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アルジ往戦記  作者: roak
49/300

第49話 迷子

◆ ガヒノ ◆

アルジたちは町の中へ。

しばらく歩くと、大きな物産館を見つける。


アルジ「行ってみないか」

リネ「そうしましょう」


毛皮の衣服、牙の装飾品、乳製品、干した肉。

いろいろな商品が並ぶ。

どれもマレヤギから取れたもの。

店の一角には、干した果実も売られていた。

小さな赤い実、大きな白い実。

甘い香りを漂わせている。

広い館内にはほかに女の客が3人いるだけ。


ミリ「やけに静かだね」

リネ「どうしたんでしょう?」


エミカが奥に喫茶室を見つける。


エミカ「あっちで休みませんか?」

リネ「そうしましょうか」


入っていくアルジたち。

しかし、そこには誰もいなかった。

客も店員も誰1人として。


アルジ「おかしいな」

エミカ「明らかに人がいない」

ミリ「やってるんだよね?」

リネ「少し待ってみましょうか」


窓の向こう。

外で声を荒げる男たちがいた。


男A「だめだ!こっちはだめだ」

男B「こっちもいない」


アルジたちは何事かと思う。

女の客がアルジたちに近づき、教える。


女の客A「行方不明らしいよ」

アルジ「行方不明?」

女の客B「昨日から男の子が行方不明になって、

 町のみんなで探してるとか…」

エミカ「それで人がいないのか」

女の客C「ああ。おかげでどの店も休業。

 せっかくいろいろ買いにきたってのにさ」

ミリ(それで配達も遅れたんだ)

女の客A「無事見つかってくれるといいけどね」

女の客B「そうだね」

女の客C「そろそろ出よう」


去っていく女の客。

館内はより一層静かになる。

1人の男が喫茶室に走ってきた。


男「やあ、あんたたち!」

アルジ「なんだ?」

男「悪いが今日は休業だ!

 商売どころの話じゃない。

 とりあえず出てってくれないか?」

リネ「出ましょう」

エミカ「仕方ありませんね」

ミリ「………」

アルジ「どうした?ミリ」

ミリ「なんでもない。行こう」


物産館を出るアルジたち。


アルジ「あの人たちは…」

エミカ「…ああ」


町の広場に通りかかる。

輪になって立ち尽くす人々の姿。

輪の中心には、2人。

泣きはらし、うつむく女。

そんな彼女の肩を抱く男。

2人は行方不明になった子の親。


子の母「どうして…どうして…」

子の父「大丈夫だ…きっと見つかる…!」

子の母「うう…ううう…」

子の父「泣くな…!泣くんじゃない…!」

 ダジヤ…ああ…タジヤ!どこにいる!!?」


周りの町人たちが言う。


町人A「…見つからねえ。ノシタの大穴も…

 タヒマの木の下も…コタミの滝の裏側も…

 子どもが隠れそうなところは

 全部探したつもりだが、

 これがどうも見つからねえ…」

町人B「ふう…どうなってやがる…!」


悲しげな顔でリネは言う。


リネ「…行きましょう。次の町へ」

ミリ「え…?」

アルジ「………」

リネ「彼らは本当に気の毒ですが…

 私たちにも目的地があります」

エミカ「………」

ミリ「そんな…」

アルジ「………」

リネ「行きましょう」

ミリ「ひどい!」

リネ「ミリ」

ミリ「このまま立ち去るなんて…!」

エミカ「ミリ…」

ミリ「私は助けたい」

アルジ「………」

ミリ「私は探すのを手伝いたい」

リネ「………」

ミリ「リネさん、だめですか?」

リネ「………」

ミリ「ねえ、リネさん!」

リネ「時間があれば、それもいいでしょう」

ミリ「時間って…」

リネ「私たちにはないのです。

 迷子を探す時間なんて。

 急いで研究所へ行って、彼の居場所を…」

ミリ「そんな…」

リネ「彼を止めるため、

 急がなければならないのです」

ミリ「でも…!」

リネ「分かってよ!!!!!」

ミリ「…!!!」

アルジ&エミカ「……!」

リネ「時間があれば私もそうしたい!

 助けたくないわけない!そうしたいよ!

 あんなに困っていて!悲しんでいて!!

 立ち去るのが心苦しくないわけない!!!

 でもそうするしかないの!今の私たちは!

