい」
さらに近づいてくるベキザル。
荒い息遣いまで聞こえる。
アルジは勇気の剣を握りしめる。
アルジ「オレが倒す。みんな下がっててくれ」
エミカ「試す気か」
アルジ「ああ、確かめる。
新技の威力がどれほどか」
ミリ「頑張って」
アルジ「ああ!」
アルジの対抗心は燃えていた。
花を焼いたエミカの火海。
それを鎮めたミリの氷渦。
強力な魔術を見せられて。
アルジはベキザルの群れに向かって走る。
戦いが始まる。
アルジ「うおおおお!!行くぜ!!」
ベキザルA「シャー!!」
ベキザルB「ギャー!!」
アルジは跳びかかって剣を振り抜く。
狙いを定めて一瞬のうちに。
先頭にいたベキザルを斬って倒す。
◇ ベキザルAに909のダメージ。
◇ ベキザルAを倒した。
ミリ「速い!!」
エミカ「あの技は朔月斬りだ」
ミリ「朔月斬り…?」
エミカ「剣が見えないくらい速く攻撃する技だ」
ミリ「確かに見えなかった」
エミカ「見えない月。朔月。
それから取った技の名前なんだ」
ミリ「詳しいね」
エミカ「アルジに聞いた」
着地して、もう1体。
後ろを振り向き、さらにもう1体。
朔月斬りを次々と見舞った。
頭を割って、胸を裂く。
崩れ落ちるベキザルたち。
アルジ(いい感じだ…!)
その斬撃はほとんど見えない。
◇ ベキザルBに1006のダメージ。
◇ ベキザルCに974のダメージ。
◇ ベキザルB、Cを倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。(レベル10→11)
ベキザルたち「ヒギャー!!」
残りのベキザルは驚き、おびえる。
そして、森の奥へ逃げていった。
ミリがアルジの肩を叩く。
ミリ「やるね!」
アルジ「なんだよ。にやにやして」
ミリ「次の獲物は私に譲ってよ」
アルジ「いいぜ。技の感じは大体つかめたしな」
エミカ「無理するなよ。ミリ」
ミリ「大丈夫だよ。今日は調子がいいみたい」
アルジ「へえ」
ミリ「本当だよ」
アルジ「さっきよりすごいの見せてみろよ」
ミリ「任せな!」
エミカ「………」
リネ「…先を急ぎましょう。
果たして迷子はこの先にいるのか。心配です」
エミカ「そうですね…。
魔獣に見つかってないといいけど」
モムリソウの花が咲く場所を進む。
呼吸をできるだけ控えて。
静かに、慎重に歩く。
アルジ「甘ったるい匂いだ…」
ミリ「なんかクラクラしてきた…」
エミカ「これは危ないかも」
リネ「仕方ありません。ここも焼きましょうか」
アルジ「待ってくれ。迷子がいないか見てくる」
アルジは息を止めて探し回る。
茂った草をかき分ける。
木の根の裏までのぞき込む。
アルジ「いない!」
エミカ「行くぞ!!」
エミカが花を焼き、広がる炎をミリが鎮める。
2人の魔術はさっきよりずっと滑らか。
1回目よりも2回目。
精度も速度も大幅に高まった。
◇ エミカはレベルが上がった。(レベル10→11)
◇ ミリはレベルが上がった。(レベル8→9)
アルジ「やっぱすごいな」
リネ「え…?」
リネはミリの魔波を詳しく感じ取る。
そして、彼女の大幅な成長に気づいた。
リネ(これは…?嘘でしょう…?
ミリから…これだけの…。
魔力が単に強くなっただけじゃない。
質が大きく向上した。
ぐらつき…ゆらぎ…どれもほとんどない…。
滑らかで…清らかで…力強くて…
そんな…美しい魔波…。
どうして…?これは…どういうこと?)
ミリ「リネさん、どうかしました?」
リネに見つめられ、ミリは問いかけた。
リネ「なんでもない。なんでもないよ。
さあ、行きましょう」
ミリ「はい」
エミカ(リネさん…。どうしたんだろう?)
ミリ(迷子を探したいって言ったの、
まだ怒ってるのかな)
リネは岩弾をそっと地面に置く。
光に包まれたそれは、もう17個目。
1個1個が強い光を放つ。
アルジ「さっきから何か聞こえないか?」
エミカ「…え?」
ミリ「別に…」
リネ「魔波は感じますが…
特に何も聞こえませんよ」
耳をすますアルジたち。
エミカ「あ…」
アルジ「な…聞こえるだろ」
ミリ「聞こえる…!」
リネ「この音…なんでしょう?」
遠くから聞こえてくる。
叫び声のような音。
???「…ファー…ファー…」
アルジ&エミカ&リネ&ミリ「………」
???「…ファー…!ファー…!!」
リネ「強い魔波が…近づいてきています」
アルジ&エミカ&ミリ「!」
???「…ファー…ファー…」
リネ「…遠ざかっていく?」
???「……ファー……」
次第に聞こえなくなっていく。
アルジ「あっちだ!行くぜ!音が聞こえる方へ」
アルジたちはさらに森の奥へ進む。
ベキザルたちの姿を見つける。
ベキザルたち「ファー!!!」
森の奥へ進んでいく4頭のベキザル。
その4頭は担いでいた。
1つの大きな塊を。
体を寄せ合い、肩の上に乗せて。
アルジ「あれはなんだ…?」
エミカ「分からない!もっと追うぞ!」
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 12
◇ HP 494/557
◇ 攻撃
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 15★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 3★★★
◇ 装備 勇気の剣、銀獣の鎧
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ エミカ ◇
◇ レベル 11
◇ HP 403/477
◇ 攻撃 9★★★★★★★★★
◇ 防御 12★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★
◇ 魔力
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 魔樹の杖、深紅の魔道衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海
◇ ミリ ◇
◇ レベル 9
◇ HP 315/364
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 7★★★★★★★
◇ 素早さ 9★★★★★★★★
◇ 魔力
21★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★
◇ 装備 魔石の杖、紺碧の魔道衣
◇ 魔術 氷弾、氷柱、氷乱、氷渦
◇ リネ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 751/751
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、創造の杖、聖星清衣
◇ 魔術 雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬 25
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ベキザル ◇
◇ レベル 13
◇ HP 766
◇ 攻撃 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★
◇ 魔力 3★★★
◇ 魔術 火弾、火球




