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アルジ往戦記  作者: roak
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第4話 実戦

ヤマグマとの戦いが始まった。

トアとマサはいくつも石ころを投げつける。

いくつかがヤマグマの体に当たる。

ヤマグマは石ころに気をとられた。

その隙をアルジは見逃さない。

全速力で向かっていき、頭を斬りつける。

十分に接近できなかったため、傷は浅い。

◇ ヤマグマに12ダメージ。

ヤマグマがアルジに反撃の態勢をとる。

再びトアとマサが石ころを投げつける。

ヤマグマは石ころに気をとられる。

アルジは斬りかかる。

ヤマグマの右の前脚を深く斬りつけた。

◇ ヤマグマに57のダメージ。


ヤマグマ「グオアアアア!!」


気がつけば作戦は完成していた。

アルジたちは三角形の陣形でヤマグマを囲む。

トアとマサが石ころを投げて隙を作る。

その隙にアルジが攻める。

アルジとトアとマサ、普段からよく遊ぶ仲。

作戦について話し合う時間。

そんなものは1秒たりとも必要なかった。

彼らは実戦の中で勝利への道を探し出した。

ヤマグマは傷の痛みに苦しんでいる。


トア「行ける!これは行けるぞ!」

マサ「ああ!倒せるぜ!」

トア「オレたちがやるんだ!

 警備隊ができなかったことを!」

アルジ「次だ!次で!決めてやる!」

ヤマグマ「オオオオアアアアア!!!」


次の瞬間、ヤマグマの体から魔波が放たれた。

その魔波はアルジ、トア、マサの体を貫いた。

3人の体はすっかり硬直してしまう。


トア「なん…だ…これ?」

マサ「…動け…ない…!?」

アルジ「……くっ!」


ヤマグマはトアに襲いかかる。

腹を深々とえぐる強烈な殴打。

トアの体は高く宙を舞う。

近くの民家の外壁に叩きつけられた。

◇ トアに273のダメージ。(HP14→0)

◇ トアは死んだ。

続いてヤマグマはマサに襲いかかる。

地面に押し倒し、激しく何度もかみついた。

マサの体の形はすっかり失われてしまった。

◇ マサに334のダメージ。(HP53 → 0)

◇ マサは死んだ。


アルジ「なんなんだ…お前…」


放たれた魔波の効力がなくなった。

アルジは身動きがとれるようになる。

しかし、動けない。

動きたくても今度は恐怖で動けなかった。


アルジ「トア!…マサ!…うう…ああ!」


アルジの心を悲しみと恐れが支配する。

涙の粒がいくつも頬を伝う。

膝が、肩が、がくがくと震え出す。

ヤマグマはそんなアルジをにらみつける。

残された獲物を値踏みするかのように。

1歩、また1歩、間合いを詰めてくる。

アルジは剣を強く握りしめる。

突如、湧いてくる感情。


アルジ「畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!!!!

 この野郎!!!……許さねえ!!!」


純粋な怒りの感情だった。

腹の奥底でどろどろとしたものが回る。

それは、溶けた鉄のように熱い。

より強く、剣を握りしめる。

勇気の剣は薄らと光を放ち始める。

アルジの激情に共鳴するかのように。


アルジ「おおおおおおおおおおおお!!!!」


ヤマグマはアルジの気迫にたじろいだ。

その隙をアルジは逃さない。

軽やかな跳躍で、ひらりと一気に懐に入る。

そして、ヤマグマの胴体を両断した。


挿絵(By みてみん)


ヤマグマ「ゥウモオオオオオ!!!」


反撃の機会を与えない必死の一撃。

◇ ヤマグマに452のダメージ。

◇ ヤマグマを倒した。

◇ アルジは戦いに勝利した。

◇ アルジはレベルが上がった。(レベル2→3)

◇ アルジは魔力に目覚めた。


アルジ「はあ、はあ、はあ…!」


アルジは気を失い、その場に倒れ込んだ。

地面に落ちた勇気の剣がきらりと輝く。

戦いが終わるとともに村は静まり返る。

村長が家から出てくる。


村長「見事だった…。だが、しかし、この剣…

 お前にはまだ少し扱うのが早過ぎたようだ…」



◆ アルジの家 ◆

目が覚めると、アルジは布団に寝かされていた。

父ダオキチと母チオリが彼の顔をのぞき込む。


アルジ「父さん、母さん…」

ダオキチ「目が覚めたか」

アルジ「オレは、一体…」

ダオキチ「アルジ、よくやった。

 トア君とマサ君は…残念だったが…」

アルジ「ああ、そうだ。オレは…」

チオリ「今はよく休みなさい」

アルジ「………」


アルジは再び眠りに就く。

何度か悪夢にうなされる。

目が覚めたのは、ヤマグマと戦った次の日。

早朝、重たい体を起こし、布団から出る。

廊下をふらふら歩いて居間へ行く。

ダオキチとチオリが並んで椅子に座っていた。


ダオキチ「アルジ、そこに座るんだ」

アルジ「うん」

ダオキチ「昨日のことは覚えているか?」

アルジ「…ああ」

ダオキチ「父さんも村長から聞いた」


ダオキチはレンガ職人。

事件のとき、工房でレンガ作りをしていた。

チオリもその手伝いで工房にいた。

工房は、村の外れの方にある。

そのため、ダオキチもチオリもあとで知った。

ヤマグマの襲撃について。

トアとマサの死について。

そして、アルジの勝利について。


ダオキチ「村を守ったのは立派なことだ。

 よくやった」

アルジ「でも、オレは…トアも!マサも!

