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アルジ往戦記  作者: roak
285/300

第285話 人生

エオクシとアヅミナはどうなったのか。

シノミワは答えた。


シノミワ「2人の遺体は凍結されました」

アルジ「凍結…?」

エミカ「お葬式は…?」

シノミワ「しません」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「蘇生魔術でも2人は生き返らない。

 このことはあなたたちも聞いていたでしょう」

アルジ「ああ」

シノミワ「ですが、それは今の話です」

エミカ「今の話…」

アルジ「どういうことだ?」

シノミワ「現代の蘇生魔術では不可能ということ。

 魔術は日々進歩しています。

 将来、もしかすると…

 魔術で2人を生き返らせることができるかも。

 そんな期待を抱いて、

 遺体を凍結することにしました」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「凍結にはそれなりの金と人が必要です。

 私はガオスとリイノに協力を求めました。

 2人とも分かってくれて、凍結が決まりました。

 大君からもご了解を得ています」

アルジ「そうなのか」

エミカ「2人とも本当に死んだわけじゃない…

 ということですか…?」

シノミワ「そうです。

 何年先になるかは分かりません。

 ですが、今の魔術の進歩を考えれば…

 そう遠くない未来…

 2人が生き返ることは十分に考えられます」

アルジ「そうか…。よかった…!

 それはよかった!」

エミカ「…よかった」

シノミワ「ですが、安心はできません」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「ガオスもリイノも…

 今は協力してくれていますが、

 何かのきっかけで翻意することも考えられます。

 私が総合統合官の地位を失ってしまった今、

 その可能性は高まっていることでしょう。

 大君を説得して、凍結をやめるかもしれません。

 大君は簡単にご了解されないでしょうが、

 ガオスとリイノがどんな手を使うか。

 それは分かりません。

 普通の人が考えないことをするかもしれません」

アルジ「それなら…どうするんだ?」

シノミワ「メイニナ」

メイニナ「はい」

シノミワ「あれを…」


メイニナが言う。


メイニナ「凍結には秘術も使われています」

アルジ&エミカ「………」

メイニナ「私の秘術、青包せいほうという秘術が」

アルジ「どんな秘術なんだ?」


メイニナは懐から1枚の布を出す。

それは小さくたたまれた薄い布。

彼女がその布を広げて秘力を込める。

すると、布全体が青い光をぼんやりと発した。


アルジ「…!」

エミカ「青は静める力…ですね」

メイニナ「はい」


布に込めた秘術を解くと、光が消える。

彼女はその布をたたみ、懐にしまった。


メイニナ「これで遺体の腐敗を防ぎます」

アルジ「布で包むだけで?」

メイニナ「はい」

アルジ「すごいな」

メイニナ「エオクシさんもアヅミナさんも

 先ほどの布と同じものに包まれています。

 私の青包の力が込められた布に」

エミカ「それなら凍らせる必要は…」

シノミワ「あります」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「2人の体をより確実に保存するために」

メイニナ「私の秘術はいざというときのため」

アルジ「…いざというときって、

 凍結をやめることになったときってことか」

シノミワ「はい」

メイニナ「無理に布を取ろうとすれば、

 布に触れた人に私の秘力が注がれます」

アルジ「そうすると、どうなる?」

メイニナ「意識を失います。

 そのまま3日は目覚めません」

アルジ「3日…」

メイニナ「さらに、

 目覚めても10日間は頭がぼーっとして、

 自分が何をしたのか

 よく覚えていないことでしょう」

エミカ(恐ろしい力だ…)

アルジ「なんて力だ…」

エミカ「凍結に青包を使っていることは、

 ほかの方も知ってるんですか?」

シノミワ「私とメイニナ以外は誰も知りません。

 誰にも明かさず、こっそりと使っています」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「こんなことをしてもよいのか。

 危険な秘術を仕掛けておいて許されるのか。

 そう思う人は多いことでしょう。

 今のあなたたちのように」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「…よいのです。

 目的に見合った手段ですから。

 ガオスもリイノも抜け目のない者たち。

 これくらいの対策は必要です」


シノミワはそう言い切る。

メイニナは彼女の言葉にうなずいた。


エミカ「シノミワさん」

シノミワ「なんですか?」

エミカ「秘術について…

 もっと教えていただけませんか?」

シノミワ「………」

エミカ「魔真体にも…

 秘術の力が使われているんですよね?

