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アルジ往戦記  作者: roak
37/300

第37話 噂話

エオクシは問いかける。


エオクシ「倒したのはおめえか?答えろ!」

アルジ「………」


アルジは思う。


アルジ(これは隠しても…無駄だな。

 大前隊、第一隊、三頭、エオクシ…。

 ごまかすことは…できない!)

エオクシ「おい!!!答えやがれ!!」

アルジ「…そうだ」

エミカ&リネ&ミリ「!!!?」

エオクシ「どうして倒した?」

アルジ「村のみんなが…困っていたからだ」

エオクシ「オレたちが来るってこと…

 知ってたんじゃねえのか?」

アルジ「ああ」

エオクシ「ならどうして倒した!?」

アルジ「………」

エオクシ「………」


にらみ合う両者。


アルジ「オレたちなら…やれると思った」

エミカ(アルジ、何考えてる!死ぬ気か!?

 もっと気の利いた言い方はないのか!?)

エオクシ「やれると思ったぁ!?」


次の瞬間、ビシッと音がする。

アルジの腕に伝わるわずかな振動。

アルジは脇に抱えていた牙を見る。

ヤマエノモグラモンの牙を。

それには、深い切り込み。


アルジ「…!?」


エオクシは剣を手にしている。


エオクシ「見えなかっただろ?」

アルジ「………」

エオクシ「これが力の差だ」

アルジ「………」

エオクシ「おめえ、自分を強いと思ってんだろ?

 だがな…弱えー…おめえは弱えよ」

アルジ「……くっ!」


リネが前へ出る。


リネ「あの、よろしいでしょうか…?」

エオクシ「あ?」

リネ「エオクシさん、大前隊のみなさん…

 ごめんなさい」

エオクシ「おめえは誰だ?」

リネ「リネと申します。魔術師をしています。

 私たちは…急いでいたのです。目的地まで。

 トウオウ道が通行止めになっていることを

 サルヤマさんから聞いて…

 化け物がいることも教えてもらい…

 つい、思い上がったことをしてしまいました。

 あなた方が気分を害されるのも分かります。

 それでも、目的地へ急ぐ必要があったのです。

 北土の魔術研究所へ…

 急いで行く必要があったのです」

エオクシ「…!」


リネは研究所の名前を口にした。

エオクシの顔がわずかに強張る。

それは、大前隊のほかの2人も同じ。


リネ「ですから…今回のことは大目に…

 お許しいただけないでしょうか?」

エオクシ「………」


エオクシはリネの顔を見る。

それから、アルジの顔を見る。

不満の表情を浮かべて。


アルジ「………」


息が詰まるような視線の送り合い。

そこに言葉は1つもない。

1つの声も入り込む余地はない。

そんな重苦しい空気。


エオクシ「おめえは弱過ぎる…斬る気が失せた」


エオクシはひらりと身を翻す。

ガシマとオンダクのところへ戻っていく。


エオクシ「帰ろう」

ガシマ&オンダク「………」

エオクシ「アヅミナ、カルスを出せ」


魔術師の女、アヅミナはカルスを出した。

小さな黒い髪飾りのような物体。

彼女がそれに魔力を込める。

すると、それはすぐさま巨大化。

巨大化したカルスに4人は跳び乗った。

地面からふわりと浮き上がり、たちまち上昇。

そして、都の方へ飛んでいった。

ぐんぐん小さくなっていく黒い影。

そこに居合わせた者たちは黙って見届ける。

すっかり見えなくなると、人々は安心した。

アルジたちも肩の力が一気に抜ける。


アルジ「ふう…」

エミカ「ふう…じゃない!」

アルジ「ああ…」

エミカ「死ぬところだったぞ!」

アルジ「ああ、かなりやばかったな。

 あんな強いやつらがいるとは…」

エミカ「だから言っただろう…」

リネ「ミリ?」

ミリ「は…はっ…」

アルジ「どうした?」

ミリ「緊張で…息がうまくできなかった…」

アルジ「らしくないな」

ミリ「なんでだろう」

アルジ「まぁ気にするなよ。

 あいつらを倒すのはまた今度にしようぜ」

ミリ「うん。そうしよう!」

エミカ「あのな…!」


リネはミリを静かに見ていた。


リネ(それは…ミリ、あなたは学んだから。

 強敵と出会い、本当の恐怖を知ったから。

 さっきまでここにいたのは…紛れもない強者。

 あなたのその反応は…とても自然なもの…。

 あなたは身につけた。正しい恐怖の感情を。

 ヤマエノモグラモンとの戦いの中で…

 本当の恐怖を知り、成長することができた。

 この恐怖を克服して…

 立ち向かっていく勇気を養えば…

 あなたは…もっと…もっと…)


アルジはサルヤマのところへ歩いていく。

彼はうずくまり、顔を伏せていた。

そんな彼を取り囲み、見下ろす人々。

アルジは彼らの中へ入っていった。


アルジ「サルヤマさん…」

サルヤマ「申し訳ねえ!!申し訳ねえ!いや!

