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アルジ往戦記  作者: roak
41/300

第41話 暗球

入浴を終え、部屋へ戻るアルジ。


アルジ「少し…長湯をしちまったかな…」


部屋の前まで行くと、声が聞こえる。


ミリ「えー!」

リネ「ああいう人がいいんです。

 実直で、誠実で。

 ミリは、あの人の一体どこがよかったの?」

ミリ「一緒にいたら楽しそうです」

リネ「あの人は…

 遊び人のような雰囲気があったでしょう。

 私はきちんと見抜きましたよ」

ミリ「遊びたいです。

 一緒にいて楽しいのが1番ですよ」

アルジ(?…なんの話をしてるんだ?)


アルジが部屋の戸を開ける。


ミリ「あ、やっと来た」

アルジ「ごめん、遅くなった」

リネ「素敵なお風呂だったでしょ」

アルジ「ああ、心清の湯…気に入ったぜ」

エミカ「先に食べてたぞ」


夕食が用意されていた。

エミカの隣にアルジの分。

アルジの向かいにリネの分。

リネの隣にミリの分の料理が並ぶ。

エミカとミリが向かい合っている。

アルジも座る。


アルジ「なあ、なんの話をしてたんだ?

 やけに盛り上がってたけど」

ミリ「大前隊の誰がいいか」

アルジ(そんな話をしてたんかい…!)

ミリ「私は斧の人。リネさんは槍の人だって」

アルジ「ガシマとオンダクか」

ミリ「槍の人はないよね。

 アルジもそう思うよね。

 あんなカタブツそうな人は絶対嫌だな」

アルジ「確かにあいつは堅そうだったな」

エミカ「アルジ、今は鎧の話じゃないからな」

ミリ「エミカは誰がいいの?

 まだ言ってなかったね」

エミカ「私は別に…」

ミリ「当ててあげよっか」

エミカ「いないよ。あの3人にはいない」

ミリ「またぁ、エミカはそうだな…

 やっぱりエオクシさんがよかったんでしょ」

エミカ「やっぱりって…!そんなこと…!」

ミリ「エミカは強い人が好きだもんね」

エミカ「か…勝手に決めるなよ!」


困るエミカ。

だが、その顔はどこか楽しそう。


アルジ「………」


アルジは歯を食いしばる。


アルジ(今よりもっと…強くなりたい…!)