 守れなかったんだ…!」

ダオキチ「それは本当に残念なことだ。

 残念で、悲しいことだ」

アルジ「………」

チオリ「でも、悲しいだけじゃない…」

アルジ「なんで…」

ダオキチ「祀られることになったんだ。

 トア君もマサ君も英霊として」

アルジ「英霊…?」

ダオキチ「勇敢な戦士として名誉の死を遂げた。

 トア君もマサ君も。そういうことだ。

 大きな石碑を建てて名を刻むことになった。

 亡くなった警備隊の隊員さんたちとともに」

アルジ「石碑…名を刻む…」

チオリ「2人の名前はずっと残り続けるってこと」

アルジ「そう…なのか」

ダオキチ「顔を洗ったら村長の家に行きなさい」

チオリ「大事な話があるそうだから」

アルジ「大事な話…」


アルジは立ち上がり、洗面所へ向かう。


ダオキチ「アルジ!この村を…救うんだ」

アルジ「!?」

ダオキチ「…詳しい話は、村長から聞け」

アルジ「あ、ああ…」

ダオキチ「お前には仕事を継がせるつもりだった。

 だが、どうやらお前には別の使命があるようだ」

アルジ「………」


アルジは顔を洗い、着替えて村長の家へ行く。



◆ 村長の家 ◆

村長は家の外で立って待っていた。


村長「おう、来たか」

アルジ「村長、話って…」


アルジはちらりと村長の横を見る。

そこには鎧に身を包んだ男の姿。

細身で長身。

腰には細い剣を携えている。

アルジの知らない人物だった。


挿絵(By みてみん)


村長「まあ、とりあえず上がれ」


応接間へと通される。

細身の男とともに。

アルジとその男は並んで長椅子に座った。

反対側に村長が1人で座る。

2人と向き合い、話し始める。


村長「アルジよ。お前には旅に出てもらいたい」

アルジ「旅…」

村長「そうだ」

アルジ「旅って…」

村長「何かおぞましいことが起きようとしている。

 星の秘宝を巡って…」

アルジ「星の秘宝…。安定の玉のことですか」

村長「そうだ」

アルジ「おぞましいことって…」

村長「それが何かは分からん」

アルジ「………」

村長「ワノエで占い師をやっている

 大魔術師様が言っていたのだ」


ワノエとは、ナキ村の隣にある町。

ナキ村よりずっと多くの人が暮らしている。


アルジ「占い師…」

村長「安定の玉は星の秘宝と呼ばれる宝の1つ」

アルジ「………」


細身の男は腕を組み、目を閉じている。


村長「旅に出て取り返してほしいのだ。

 安定の玉を…」

アルジ「………」

村長「私もこんなことになると思わなかった。

 脅されていたとはいえ不覚だった。

 あの魔術師たちに安定の玉を渡したことは。

 本当に…不覚だった…。反省している」

アルジ「どうして、オレが…旅に…」

村長「ふさわしいからだ。お前は選ばれたのだ」

アルジ「選ばれた…」

村長「そうだ。昨日、勇気の剣がお前を選んだ。

 そして、今日は…なあ、オオデンよ!」


呼びかけられ、アルジの隣の男が話し出す。


オオデン「素質はある。見て、そう思った。

 だから、村長が家に上げるのをとめなかった」

アルジ「誰だ、あんたは?」

オオデン「お前…失礼だな。初対面の人間に」

アルジ「誰なんだよ」

村長「アルジ、やめないか!

 私がワノエから連れてきたのだ」

オオデン「ワノエ警備隊、副隊長のオオデンだ」

村長「非常事態ということで、私が呼んできた」

アルジ「ワノエ…警備隊…副隊長…」

オオデン「村長、仲間の1人も守れない、

 どんな甘ったれが来るのかと思っていたが、

 意外と見込みはありそうだよ」


仲間の1人も守れない。

その言葉が、アルジの心をひどく乱す。


アルジ「てめえ!」


立ち上がり、つかみかかろうとするアルジ。

オオデンは素早く反応し、足払いした。

アルジは床に激しく転倒する。


アルジ「グハッ!」


◇ アルジに10のダメージ。(HP112→102)


村長「お前たち、少しは仲良くしないか。

 これから頼みを聞いてもらいたいのだから」

アルジ「…頼み…?」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 3

◇ HP   102/112

◇ 攻撃  5★★★★★

◇ 防御  4★★★★

◇ 素早さ 4★★★★

◇ 魔力  1★

◇ 装備  革の鎧


◇ オオデン ◇

◇ レベル 9

◇ HP   302/302

◇ 攻撃  6★★★★★★

◇ 防御  3★★★

◇ 素早さ 7★★★★★★★

◇ 魔力  2★★

◇ 装備  鉄の剣、鉄の鎧


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 9

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