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アルジ往戦記  作者: roak
39/300

第39話 感謝

次の町、オケアへ向かうアルジたち。

アルジとリネはラアムの上で待ち続ける。

しばらくして、ナアムがやってくる。

エミカもミリもかなり疲れた様子。


リネ「限界ですか?」

エミカ「もう魔力が…」

ミリ「切れてきたね…」

リネ「じっとしていて。お尻をかんであげる」

エミカ&ミリ「?」

アルジ「え…?」


ラアムがナアムの後ろへ回る。

ラアムはナアムの尻をかんだ。

連なった状態で2頭は歩き出す。


ミリ「ああ、これは楽だ!」

エミカ「ありがとうございます!」

リネ「ここは力を貸したげる。

 この斜面、少しきついから。

 それに、相当魔力を使ったでしょうし」

アルジ(なんだ…。

 尻をかむってそういうことか)


登り坂が終わると、今度は下り坂が続く。

下り坂の終わりに目的の町、オケアはあった。

オケアの町は、浅い谷にある。

大きな川が流れ、広い耕作地が連なる。

清らかな水と豊かな土で育まれる作物。

それは、各地で高い評価を得ている。

名産品の青菜は大君に献上されたことがあった。


ミリ「私たちもビュンって飛べたらいいのに」

リネ「そうですね。旅は楽になるでしょう。

 だけど、あれにはたくさんの魔力が必要。

 とてもたくさんの魔力が」

エミカ「操っていた人は何者でしょうか?」

リネ「おそらく魔術院の魔術師でしょう。

 大前隊に同行するように命じられた。

 …いえ、彼らを現地へ運ぶよう命じられた。

 そんなところでしょうか」

アルジ(魔術院か…。上には上がいる。

 さっきのあの魔術師の力…そういうことか)