 知っておきたいです。秘術について。

 もっと。詳しく。

 それがこれからの戦いに役立つ気がして」

アルジ「確かにそうだな」

シノミワ「いいでしょう」


シノミワは語った。

秘術の性質や仕組みについて。

赤、青、白、黒の基本的な力の性質。

強い秘術は、時間が経っても働き続けること。

その上、距離が離れていても働き続けること。

強い秘術を使うには道具が必要なこと。

秘術の効果は多種多様であること。

さらに、シノミワは教える。


シノミワ「魔真体がどのような秘術を使うのか。

 それは私にも分かりません」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「強力な秘術を使うかも知れません。

 私の赤滅、メイニナの青包のように。

 食らえば、一撃で勝負が決まってしまう。

 そんな秘術を使うかもしれません」

アルジ「なら、オレたちは…」

エミカ「対抗するためには…

 どうしたらいいのでしょうか?」

シノミワ「そうですね…」

メイニナ「シノミワさん」

シノミワ「メイニナ」

メイニナ「そんなに不安にさせてはいけません」

シノミワ「そうね」

アルジ「?」

メイニナ「私たちで見抜いてみせます。

 魔真体が使う秘術を」

エミカ「…秘術の力を感知するんですね?」

メイニナ「はい。普通の人にはできません。

 でも、一流の秘術師ならできます。

 一流の魔術師が微かな魔力を感知するように。

 私たちなら、感知できると思います。

 なぜなら、シノミワさんも私も…」

シノミワ「一流の使い手」

メイニナ「そうです!!」

アルジ&エミカ「………」

シノミワ「そうですね。やってみましょう」

メイニナ「はい」

アルジ「シノミワさん、教えてほしいんだけど」

シノミワ「なんですか?」

アルジ「そんなに強い秘術を…

 どこでどうやって習得したんだ?」

エミカ「………」


エミカは思い出す。

ノイ地方で出会ったホウノたちの秘術を。


エミカ(ノイ地方のホウノさんたちも秘術使い。

 あの子たちがくれたお守りの力に助けられた。

 でも、赤滅や青包ほど強い秘術ではない。

 シノミワさんとメイニナさんには及ばない。

 秘術はもともとノイ民のもの。

 古代国家の発展を支えたもの。

 でも、シノミワさんも、メイニナさんも

 あの子たちよりずっと強い秘術を使う…

 それは…どうして…?)


シノミワは少し困った様子。


シノミワ「…どうしましょうか」

アルジ「…?」


思案するシノミワ。

メイニナは静かに笑っている。


アルジ「?どうした?メイニナさん」

メイニナ「難しい問いなのです」

アルジ「聞いちゃいけなかったか?」

シノミワ「いいえ、お答えします」

アルジ「ああ」

シノミワ「今までは…

 秘密にしなければなりませんでした。

 私の秘術のことは。

 でも、今はもう状況が違いますので」

アルジ「ああ」

シノミワ「それに、知っていてもらいたい。

 アルジさん、エミカさん。あなたたちには。

 聞かれて、そういう気持ちになってきました」

アルジ「そっか」

シノミワ「魔真体との戦いを控えています。

 大陸の命運を決する戦いが待っています」

アルジ「ああ」

シノミワ「私たちはともに戦う仲間」

アルジ「そうだ」

シノミワ「お伝えしましょう。私の秘術について」

アルジ「ああ、教えてくれ」

シノミワ「はい」

アルジ「………」

シノミワ「私が秘術を習得した経緯…

 それは、少し複雑です」

アルジ「そうなのか」

シノミワ「学校で先生に教わって習得した。

 そういうものではありません」

アルジ「ああ」

シノミワ「最初から最後まで…でいいですね?

 これからお話することは」

アルジ「いいぜ」


シノミワは遠い空に目をやる。

しばらく眺めてからアルジとエミカを見る。

それから、語り始めた。

彼女が秘術を習得した経緯について。

それは、彼女の人生の物語。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 34

◇ HP   4787/4787

◇ 攻撃

 59★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 55★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、闘主の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、

     壮刃破竜斬撃、雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 32

◇ HP   3388/3388

◇ 攻撃  11★★★★★★★★★★★

◇ 防御

  32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 魔力

  58★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火弾、火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術

      天火


◇ シノミワ ◇

◇ レベル 41

◇ HP   822/822

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力

40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備

 秘術道具(幻印、例札、思針、心糸)、高護貴帯

◇ 魔術  火弾、火砲、火刃

◇ 秘術  赤画、赤封、赤除、赤洪、赤滅

      青画、青封、青跡、青結、青葬

      白紋、白掃、白限、白威、白廃

      黒紋、黒弦、黒貫、黒壊、黒破


◇ メイニナ ◇

◇ レベル 33

◇ HP   1947/1947

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力

29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★

◇ 秘力

44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 装備  秘術道具(感紙、覚布)、風雅装衣

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷波、雷突、雷進、王雷

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術

◇ 秘術  赤折、赤拡、赤絡、赤結、赤包

      青折、青縮、青絡、青結、青包

      白曲、白重、白束

      黒曲、黒貫、黒巻


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 30、活汁 4

◇ 創造の杖、安定の玉

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