 本当にすまなかった!このとおりだぁ!!」

アルジ「いいんだ。あんたは何も悪くない。

 魔獣を勝手に倒したのはオレたちなんだから」

サルヤマ「……!」

アルジ「教えてほしいことがあるんだ」

サルヤマ「………」

アルジ「大前隊も…北土の魔術研究所について…

 何か探っているのか?」

サルヤマ「!!!!」


サルヤマの体はビクリと動く。

うずくまり、顔を伏せたままで。


アルジ「さあ、立ってくれ」

サルヤマ「ああ…」


サルヤマはゆっくりと立ち上がる。

袖で何度も拭く。

泣きはらした顔を。


サルヤマ「あんたらは…

 あの研究所を目指してたのか…」

アルジ「そうだ。

 奪われた星の秘宝を取り返すため、

 オレたちは旅をしている」

サルヤマ「…ほう」

アルジ「故郷の村の宝が奪われたんだ。

 安定の玉という。

 強い魔力が込められた星の秘宝の1つだ」

サルヤマ「…そいつは災難だったな」

アルジ「村に現れたのは、3人の魔術師…。

 何か知ってるか?

 大前隊は何を探ろうとしているんだ?」

サルヤマ「…悪いな。

 はっきりしたことは何も言えねえ」

アルジ「………」


エミカ、リネ、ミリもアルジのそばへ。

彼女たちもサルヤマの話に耳を傾ける。


サルヤマ「だが…聞いたことはあるぜ。

 前もって言っとくが、

 本当にこれはただの噂話だ。

 その程度のもんだと思ってくれ。

 都の、ある役所の中で、ふと耳にした話だ」

アルジ「噂話…。なんだ?それは」

サルヤマ「大君から極秘命令が下されてる…。

 そんな話だ…」

アルジ「極秘命令…?」

サルヤマ「オレも都じゃそこそこの地位にいる。

 そういう話も耳に入っちまうんだ。

 いいか…誰にも言うなよ?

 オレの口から漏れたことが分かったら、

 今度こそオレは一巻の終わりだ!」

リネ「命令とは、なんなのですか?」

サルヤマ「北土の魔術研究所を探れ…

 そういう命令だ」

アルジ「やっぱりそうなのか」

サルヤマ「経緯はよく分からねえ。

 研究所の連中を…研究員も…所長も…

 一斉にしょっぴいちまうんじゃねえか…

 そんなことも言われてらぁ…!!」

アルジ&エミカ&ミリ「!!?」

リネ「そんなことが…」

サルヤマ「まあ…」


次の瞬間。

サルヤマの身に信じられないことが起こる。


サルヤマ「グポ!?」

アルジ&エミカ&リネ&ミリ「…?」

サルヤマ「ウポラピププフープラピピパピポ!

 ポピパラピロプラピポピポパプピパプラプ!」

アルジ「なんだ…?おい、どうした!?」


白目をむいて泡を吹くサルヤマ。

直立し、姿勢はまっすぐなまま。

その様子にアルジたちは言葉を失う。


サルヤマ「ピプラポーパラパラピロピラプロパ

 ピロピぺピレポロポラポロポロポラポリプロ

 ポロポロピープルポロポペレピアポロポロポ

 ポーロポポッポポポポポポポポッポッポポッ

 ポッポオポポポポポポピーピピピッピピイピ」


そして、サルヤマは崩れ落ちる。

まるで壊れた人形のように。

リネが彼の瞳孔を見て、脈をとる。


リネ「死んでる…!!」

アルジ「な…何!?」


近くにいたほかの役人たちが駆け寄ってきた。


役人A「下がれ!下がれ!!」

役人B「サルヤマさん!!サルヤマさん!!」


アルジたちはサルヤマから遠ざけられる。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 11

◇ HP   494/494

◇ 攻撃

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  3★★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 10

◇ HP   403/403

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   315/315

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 9★★★★★★★★

◇ 魔力

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 24

◇ HP   751/751

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25

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