第270話 絶対
飛んでくる天火と獄火。
それらに即座に対処したのは、ラグア。
その手順は、とても細やかで軽やか。
相手の魔波を感知。
魔術の攻撃を想定。
攻撃の態様を目視。
対応の方法を模索。
可能で有効な方法の候補を脳裏に列挙。
最良の方法を選択、実行を決断。
そして、実行。
ラグアはこれらを一瞬のうちにやり遂げた。
ラグア「はっ!!」
彼は後方へ大きく跳び、空中で岩術を使う。
岩壁で全身を覆い隠した。
天火と獄火から身を守るため。
エミカ&アヅミナ「!!!」
エミカとアヅミナの全力の攻撃。
ラグアたち8人にとっては初見の複合魔術。
その速度に、その破壊力に対応できない。
ラグアただ1人を除いて。
天火と獄火が命中した。
◇ ユイに66421のダメージ。
◇ ヒデイシャに74912のダメージ。
◇ オノクに68472のダメージ。
◇ スゲチに71827のダメージ。
◇ シンモクに62553のダメージ。
◇ ミチマサに77495のダメージ。
◇ カヌタカに61856のダメージ。
◇ ユイを倒した。
◇ ヒデイシャを倒した。
◇ オノクを倒した。
◇ スゲチを倒した。
◇ シンモクを倒した。
◇ ミチマサを倒した。
◇ カヌタカを倒した。
ラグアも無傷では済まない。
ラグア「ふうう…!!熱い!!熱いぞ!!!」
岩壁越しに天火と獄火の熱が伝わる。
◇ ラグアに4442のダメージ。
着地と同時に岩壁を消す。
全身に負った火傷の苦痛。
彼は大きくよろめいた。
朦朧とした意識の中、素早く剣を振り抜く。
横に大きく、1回。
彼はとらえていた。
駆けてくる男の姿を。
頼りない視界の中に。
アルジ「うおおおおおお!!ラグア!!
覚悟しろ!!!」
エミカ、エオクシ、アヅミナは見守る。
エミカ(アルジ!行け!!)
エオクシ(やれ!!ぶっ倒せ!!)
アヅミナ(頑張って…!)
そのとき、エオクシは見た。
エオクシ「…!!」
ラグアのすぐ目の前。
地面の上。
白く光る帯のようなものが浮いている。
声を上げる。
エオクシ「アルジ!!!!止まれ!!!!!」
アルジ「…え?」
飛んでくる。
ラグアの放光剣が。
避けようにも間に合わない。
アルジは反射的に腕を前に出す。
胴体を斬られてしまう前に。
アルジ「!!!」
エミカ「アルジ!!!!!」
光る帯状の刃はアルジの両腕を斬り飛ばす。
そして、そのまま胸部に深く食い込んだ。
アルジ「ぐ…あ…!!」
その場に崩れ落ちるアルジ。
◇ アルジは4102のダメージ。(HP4577→475)
ラグアからの追撃はない。
彼もそれどころではなかった。
ラグア「ふううう…!ふうう…!!」
息を切らし、ふらつきながら全身の火傷を把握。
再生魔術の光で体を覆い、治していく。
エミカがアルジのもとへ駆けていく。
エミカ「アルジ!!」
エオクシ「…チッ!…しょうがねえ!!」
エオクシもラグアに襲いかかろうとする。
だが、アヅミナが背後から呼び止めた。
アヅミナ「エオクシ!!」
エオクシ「あ!?」
アヅミナ「あいつは獄火で仕留める…!」
ラグアの全身を光が覆う。
白く、清らかな光が火傷を治していく。
◇ ラグアはHPが全回復した。
彼の目に光が映る。
真っ白な光。
エミカの再生魔術の光。
倒れたアルジの体を覆っている。
エミカ「アルジ!アルジ!!」
アルジ「う…うう…エミ…カ…」
ラグアは素早く剣を構える。
アルジとエミカに狙いを定める。
そのとき。
ラグア「!!」
獄火が飛んでくる。
再び後方へ大きく跳んでかわす。
さっきよりも俊敏に。
アヅミナ(恐ろしい対応力…恐ろしい感知力…
もう…獄火を見切っている…?それなら…!)
