第36話 命令
飛行型魔生体カルス。
そこから降り立った4人の男女。
男の戦士が3人、女の魔術師が1人。
彼らを見てリネは驚く。
リネ(嘘でしょう…!?)
乗組員がいなくなるとカルスは一瞬で縮む。
そして、女魔術師の手のひらに収まった。
彼女は小さな袋を懐から出す。
それに素早くカルスをしまう。
リネ(たった1人で!?あの子が…
たった1人であれを!?
あれを操縦して都から来たというの!!?
しかも…たった1日で!?
ほかに3人も乗せて!?
無理!!そんなの無理!!
普通は無理!!絶対無理!!!)
斧を持った男「ふぅ…」
槍を持った男「さすがに遠かったな」
剣を持った男「…始めるか…」
魔術師の女「………」
サルヤマは体をガタガタと震わせている。
剣を持った男が彼の前に立つ。
剣を持った男「状況は?」
サルヤマ「はっ…はっ…はひっ…!!」
槍を持った男もサルヤマの近くへ。
槍を持った男「どうした?状況を教えろ」
サルヤマ「はっ…はっ…すーっ…はーっ…!!」
斧を持った男もサルヤマに詰め寄る。
斧を持った男「おい…どうしたんだ?
腹でも痛えのか?」
サルヤマ「はふっ…はふっ…はふっ…」
サルヤマは顔面蒼白。
額の汗は滝のように流れている。
剣を持った男「おい!!なんか言えよ!!
てめえ!!!今日は気分が冴えねえからよ!
魔獣だろうがなんだろうがさっさと1人で
ぶっ潰してやろうと思ってたところだ!!!」
斧を持った男「単独行動厳禁」
剣を持った男「分かってんだ!んなこた!
おめえらが目をつぶってくれりゃあ
いいだけじゃねえか!!」
剣の男は、腕に自信があることを伺わせた。
魔術師の女「…いないよ」
サルヤマ「!!」
剣を持った男「あ?」
魔術師の女「…いない。魔力を…感じないから」
剣を持った男「おいおい、なんだ?
魔獣はいねえってことか?」
魔術師の女「うん。残念だったね…エオクシ」
剣を持った男、エオクシ。
彼は天を仰ぐ。
エオクシ「か〜〜!!!どういうことだ!?
わざわざ都から来たってのによ!!!
いねえってのはどういうことだ!?
ぶちのめしてスッキリしようと思ってたのに」
巨大な剣を振り上げる。
槍を持った男「説明してくれないか?サルヤマ」
サルヤマ「はふーっ!!…はふーっ!!」
エオクシ「おい!!なんか言いやがれ!!!」
斧を持った男「そんな聞き方じゃ答えづらいだろ」
エオクシ「そうは言ってもよ…。ガシマ。
おめえも内心ガッカリしてんじゃねえのか?
はるばる来てみたら獲物がいねえんだから!」
斧を持った男、ガシマ。
彼は1歩、後ろへ下がる。
ガシマ「こういうのは、オンダクに任せろ」
エオクシ「………」
オンダク「オレがやる」
槍を持った男、オンダク。
重厚な鎧に身を包んでいる。
その手には大きな刃がついた長い槍。
彼はサルヤマの肩に手を置いた。
その大きな手は彼の肩を握り潰すのではないか。
そう思われるほどの力が込められていた。
ギラギラとした眼光でじっと見つめる。
今にも溶けて崩れそうなサルヤマの顔を。
地鳴りのような低い声で説得する。
オンダク「言え…!!正直に…言え!!
何があった?」
サルヤマ「はぁっ…!!はぁっ…!!
魔獣は…!魔獣は…!し…死んだ…!!!
死にました…!!死にました…!!!」
エオクシ「何ぃ?死んだ!?」
ガシマ「…ふぅ…」
オンダク「………」
サルヤマの目から涙がぼろぼろこぼれる。
エオクシ「何があった?一体、何があったんだ?
どうして死んだ?いいか、ちゃんと答えろよ。
こっちは大君の命令で来てんだからな!