 そうするしかないの!分かってよ!!!」

ミリ「………」


リネは顔を真っ赤にしながら大声を上げた。

町人たちの視線が一斉にアルジたちに向く。


リネ「あ…いけない…あら…私…なんて…」

ミリ「………」


ミリは目に涙を浮かべている。


エミカ「アルジ」

アルジ「ああ」

エミカ「どうする?」

アルジ「助けようぜ」

ミリ「…!」

アルジ「オレたちも探すのを手伝おう」

ミリ「アルジ…!」

リネ「アルジさん…どうして…」

エミカ「私もアルジに賛成するよ」

リネ「エミカ…どうして…」

アルジ「急がなきゃならないのは分かる。

 リネの気持ちは分かるしオレだって急ぎたい。

 だけど、助けたい。

 あの人たちの力になりたい。

 今はただ単純にそう思う」


エミカはアルジにほほえみかける。


エミカ「一緒に探そう」

アルジ「ああ」

ミリ「絶対に助けよう」

アルジ「おう」

リネ「………」

アルジ「リネも手伝ってくれないか?」

リネ「アルジさん」

アルジ「この前、教えてくれただろ。

 大陸を巡り、人々と出会い、悪と戦え。

 そうすることで自ずと道は開けてくって。

 今回は悪と戦うってわけじゃないけどさ。

 苦しんでる人たちの力になりたいって気持ち…

 これを押し殺して旅を続けたって

 道なんて開けない。そんな気する」

リネ「アルジさん…あなたという人は…。

 いいんですね?本当にそれで…」

アルジ「ああ」

リネ「分かりました…。やりましょう」

ミリ「やった!決まりだね」


アルジたちは町人たちの方へ歩いていく。

歩いていく最中、ミリは言う。

小さな声で。


ミリ「アルジ、ありがとう」

アルジ「いいんだぜ」


そして、町人たちに申し出る。

行方不明の子を一緒に探したいと。

町人たちは経緯を教えてくれた。


町人C「昨日の朝から行方不明なんだ。

 果樹園で収穫を手伝っていたら、

 急にいなくなったらしい…」

子の父「私たちが…少し目を離した間に…

 息子はいなくなりました。息子はまだ6歳。

 あまり遠くへは行けないと思うんですが…」

町人C「子どもが隠れそうなところは探した。

 手分けをして探し回った。

 だが、見つからない。手がかりの1つも…」

アルジ「まだ探してない場所は…

 本当にないのか?」

町人D「ない」

町人E「ねえな」

町人F「ないね」

町人G「ない…と思う」

町人H「ない…さ…」

アルジ「………」


子の父が口を開く。


子の父「ベキザルの森…」

町人たち「…!!」

アルジ「なんだ?それは…」

子の父「言い伝えがあります。この町には。

 外の方にはあまり知られていませんが…」

アルジ「どんな言い伝えなんだ?」

子の父「少し昔のことですが、

 マレヤギが消える事件が多発しました。

 昨夜までいたのに朝突然いなくなっている。

 そんなことが昔よくあったのです」

アルジ「いなくなる…か」

子の父「それは…ベキザルの仕業とされました。

 この高原に古より住み着いている化け物…

 ベキザルがさらったのだと…」

アルジ「化け物か」

子の父「はい。町を挙げて対策し、

 農場の場所も移しています」

アルジ「大変だったんだな」

子の父「…はい。

 そのベキザルが住んでいると言われる森が…

 ベキザルの森と町の中で呼ばれています。

 この町の人々はその森を恐れています。

 今では誰も立ち入らない、魔境のような森」

町人D「おい、あんた、そんな迷信は…」

子の父「まだそこは…探してないでしょう」

町人D「…!!」

子の父「迷信だと言いながらも恐れている。

 近寄れない。立ち入れない。そんな場所です。

 私だってそれは同じ。

 でも…もうこうなったら…行くしか…」

アルジ「待ってくれ。

 その森にオレたちが行こう」

子の父「!!」

アルジ「オレたちが行く。探してくる」

子の父「いいんですか…?危険かもしれない…」

アルジ「大丈夫だ。オレたちはそこそこ強い。

 化け物が出てきても倒してやるぜ」

ミリ「トウオウ道に出た化け物も

 私たちが倒したんだよ」

町人たち「!!」

子の父「トウオウ道の化け物って…

 トガワの方に住みついたという…?」

ミリ「うん」

子の父「それは…それは心強い…!

 なんと礼を言ったら…」

アルジ「礼を言うのはまだ早いぜ」

エミカ「探し出して連れてくる」

子の父「旅人さんたち、すまない。本当に…」

リネ「その森はどちらに?」

子の母「…果樹園からそんなに離れていません」

アルジ「そっか、案内してくれ!」

子の父&子の母「はい…!」


アルジたちはベキザルの森に向かう。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 11

◇ HP   494/494

◇ 攻撃

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  3★★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り


◇ エミカ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   403/403

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   315/315

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 9★★★★★★★★

◇ 魔力

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 24

◇ HP   751/751

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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