放つ。
2発目、3発目の獄火を。
さらに、4発目、5発目も。
大法力の魔杖から次々と放たれる。
ラグア「…!」
ラグアはそれらを避けていく。
走って、跳んで、体をくねらせ避けていく。
何度も火傷を負いながら。
負った火傷を治しながら。
彼の全身を再生魔術の光が覆う。
◇ ラグアに3721のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
◇ ラグアに3546のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
◇ ラグアに2980のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
◇ ラグアに2736のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
エオクシ「アヅミナ!!」
アヅミナ「まだ行ける…!」
6発目。
◇ ラグアに1921のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
7発目。
獄火の精度が落ちていく。
◇ ラグアに1130のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
8発目。
威力も落ちていく。
◇ ラグアに755のダメージ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
9発目。
狙いが定まらない。
ラグアから離れた場所に落ちて消えた。
アヅミナ「…はぁ…はぁ……」
ラグア(非常に強力な複合魔術だ。
暗黒獄焼術を超えている。
だが、弾道を見切れば、なんてことはない)
アヅミナは大きくよろめき、地面に膝をつく。
エオクシ「あとは任せとけ!」
アヅミナ「…ごめん」
エミカはアルジの治療に当たっている。
強力な再生魔術を使い続ける。
エミカ(斬られた断面が白く光っている…。
巨方庭の外で倒れていた戦士と同じ傷…!)
アルジ「エミカ…エミカ…すまない…」
エミカ「必ず治す!大丈夫だ!!」
アルジ「エミカ…」
エミカ(白は…断ち切る力…。
魔術では治せないのか…!?)
アルジの傷は治り始めていた。
少しずつ、着実に。
◇ アルジはHPが738回復した。(HP475→1213)
エオクシ(アルジ…しょうがねえ男だぜ…。
こいつも…オレがぶっ倒すとするか…!)
ラグア「………」
エオクシはラグアに向かって走っていく。
天地双竜剣を繰り出した。
強力な二段攻撃がラグアを襲う。
ラグア「…!!」
一撃目。
大きく斬り上げる。
ラグアは素早く後退し、避ける。
続けて放たれる二撃目。
振り下ろされた剣の先がラグアの肩をとらえた。
◇ ラグアに3742のダメージ。
大きくよろめき、体勢を立て直すラグア。
すぐさま再生魔術の光で傷を包んだ。
◇ ラグアはHPが全回復した。
エオクシ「…やるじゃねえか」
ラグア「………」
向かい合う両者。
互いに剣を構えてにらみ合う。
ラグア(大前隊のエオクシか。大前隊最強…。
そう聞いている。なるほど。確かにそうだ。
格が違う。
僕が倒してきたほかの隊員たちと比べたら…。
力強さも俊敏さも一線を画している。
だが…!!)
ラグアは古代王の剣を振る。
縦に、横に、斜めに、素早く、大きく、何度も。
エオクシ「!!」
何度も空を斬った刃。
その軌跡に白い帯が浮かび上がる。
縦に、横に、斜めに、いくつもいくつも現れる。
そして、それらを一気に飛ばす。
放光剣がエオクシに襲いかかる。
幾重にも重なった光の刃が飛んでくる。
獲物をとらえる大きな網のように。
エオクシ(弾き返せるか…!?いや!!)
避けるしかない。
瞬時に判断し、後退するエオクシ。
その後退を見越してラグアは回り込む。
エオクシに一気に接近し、得意の大技を出す。
ラグア(食らえ!!)
エオクシ「!!」
王攻剣を撃ち込む。
その一撃は戦究防護衣を破り、腹を斬った。
◇ エオクシは3827のダメージ。(HP4781→954)
エオクシ「ぐ…う…!」
ラグア(さすがの反射神経だ!
致命傷は免れたか!!)
エオクシは一瞬、笑う。
ラグア「!!?」
エオクシ(もらった!!!)
すぐさま斬り上げて反撃。
王攻剣を放った直後。
その一瞬の隙を突いた。
ラグアの右腕を斬り飛ばす。
◇ ラグアに1880のダメージ。
宙を舞うラグアの腕と古代王の剣。
ラグア(不覚…!!
戦闘能力で僕が劣るはずがない!!
強さも!速さも!僕が上!!
なのに!!なぜだ!!!
…技か!?技が僕を上回っているからか!?
体に刻み込まれた戦うための動き!技!!
その1つ1つの速度が!!精度が!!
完成度が!!僕を超えているからか…!?)
エオクシの追撃。
縦に、横に、連続して斬撃を見舞う。
◇ ラグアに2012のダメージ。
斬られた腹の激痛に顔をゆがめながら。
いつ気を失って倒れてもおかしくなかった。
彼を立たせ、剣を振らせ続けるのは、執念。
目の前の敵を倒す。
その執念。
エオクシ(あと…少し…!!)
ラグア(それなら…これでどうだ!!)