それから、アルジたちは宿の料理を味わった。


ミリ「これおいしいね」

リネ「大君に献上されて大変気に入られたとか」

アルジ&エミカ「へぇ…」


名産品のノトノナ

とても色鮮やかな青菜。

汁物に彩りを添えている。


アルジ「この魚もうまいな」

エミカ「ああ、身がぎっしりでおいしい」


魚の名はユカウオ。

身が引き締まった香り豊かな魚。

アルジたちはその塩焼きを頬張る。

今日オケアの川でとれた新鮮なものだった。


ミリ「ふぅー、ごちそうさま!おいしかった」


アルジたちは大地と清流の恵みを満喫した。

女将が食器を下げにくる。


女将「お食事、楽しんでいただけましたか?」

アルジ「ああ。ごちそうさま」

リネ「とてもおいしかったです」

女将「それはよかった」


女将は食器を抱え、部屋から出ていく。


リネ「アルジさん」

アルジ「なんだ?」

リネ「率直な印象を聞かせてほしいんだけど」

アルジ「なんの印象だ?」

リネ「あの魔術師についてどう思いましたか?」

アルジ「あの魔術師って…

 大前隊と一緒にいた女か?」

リネ「そうです。どんな印象を持ちましたか?」

アルジ「ああ…」

ミリ「どうなの?」

アルジ「そうだな…」

エミカ「………」

ミリ「私とどっちがいいと思ったの?」

アルジ「は?何!!?」

ミリ「冗談だよ。あはは」

アルジ「こいつは…!」

エミカ「私たちも話してたんだ」

アルジ「…ああ」

エミカ「アルジがお風呂に入ってるときに。

 魔生体カルスを操っていた魔術師について」

アルジ「そっか」

エミカ「あの人が一体どんな魔術師なのか。

 どんな人なのか。私たちは話してた」

アルジ「そうだったのか」

リネ「アルジさんはどう思いました?」

アルジ「…オレは魔術のことはよく分からない。

 それでも…あいつはすごい魔術師だと思った。

 強い魔波がオレにもビシビシ伝わってきて。

 それと、少し近寄りがたい人だなって思った。

 気味が悪いってわけじゃないんだけど、

 なんだか…な…」

リネ「それは私たちも同じです」

アルジ「………」

エミカ「私も思ったことだ」

ミリ「私も」

アルジ「そっか」

リネ「あの魔術師の雰囲気は…

 ああ、その前に…」

アルジ「?」

リネ「みんな、私の方へ寄ってくれる?」


アルジ、エミカ、ミリはリネの近くへ寄る。


リネ「そうね。これくらいでいいでしょう」


岩の壁が4人の周りに現れる。

リネの魔術、岩壁だった。

4人をぐるりと囲んだ岩の壁は上へ伸びていく。

そして、アルジたちの頭上でくっついた。

4人は岩にすっぽり覆われる。

大きな椀が被せられたように。

中は真っ暗。

次に、光玉。

リネの手の上に小さな光の玉が現れる。

岩壁の内部が照らされる。

互いの姿がはっきり見えるようになる。


リネ「空気の穴は開けてあるから。安心して」

エミカ「これなら…」

リネ「そうなの。ここから先は…

 あまり聞かれてはならない話をしますから。

 少し息苦しいけど、我慢してちょうだい。

 大丈夫だと思うけど、万が一のことを考えて」

ミリ「はい」

アルジ「分かった」


リネは黙ってうなずく。


リネ「あれは闇の魔術師に共通するものです。

 アヅミナという魔術師が放っていた雰囲気は」

アルジ「闇の魔術師…」

リネ「どちらが先なのか。

 本当のところは分からない。

 闇魔術を習得するとああいう感じになるのか。

 それとも、ああいう感じの人だから

 闇の魔術を使えるのか。

 それは、今でもよく分かっていないこと」

アルジ「………」

リネ「ただ、はっきり言えることがある。

 それは、闇の魔術は危ないってこと…」

エミカ&ミリ「………」

アルジ「闇の魔術って…どんな魔術なんだ?

 マスタスの変態魔術についても知りたい。

 あいつも闇の魔術の使い手なのか?」

リネ「順を追ってお話しますね」


光玉はリネの頭上で光り続ける。


リネ「闇の魔術には暗球という魔術がある。

 基礎的な魔術で、私の光玉のようなもの。

 光術の光玉に相当するものが暗球。

 そう考えてください」

アルジ「暗球…か」

リネ「暗球自体は何も効果はありません」

アルジ「ないのか」

リネ「はい。黒い球体が現れる。それだけです。

 触れたって熱くも冷たくもありません」

ミリ「氷術とか火術とは違うんですね」

リネ「はい。闇の魔術は訓練を重ねて、

 その暗球に特別な効果を持たせていくのです」

アルジ「見た目は変わらない。

 でも、効果は違う。そういうことですか」

リネ「はい。暗球に触れた者がどうなるか。

 闇の魔術の違いは、そこに現れます」

エミカ「私も少しだけ研究所で習いました。

 改めて代表的なものを教えてください」

リネ「ええ。まず、精神操作」

アルジ「いきなりとんでもない名前の魔術だな」

リネ「闇の魔術ですから。これは心を操る魔術。

 相手の精神をどれほど意のままに操れるかは

 術者の力次第ですが…驚異に違いありません」

ミリ「あとは何がありますか?」

リネ「五感鈍化」

エミカ「五感を鈍くする魔術ですね」

リネ「はい。熟練者は相手の視覚や聴覚など

 完全に奪うこともできるともいわれています」

アルジ「恐ろしい魔術だな」

ミリ「そんなのが使えたら性格曲がりそう」

リネ「闇の魔術ですからね」

アルジ「あとは何かあるのか?」

リネ「体力や気力を削ぐ魔術もあると聞きます。

 闇の魔術は高度なものになればなるほど

 使い手によって効果が違ってくるといいます。

 ただ、共通していえるのは、

 どれも使われて気分のいい魔術ではない…

 ということでしょう」

アルジ「マスタスも…」

リネ「はい。彼も闇の魔術師」


メキメキと岩壁から音がする。


アルジ「…?」

リネ「気にしないで。壁を少し厚くしただけ。

 もっと聞かれてはまずい話をしますので。

 ここからは彼についてお話させてください」


リネは話し始める。

マスタスとの出会いについて。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 11

◇ HP   494/494

◇ 攻撃

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  3★★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   403/403

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   315/315

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 9★★★★★★★★

◇ 魔力

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 24

◇ HP   751/751

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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