ミリ「あ、見えてきた!」


遠くの方にいくつも並んだ人家の明かり。


リネ「さあ、町に着いたら休みましょう。

 今日はいろいろありましたから。

 化け物退治に大前隊といろいろと。

 オケアには温泉宿もあります」

ミリ「やった、温泉だ!」

エミカ「お腹も空いたな」

リネ「おいしい野菜や果物、魚もあります」

エミカ「楽しみです」

リネ「宿に着いたら…大事な話をさせて」

エミカ「どんな話ですか?」

リネ「ずっとしようって思ってたんだけど。

 マスタスと私のこと。

 そして、この旅のこれからについて」

エミカ「あ…はい」

ミリ「ぜひ聞かせてください」

アルジ「教えてくれ」

リネ「はい」

エミカ「………」


そして、アルジたちは町に到着。



◆ オケア ◆

ラアムとナアムから降りる。

宿を探してアルジたちは歩く。

川沿いに温泉宿が建ち並ぶ。

多くの部屋に明かりが灯されていた。

どこも繁盛している様子。

日が沈み、辺りはすっかり暗い。

3人の役人が向こうから歩いてくる。


役人A「おい!」

アルジ「なんだ」

役人B「お前たち、トガワの方から来たな?」

アルジ「ああ、そうだ」

役人C「通行止めのはずだが…」

アルジ「解除されてるぜ」

役人A「何!?」

役人B「魔鳥伝令は来てないが…」


魔鳥伝令はサルヤマが得意とする魔術。

小鳥に似た魔生体を使って手紙などを届ける。

トガワへの大前隊出動要請にも使われた。


アルジ「サルヤマは…死んだよ」

役人A「何!?」

アルジ「それに、化け物はオレたちが倒した」

役人B「倒した?お前らが?」

役人A「二隊でも無理だったんだ。

 倒せるわけがなかろう」

アルジ「なら現地へ行ってみろよ。

 死体が転がってるぜ」

役人C「なんだと…?」

役人B「信じられん…。

 サルヤマが死んだというのも…」

アルジ「本当だ」

役人A「嘘つけ!」

アルジ「信じろよ。話をしてたら突然死んだ」

役人A「突然…?」

役人B&C「………」

アルジ「意味不明なことを叫んで突然死んだ。

 それでトガワの村は大騒ぎになってるぜ」


役人たちの表情が凍りつく。

3人は互いの顔を見合ってうなずいた。

そして、無言のまま足早に立ち去る。


エミカ「…おかしいな」

アルジ「ああ」

リネ「今の反応で…はっきりしましたね」


リネは頬に手を添える。


リネ「彼らは何かを知っている」

アルジ「…トガワのときもそうだ。

 サルヤマはオレたちの目の前で死んだ。

 普通なら近くにいたオレたちが疑われる。

 真っ先に…。サルヤマに何かしたって…」

エミカ「でも、役人さんたちは遠ざけただけ。

 私たちを…あの人の死体から…」

ミリ「何がどうなってるの?」

アルジ「サルヤマは殺されたんだ。

 何者かに。多分」


エミカとリネは深刻な顔でうなずく。


アルジ「武術でも、魔術でもない。

 なんらかの方法で…!」

エミカ「私もそう思う」

ミリ「なんらかの方法って?」

リネ「それは分かりません…。だけど…」

アルジ「役人たちは知っている。

 その方法が何かについて。

 みんな分かってる。

 それで…知られないようにしてる。

 オレたちに。その方法がなんなのか」

エミカ「注意しないといけないな…」

リネ「ですが…」

アルジ&エミカ「………」

リネ「その方法というのが分からない以上、

 注意のしようもありません」

エミカ「それは確かにそうですけど…」

リネ「今はただ願いましょう。

 私たちにその矛先が向かないように」


アルジたちの間に重い沈黙が降りる。

それを破ったのはミリ。


ミリ「アルジ!!!」

アルジ「は!?なんだ…?」

ミリ「なんか気合いの入った言葉で

 みんなを勇気づけてよ!」

アルジ「お…おう!」


深呼吸してアルジは話し始める。


アルジ「あー、えっと、じゃあ、行くぜ。

 オレはアルジ…星の秘宝を追い求める者。

 安定の玉を探し出して、必ず取り返す!

 それまでオレは負けない!必ず勝つ!

 相手が戦士だろうと!魔術師だろうと!

 魔獣だろうと!お…大前隊だろうとな!!」

ミリ「おおー…」

エミカ「………」

リネ「ふふ…」

アルジ「あと…よく分からない力だろうと!!

 この剣で倒してみせる!勝ってみせる!!」

エミカ&リネ&ミリ「………」

アルジ「…だけど!!」

エミカ&リネ&ミリ「………」

アルジ「今日、化け物退治ができたのは、

 みんなの力があったからだ。

 本当に感謝してる。ありがとう。

 エミカも、ミリも、リネも。ありがとう」

エミカ&リネ&ミリ「………」

アルジ「それと、魔術ってすげーな。

 改めてそう思った!オレももっと強くなる!

 力をつけて、技を磨いて…。

 だから、その…これからもよろしくだ!」

エミカ「ああ、よろしく」

ミリ「よろしくー」

リネ「よろしくお願いします」

アルジ「よし!!そんなわけで!!

 みんな、行くぜ!!」

エミカ&リネ&ミリ「…?」

アルジ「い、行くぜ!!!!」

エミカ&リネ「???」

ミリ「おーう!」


ミリが小さく腕を上げて応える。


アルジ「おしっ!!おおおおおう!!」


力強く腕を振り上げ、大声を上げるアルジ。

近くの民家の戸が開く。


民家の男「うるせーぞ!!バカヤロウ!!」


ピシャリと戸が閉まる。


アルジ「………」

ミリ「怒られちゃったね。はは…」

リネ「アルジさん、お疲れ様でした。

 気合い、入りましたよ」

アルジ「そっか、それならよかったぜ!」

リネ「さあ、温泉に行きましょう」

ミリ「はい!」


歩き出すリネとミリ。


エミカ「今度は前もって言ってくれ。

 どう応えたらいいのか」

アルジ「ああ、悪かったな」

エミカ「でも、よかった。元気が出た」

アルジ「そっか」


アルジとエミカも宿に向かう。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 11

◇ HP   494/494

◇ 攻撃

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  3★★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   403/403

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   315/315

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 9★★★★★★★★

◇ 魔力

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 24

◇ HP   751/751

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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