ラグアは地面を強く蹴って跳ぶ。
どんなに腕を伸ばしても壮刃剣が届かない。
そんな距離をとる。
エオクシ「!!」
ラグアの意図をすぐさま見抜き、前に出る。
距離を詰めようとするが、間に合わない。
巨大な火炎がエオクシに襲いかかる。
エオクシ「く…そっ…!!!」
ラグアの王火が直撃した。
◇ エオクシは14046のダメージ。(HP954→0)
◇ エオクシは死んだ。
彼の体は、黒焦げになって崩れ落ちた。
ラグア「貴様!!よくもやってくれたな!!!」
ラグアは怒り心頭。
王火で焼いただけでは気が済まない。
倒れたエオクシに王岩を叩き込んだ。
辺りに大きな衝突音が響く。
アヅミナ「あ…あ…!」
アルジ「は…?エオ…クシ…エオクシー!」
エミカ「…え?」
エミカは再生魔術をやめない。
ひどく驚き、戸惑いながらも。
アルジの斬られた両腕はつき始める。
胸の傷も治りかけていた。
アヅミナ「わ…わあああああああああ!!!」
空気を裂くような叫び。
強力な魔波を放つアヅミナ。
その姿に目を奪われる。
アルジも、エミカも、ラグアも。
ラグアは素早く自身の腕と剣を回収。
再生魔術ですべての傷を治した。
◇ ラグアはHPが全回復した。
獄火を警戒するラグア。
だが。
アヅミナ「…!!?!?!!!?」
彼女の杖から放たれたのは、ごく小さな暗球。
それは獄火ではなく、酷死魔術。
ラグアの元へ飛んでいかず、宙を漂っている。
ふわりふわりとただ虚しく浮かぶだけ。
ラグア(なんだ…?あの魔術は。非常に不吉…
非常に不吉だぞ…。だが…これは…もしや…)
彼は歩いていく。
古代王の剣を握りしめて。
アヅミナの方へ、1歩、また1歩。
彼女は酷死魔術を消す。
もう1度、獄火を出そうとする。
だが、出てきたのは酷死魔術。
アヅミナ「…なんで…!なんで…!」
ラグア(やはりそうか)
エミカ(アヅミナさんの魔力が…制御不能に!?
フタが…!フタが外れてしまったのか…!?
それで…制御できなくなったのか…!?)
エミカは立ち上がる。
ラグアに天火を撃とうとする。
だが、よろめいて、その場に倒れた。
アルジ「エミカ!!」
エミカ「……うう…」
彼女はそのまま気を失う。
再生魔術で魔力を急激に使い果たしたせいだった。
一方、アルジの傷は治っていた。
腕も、胸も、完全に元通り。
◇ アルジはHPが全回復した。
接近するラグアに向かってアヅミナは叫ぶ。
アヅミナ「許さない!!絶対許さない!!」
ラグア「お前だろ?」
アヅミナ「…え?」
ラグア「僕の大切な仲間に…精神操作をかけた。
そして、巨方庭の攻略法を聞き出した。
…そうだろ?」
アヅミナ「…!!」
ラグア「僕もお前を許さない」
次の瞬間、ラグアの放光剣がアヅミナを襲った。
光の刃が彼女の胸に突き刺さる。
◇ アヅミナは24032のダメージ。(HP640→0)
◇ アヅミナは死んだ。
アヅミナの体が地面に沈んだ直後。
ラグアは感じとる。
強い敵意と殺意の塊が背後に迫っているのを。
振り向くと、目の前で剣が振り下ろされる。
その剣は、恐ろしい速さで振り下ろされた。
強い光を放ちながら。
ラグア「…!!」
左肩を斬られたラグア。
だが、その傷は浅い。
◇ ラグアに776のダメージ。
異常なまでに研ぎ澄まされた反射神経。
その働きが彼に致命傷を免れさせた。
肩の傷をまばゆい光が覆う。
◇ ラグアはHPが全回復した。
剣を構え、両者は向き合う。
アルジ「ラグア!!てめえ!!許さん!!!」
ラグア(強い秘力…。あの剣は…一体なんだ?)
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 4577/4577
◇ 攻撃
56★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
50★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、闘主の鎧
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、
壮刃破竜斬撃、雷刃剣
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 31
◇ HP 3027/3027
◇ 攻撃 11★★★★★★★★★★★
◇ 防御
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 魔力
55★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火弾、火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
天火
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 40、活汁 4
◇ 創造の杖
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ラグア ◇
◇ レベル 40
◇ HP 6695/6695
◇ 攻撃
63★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★
◇ 防御
66★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 素早さ
64★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 魔力
54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力
24★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 装備 古代王の剣、破壊の矛、安定の玉、
古代王の鎧
◇ 技 二連剣撃、三連剣撃、王攻剣、放光剣
◇ 魔術 火弾、火球、火砲、王火
雷弾、雷球、雷砲、王雷
岩弾、岩球、岩砲、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ 秘術 白剣




