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アルジ往戦記  作者: roak
28/300

第28話 忠告

サルヤマはアルジたちに忠告する。


サルヤマ「あれはとんでもねえ化け物だ。

 気をつけろ!心して戦え!

 まずはこのことを忠告しときたい」

アルジ「………」

サルヤマ「あんたらも強いんだろう。

 だが、やつも強い!決して侮るな!

 侮るなかれ!!オレは1度だけ見た。

 あの化け物の姿を。遠くから。1度だけ。

 この目で見た。そいつは昼間巣穴にいる。

 デカイ穴だ。人が入っていけるような。

 夕暮れ時になるとそこから出てくる。

 そして、街道を通る人や獣を…襲う!!

 二隊の連中は巣の近くで待ち構えていた。

 そいつが現れるのを。武器を構えて。

 だがなぁ、穴からそいつが出てくるなり

 あっさりやられちまったんだぁ。

 3人が深手を負い、2人が命を落とした。

 言っとくが、二隊の連中だって弱かねえ!

 そこらの戦士より一枚も二枚も上手だぁ。

 だがな、やられた!やられちまった!!

 あとで見に行ったら…死んだ2人は…

 ボロ切れみてえになってやがった!!」


サルヤマはポロポロと目から涙をこぼす。


エミカ「それで二隊の撤退が決まったのか」

サルヤマ「そうだ…二隊は敗退した」

リネ「どんな見た目ですか?その化け物は」

サルヤマ「あんな化け物…見たことがねえ。

 オレはこれまでいろんな獣を見てきた。

 あちこち出向いてはいろいろ見てきた。

 だがなぁ!あんな姿の化け物は!

 これまで見かけたことはねえなあ!」

リネ「だから、どんな姿をしているのですか?」


リネの口調が強くなる。


サルヤマ「ははは、急かすんじゃねえや!

 さっきオレは見たことがねえと言った。

 未だかつてお目にかかったことはねえと。

 だが、見たことがある!

 実は、見たことがある!」

アルジ「どっちなんだ…」

サルヤマ「あれは…そうだな…

 あれは…間違いねえ…そうだぁ…

 ヤマエノモグラモンだぁ…!」

リネ「!!?」

サルヤマ「やあ、姉ちゃん、その反応、

 あんた、知ってるみてえだな」

リネ「…ええ」

アルジ「ヤマエノ…」

ミリ「…モグラモン?」

サルヤマ「知らなくたって恥じゃねえ…。

 …もうかなり前のことだが、

 イゴウセ博物館で…オレは1度だけ見た…。

 剥製になったその姿を…。

 あれとそっくりだった!!」


イゴウセ博物館は都で最大の博物館。

太古の祭器、古文書。

かつて人々の間で使われていた日用品

絶滅した獣の剥製。

さまざまなものが保管、展示されている。


リネ「ヤマエノモグラモン…。

 もうずっと前に死に絶えたと文献で…」

サルヤマ「そうだ。そのとおりだぁ。

 オレも生きてんのは見たことがなかった。

 その意味で見たことがねえと言った…!

 もともとあの場所にいたのか…それとも、

 突然そこに現れたのか…それは分からねえ。

 だがな…!確かに言えることは…

 あいつを放ってはおけねえってことだ!

 人を、獣を、作物を食い荒らすあいつを…

 二隊の連中を殺めた…あの化け物を…!

 放ってはおけねえってことだ!!」


ほかの旅人や村人も近くで立って聞いていた。

辺りは不安と緊張で静まり返っている。

おびえて震える者の姿もあった。


アルジ「巣はどこにある?」

サルヤマ「村を出て街道を歩いていけば分かる。

 何しろでかい穴だからな!」

アルジ「そっか。分かった。行ってみよう。

 忠告ありがとう。サルヤマさん!」


アルジはエミカたちの方を向く。


アルジ「今日は明日に備えて休もうぜ」

エミカ「そうだな。

 移動で疲れもあるし早く寝るか」

ミリ「化け物退治頑張ろー!」

リネ「夜間…もしもこの村へ来たときは…」

アルジ「ああ、もちろん戦うぜ!」

リネ「気は抜けませんね」

エミカ「そうですね」

ミリ「サルヤマさん、

 夜の見張りをお願いしますね!」

アルジ「敵が村に来たら大声上げてくれ。

 助けに行く。それじゃあな!」

サルヤマ「おい!待ちな!!」

アルジ「…?どうした?」

サルヤマ「2つ…忠告があると言っただろ。

 もう1つある。…今ここで言わせろ」

アルジ「あ…!そうだったな。ごめん。

 なんなんだ?もう1つって…」

サルヤマ「大前隊についてだ」

アルジ「大前隊…」

サルヤマ「大前隊の出動は…もう決定事項だ。

 大君からの出動命令は覆らないし絶対だ。

 連中は都からここへやって来る。

 いつになるかは分からねえが…。

 だが、確実に来る!確実にここへ来る!!

 そのとき…お前たちがもしも…

 もしも仮に…仮にだ…!

 あの化け物を退治していたら…

 大前隊の面目を潰すことになる…。

 せっかく来たのに帰るんだからなぁ!

 任された仕事もなくなっちまって!!」

アルジ「………」

サルヤマ「ヤマエノモグラモンを退治して…

 戻ってきて…大前隊と鉢合わせてみろ…。

 そのときは、おしまいだ!完全におしまいだ!

 斬り捨てられることも覚悟しておけ…!」

アルジ「斬り捨てられる…だって?」

サルヤマ「特別なお許しだぁ!