答えろ!」
サルヤマ「はふっ…!!はふっ…!!」
サルヤマの脚は大きく震えている。
今にも倒れてしまいそう。
村人も旅人も固唾を飲んでその様子を見守る。
そして、アルジたちも。
アルジ(大丈夫なのか!?本当に…
サルヤマさんは…大丈夫なのか!?
このまま…任せててもいいのか!?
こんな状況で…うまくごまかせるのか…!?)
エミカ「…もう…だめだ…」
エミカの消え入るような小さな声。
アルジはそれを確かに聞いた。
エオクシ「命令だ」
サルヤマ「命令…!!」
エオクシ「答えろ。
答えねえなら理由書にそう書く。
大前隊の命令に背いた、とな…」
サルヤマ「理由書っ…!!ひっ…!!
それだけは…!!それだけは…!!」
エオクシ「なら言え!!!」
サルヤマ「ひーっ!!ひーっ!!ひーっ!!」
エオクシ「言えよ?なあ?おい?よお?
言わねえとどうなるか分かるよな?
飛ぶんだ。おめえの首が。ここで、今すぐ。
それは嫌だろ?オレもできればやりたくねえ。
でも、やらなきゃならねえ。そういう場合は。
だから、言え。言えよ?な?言おうぜ?
全部言え!!!」
アルジは歯を食いしばる。
左右の拳を強く握る。
アルジ「…くっ…!」
サルヤマの顔は汗と涙でグシャグシャ。
心が限界を超えているのは明らか。
そして、サルヤマはついに屈する。
大前隊の圧力に彼はとうとう敗北した。
サルヤマ「ひーっ!!ひーっ!!ひーっ!!
言います!!言いますから!全部言います!
だから!!ご勘弁を!!命だけは!
命だけはご勘弁を!!」
エオクシ「おう、そうか!なら改めて問うぞ。
魔獣はどうして死んだ?」
問いのあとに訪れる一瞬の静寂。
その静寂には、時の流れさえ止めそうな重み。
そして、サルヤマはゆっくりと口を開ける。
サルヤマ「あいつらが…!倒しました…!!」
サルヤマの右手は、アルジたちを指差す。
アルジ「!!!!?」
大前隊の3人はアルジたちを一斉に見る。
エオクシがアルジに近づく。
エオクシ「おい…おめえがやったのか…?」
アルジ「…!!!」
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 11
◇ HP 494/494
◇ 攻撃
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 3★★★
◇ 装備 勇気の剣、銀獣の鎧
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃
◇ エミカ ◇
◇ レベル 10
◇ HP 403/403
◇ 攻撃 8★★★★★★★★
◇ 防御 12★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★
◇ 魔力
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 魔樹の杖、深紅の魔道衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹
◇ ミリ ◇
◇ レベル 8
◇ HP 315/315
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 7★★★★★★★
◇ 素早さ 9★★★★★★★★
◇ 魔力
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 魔石の杖、紺碧の魔道衣
◇ 魔術 氷弾、氷柱、氷乱
◇ リネ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 751/751
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、創造の杖、聖星清衣
◇ 魔術 雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬 25
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ガシマ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 2178/2178
◇ 攻撃
36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 素早さ
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力 10★★★★★★★★★★
◇ 装備 練磨の大斧、金剛武道着
◇ 技 激旋回斬、大火炎車
◇ 魔術 火弾、火砲
◇ オンダク ◇
◇ レベル 35
◇ HP 2841/2841
◇ 攻撃
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 防御
39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 9★★★★★★★★★
◇ 装備 竜牙の長槍、超重装甲
◇ 技 竜牙貫通撃、岩撃槍
◇ 魔術 岩弾、岩壁
◇ エオクシ ◇
◇ レベル 37
◇ HP 3692/3692
◇ 攻撃
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 壮刃剣、戦究防護衣
◇ 技 天裂剣、地破剣
◇ アヅミナ ◇
◇ レベル 35
◇ HP 404/404
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 装備 大法力の魔杖、漆黒の術衣
◇ 魔術
火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火
氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷
暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、
酷死魔術




