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アルジ往戦記  作者: roak
42/300

第42話 一緒

リネはアルジたちに話す。

かつての恋人、マスタスとの出会いについて。

そして、彼と過ごした時間について。


リネ「彼は、いつも1人でした」

アルジ「1人…」

リネ「はい。研究所で出会ったときから

 彼はいつも1人で過ごしていました」

ミリ「1人で…」

リネ「北土の魔術研究所では、

 気の合う者同士で、3、4人の班になります。

 その班ごとに魔術について研究します」

アルジ「マスタスはいつも1人だった…」

リネ「はい。いつも1人で研究をしていました。

 最初の1年は基本的な魔術の研究に追われます。

 教育係の魔術師がついて課題を与えるのです。

 今回はこれだと。いつまでに研究しなさいと。

 成果をまとめて、みんなの前で発表しなさいと。

 好きなように班を作って、取り組みなさいと。

 指示に従い、班を作り、研究し、発表します」

アルジ「エミカもやったのか?」

エミカ「やったよ。班を作って研究した」

ミリ「でも、マスタスは…」

リネ「いつもたった1人で研究していました。

 研究室の片隅で黙々と研究していました。

 誰にも声をかけず、誰にも声をかけられず。

 いつも1人で黙々と研究していました」

アルジ「1人でやる自信があったのか。

 それとも…」

リネ「両方です。彼は同期で魔力が最強だった。

 自信があったというのは間違いありません。

 それと同時に…」

ミリ「友達ができなかったんだ」

リネ「ええ」

アルジ「………」

エミカ「それで、リネさんが…」

リネ「はい。声をかけたのは私でした」

アルジ「何がそうさせたんだ?」

リネ「放っておけなかったから」

アルジ「………」

ミリ「リネさん、優しいですね」

リネ「あのとき、教育係が私たちに与えた課題。

 それは、1人では到底できないものでした。

 それでも彼は必死に研究を続け、諦めません。

 マスタスは日に日にやつれていきました。

 目を真っ赤に充血させていました。

 ほとんど眠っていなかったのでしょう。

 私はいてもたってもいられなくなりました。

 痩せこけた彼を研究室で見ていると…。

 それで、ついに彼に声をかけました。

 一緒に研究しましょうと」

アルジ「そっか」

リネ「あのときの彼の嬉しそうな顔。

 あの顔は、今でも忘れられません。

 別に満面の笑みというわけではない。

 でも、喜んでいることは確かに伝わった。

 私には伝わってきたのです。

 私にはよく分かったのです」

ミリ「マスタスも…

 リネさんが気になってたんですね」

リネ「それはどうでしょうね。分かりません。

 光と闇の魔術師で、お互いにひかれていた。

 そういうことは、あるかもしれませんね。

 お互いの欠けた部分を補おうとするように。

 私たちは求め合っていたのかもしれません。

 知らず知らずのうちに」

アルジ「研究はうまく行ったのか?」

リネ「はい。

 私たちは優れた研究成果を上げました。

 ほかのどの班にも負けないくらいの」

ミリ「よかったですね」

リネ「あのとき、マスタスは言いました。

 ありがとうと。私に握手を求めてきました。

 私たちは握手しました。そのときです。

 私は思いました。とても強く、強く。

 彼には私が必要だと。私にも彼が必要だと」

アルジ&エミカ&ミリ「………」

リネ「それから、私たちは交際を始めました。

 研究所では一緒に過ごすようになりました。

 食事したりおしゃべりしたり。

 基本的にいつも一緒でした。

 私たちは寮に住んでいました。

 若手研究員のための寮です。

 互いの部屋を行き来するようにもなりました。

 私にとって毎日が楽しくて幸せな時間でした。

 その一方で代償といったらいいのでしょうか。

 失ってしまったものもあります」

アルジ「何を失ったんだ?」

リネ「私にはとても仲のよい魔術師がいました。

 でも、彼女たちは私から離れてしまいました。

 マスタスと付き合うようになってから」

アルジ&エミカ&ミリ「………」


リネは目を閉じて、当時のことを思い出す。



◆◆ 18年前 ◆◆

◆ 北土の魔術研究所 ◆

ある朝、マスタスは研究室の隅にいる。

たった1人で座っている。

疲れ果て、髪はボサボサ、肌はボロボロ。

机の上には、いくつも重ねられた魔術書。

そのうちの1冊を彼は手に取る。

文字を追う目はうつろ。

そんな彼にリネは声をかける。


リネ「あの、一緒に研究しませんか?」

マスタス「…え」

リネ「私はリネといいます。光の魔術使いです。

 あなたは闇の魔術使いですよね?」

マスタス「………」

リネ「今回の課題、私たちが一緒に研究すれば、

 きっといい成果が出ると思う。どうかな…?」

マスタス「………」

リネ「ねえ、どんなこと調べてたの?教えて!」

マスタス「………」


マスタスは静かにうなずく。

そのときから2人の共同研究が始まった。

そして、その日の昼休み。

リネに詰め寄るメイミとナユナ。

メイミもナユナも北土の魔術研究所の研究員。

リネの研究仲間だった。


メイミ「ちょっと、リネ!どういうこと!?」

リネ「どういうことって?」

ナユナ「次も一緒に研究するって言ったよね?」

リネ「ごめん、本当にごめん」

メイミ「よりによってなんであんなやつと?」

ナユナ「信じられない!」

リネ「でも、彼は…」

メイミ「あんなキモイやつと組むなんて…

 見損なったわ」

ナユナ「本当最低」

リネ「どうして?どうしてそんな…」

メイミ「私たち、もうおしまいだね」

ナユナ「それじゃ!」

リネ「どうして!?彼だって…」

メイミ「うるさい!!!」

リネ「…!」


去っていく2人。

リネはそのあと1人で用具室へ行き、泣いた。



◆◆ 現在 ◆◆

◆ オケア ◆

リネは目を開ける。


アルジ「リネ」

リネ「あ…ごめんなさい」


頬を伝う涙を彼女はふいた。


アルジ「変態魔術について教えてくれないか?

 あいつはどういう経緯であの魔術を?」

リネ「はい。それは…」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 11

◇ HP   494/494

◇ 攻撃

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  3★★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   403/403

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   315/315

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 9★★★★★★★★

◇ 魔力

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 24

◇ HP   751/751

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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