 連中にはそういう特権がある。

 理由書を書いて、審理院に出せば、通る!」


審理院は、中央政府の機関。

重大な事件や事故について調べる役割がある。

罪人を裁く機関でもある。


アルジ「理由書…?」

サルヤマ「そうだぁ。理由書だ!

 人を斬り捨てた理由を紙に書く!

 そいつを審理院に出す!通る!

 通るんだよ!それでお咎めなし!

 斬ったやつは無罪放免だぁ!

 二隊、三隊は正直分からん…。

 だがな!一隊の連中なら、まず通る!」

アルジ「!!」

エミカ「………」

ミリ「ひどい!…そんなことあるの…!?」

サルヤマ「…と、まあ、脅しが過ぎたな。

 はっはっは!安心しなって!

 もしものときはオレがなんとかしてやる!

 うまぁくごまかしてやっからよ!

 こう見えて、何度もくぐってきたもんさ!

 そういう修羅場はな!!

 明日は思い切り戦ってきやがれ!

 やられるなよ!はっはっは!!」

アルジ「………」


アルジたちは宿に向かって歩く。

歩きながら話し合う。


ミリ「なんなのさ!大前隊って!」

エミカ「まあ、そう言うなよ」

ミリ「もしもそいつらが来たらさ!

 ぶっ飛ばしちゃおう!アルジ!」

アルジ「ああ、任せろ!!」

エミカ「…だめだ!やめとけ」

アルジ「なんでだ…?」

エミカ「大前隊の力は警備隊の比じゃない…

 …って、聞いたことがある」

アルジ「警備隊の比じゃない…」

リネ「そうですね。エミカの言うとおり」

アルジ「そんなに強い連中なのか?」

リネ「私もあまり詳しくはないけど…

 大前隊は大陸各地にいて、その数は数万人…

 第一隊はその頂点の10人ほどだとか…」

アルジ「10人…?たった…10人なのか!?」

リネ「隊員は実力主義で入れ替えられていて

 今の第一隊は歴代最強とも言われています」

アルジ「歴代最強…最強なのか!」

ミリ「うーん…怖そうだな。

 会いたくなくなってきた」

エミカ「鉢合わせしなければ済む話だ」

リネ「…そうね」

アルジ「そっか、そうだよな。

 確かにそうだな。会わなきゃいいんだよな。

 会わなきゃ!」

エミカ「そうだ。簡単な話だよ。

 今から心配することじゃない。

 その前に…今は化け物退治だ」

リネ「宿で作戦を立てましょう」


アルジたちは宿に着いた。

泊まる部屋は1つの大きな部屋。

4人は向かい合って床に座る。

茶を飲みながら話し合う。

明日の作戦について。


リネ「巣穴に入りましょう」

エミカ「え…」

リネ「敵をおびき寄せるのではない。

 こちらから叩きにいく…という作戦です。

 どうでしょうか?」

アルジ「寝込みを襲うってわけか」

リネ「ええ。私の魔術、光玉を使います。

 それで明かりの心配はいりません」

ミリ「巣って…入れるの?」

リネ「ヤマエノモグラモンはとても大きな獣。

 絵巻物でしか見たことがないんだけど…

 人を丸飲みできるくらい大きいみたい」

アルジ「丸飲み…本当に化け物だな。それは」

エミカ「そんなに大きいなら…巣にも…」

リネ「歩いて入っていける」

アルジ&エミカ&ミリ「………」

リネ「心配はいりません。私がいますから。

 私が魔術を使えば負けることはありません」

ミリ「リネさん、かっこいいです!」

リネ「ありがとう。

 ただ1つ…不安材料があるとすれば…」

エミカ「魔獣化…ですか?」

リネ「そうです」

アルジ「ああ、獣が凶暴化するって話か?

 たくさん魔波を浴びて…」

リネ「そのとおり。気がかりです。

 大昔に絶滅したはずの獣がこの地にいる。

 なんらかの魔術が関係していれば…」

エミカ「闇の魔術…でしょうか?」

リネ「ええ。その可能性もある。

 でも…まるで見当がつかない。

 どんな魔術をどう使ったのか」

エミカ「そうですね…」

ミリ「…ねえ」

エミカ「…?」

ミリ「今考えてもしょうがなくない?」

エミカ「………」

ミリ「明日はとにかく思い切り戦おうよ」

エミカ「気楽だな。

 でも、確かにそういう気持ちでいいかも」

ミリ「私はリネさんの作戦に賛成です!」

アルジ「オレもだ。オレも賛成だ!」

エミカ「私も賛成」

リネ「ありがとう。

 ええ、確かに…ミリの言うとおり。

 ヤマエノモグラモンは魔獣化しているか、

 正体は何か、魔術が関係しているのか、

 これらのことは、今考えても仕方がない。

 戦う相手がどんな獣だろうと変わらない。

 私たちのやることは。攻めて攻めて倒す。

 それだけ。とにかく精一杯戦いましょう」


それから、アルジたちは寝支度をした。

それぞれ布団に潜り込む。


アルジ(…明日は化け物退治。早く寝るぜ!)


アルジは目を閉じる。

何度か寝返りを打つ。


アルジ「………」


夜の時間は静かに過ぎていく。


アルジ「…ふー…」


近くにはエミカ、ミリ、リネ。

彼女たちはもう眠っていた。


アルジ(なんだか落ち着かない…。眠れないぜ)



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   347/347

◇ 攻撃  12★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  2★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 7

◇ HP   253/253

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 8★★★★★★★★

◇ 魔力  15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 5

◇ HP   144/144

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 6★★★★★★

◇ 魔力  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   678/678

◇ 攻撃   6★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25、魔力回復薬 16

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