表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルジ往戦記  作者: roak
27/300

第27話 実力

◆ トガワ ◆

そこは小さな村。

住人は少なく、旅人の大半は素通りする。

そんな村に今は人だかりができている。

荒々しい声が聞こえてくる。

旅人たちが役人に詰め寄っていた。

アルジたちはその様子を眺める。


旅人A「どうしてですか!」

旅人B「困りますよ!」

役人「ですから、化け物が…!」


リネは首を傾げて言う。


リネ「化け物が出た…本当のようですね」

アルジ「カリヤで商人が言ってたやつか」

エミカ「しばらくは通行止めだな」

ミリ「休憩にしようよ。もう疲れたし」

リネ「そうですね。そうしましょう」

ミリ「休んでる間に通れるようになったりして」

エミカ「だといいけどな」


アルジたちは休む場所を探す。

村の中を歩く。

夕刻になり、空が暗くなり始める。


リネ「少し早いですが…」

アルジ「仕方ないよな」


今日のこれ以上の移動を諦める。

アルジたちは1軒の小さな宿を見つけた。

そこで泊まることにする。

宿泊の手続を済ませて旅の荷物を預ける。

それから、外へ出て食事処を探した。


エミカ「リネさん。ここでどうですか?」

リネ「いいですね。ここにしましょう」


選んだのは村で最も大きな食堂。

その古びた建物には趣があった。


店員「いらっしゃい」


広々とした食堂内。

大勢の客が席を埋めている。

通行禁止の影響だった。

各食卓の上には熱々の鍋料理。


店員「空いてるところ、どこでもどうぞ」


アルジたちは薄暗い食堂の中を歩く。

4人分の空席を見つけて座った。

しばらくすると、店員がやって来る。


店員「注文は?」

リネ「何がありますか?」

店員「はい、カラミ鍋、アマメ鍋、スウハ鍋。

 全部で3種ありますが」

アルジ「何が入ってるんだ?」

店員「肉とか…野菜とか…」

アルジ「………」

リネ「1つずつください。3種類を1つずつ。

 お皿を4人分いただける?」

店員「はいよ!毎度あり!」


隣の席から声が聞こえる。


客A「苦戦しているらしい…」

客B「二隊も退散したとか…」

客C「となると、いよいよか。

 ついに大前隊が…」


大前隊おおまえたいは、中央政府の戦闘部隊。

選りすぐりの戦士たちで構成される。

彼らが担当するのは重大事件。

何人もの人を殺した凶悪な獣の討伐。

国境を越えて暴れる武装集団の鎮圧。

このような任務を大前隊が引き受ける。

隊員たちは強いだけでなく、癖のある者が多い。


リネ「私に考えがあります」

エミカ「なんですか?」

アルジ「多分オレも同じ考えだ」

ミリ「え?何?」

アルジ「大陸を巡り、人と出会い、悪と戦う。

 そうすることで自ずと道は開ける…だよな」

リネ「そのとおり」

アルジ「化け物退治をやろうじゃないか」

エミカ「そういうことか。いいだろう」

ミリ「私もやるよ!」

エミカ「いつまでも待ってられないしな」

アルジ「そういうことだ。リネも…」

リネ「もちろん私も戦います」

アルジ「決まりだ!

 飯を食ったら掛け合ってみようぜ。

 トウオウ道をふさいでる役人に」

リネ「そうしましょう」


しばらくして鍋が運ばれてくる。

濃厚な味のカラミ鍋。

あっさりしたアマメ鍋。

香り豊かなスウハ鍋。

3種類の鍋が卓の上に置かれる。


ミリ「あ、おいしい!」

エミカ「風味がいいな」

アルジ「これもうまいぜ」

ミリ「本当だ」


アルジたちの腹は満たされた。

食事代を支払い、店を出る。

そして、村の外へ。

人混みをかき分けて役人の前に立つ。


役人「なんだ!あんたらは!」

アルジ「化け物退治をしたい」

役人「だめだ、だめだ!素人が出しゃばるな!」

リネ「素人ではありません」

エミカ「見せてやりなよ」

役人「……?」


アルジは勇気の剣を構える。

危険を感じて彼の周りから離れていく人々。

アルジは目を閉じ、深く息をする。

そして、目を開けた瞬間、円月斬りを放つ。

鋭い刃が空を斬る。

ヒュオッと大きな音が辺りに響く。


役人「…!!」


辺りは静まり返った。

役人は目を丸くしてアルジに近づく。


役人「あんた…所属は?」

アルジ「ただの旅人だ」

役人「旅人だと?」

アルジ「星の秘宝を追い求める旅人だ」

役人「星の秘宝…?」


髭を生やした男が大股で歩いてくる。


髭の男「なんだ、なんだぁ、おい」

役人「あ、サルヤマさん!」


サルヤマは中央政府から派遣された調査員。

獣の生態に詳しい。

彼は政府との連絡係も担っていた。


サルヤマ「なんだ!!お前ら!」

アルジ「旅の者だ」

サルヤマ「さっきのはなんだ?」

アルジ「円月斬りという技だ」

サルヤマ「戦士なのか?お前?」

アルジ「そうだ」

サルヤマ「化け物を倒すのか?」

アルジ「ああ。協力させてくれ」

サルヤマ「気持ちはありがてえ。

 だが、そいつはお生憎様だ」

アルジ「?」

サルヤマ「大前隊の出動の目処がついたんでな」

アルジ「大前隊…」

サルヤマ「紛れもねえ第一隊の連中だ」


大前隊は第一隊から第三隊までで構成される。

第二隊、第三隊も組織としては大前隊。

だが、隊員の実力は第一隊と圧倒的な差がある。

第一隊の隊員たちこそが本当の実力者。

正式に大前隊と呼べるのは、第一隊。

そのような認識が人々の間で広がっている。

そのため、大前隊といえば一般に第一隊を指す。

彼らの出動には、大君たいくんの命令が必要。

大君は、諸国を統べる中央政府の頂点に立つ者。


サルヤマ「あいつらが来たらおしまいよ。

 オレもお役御免だ」

アルジ「いつ来るんだ?」

サルヤマ「さぁな…都からの移動もあるし、

 もしかすると3、4日かかるかもしれねえ」

アルジ「そんなに待ってられないな」

サルヤマ「何?」

エミカ「私たちが…明日倒すと言ったら?」

サルヤマ「なんだと?」

リネ「あなたも早く都へ帰ることができる。

 …都合がよいのではないですか?」

サルヤマ「何ぃ?本当にやれんのか…?」

ミリ「任せてよ」

サルヤマ「ならば、見せてみろ…」

アルジ「…?」

サルヤマ「あんたの技はさっき見た。

 円月斬り…悔しいが合格だ!!

 並の戦士じゃ歯が立たねえのはよく分かる。

 だがな!1人で行かせるわけにはいかねえ。

 相手はバカでかい化け物だ。

 1人じゃ無理ってもんだ」

エミカ「力を見せればいいんだな」

サルヤマ「…そういうことだ」

アルジ「見せてやれよ」


人だかりから離れるエミカ。

意識を集中させ、魔樹の杖に魔力を込める。


エミカ(…力が湧いてくる…!

 この新しい杖と…魔術衣のおかげか…?)

リネ「みなさん!離れてください!」


一斉に散っていく人々。

大きな火柱が地面から上がる。

その炎は、巨木のように太く、力強い。


サルヤマ「な!なんて炎だ…!」


誰もが炎をじっと見上げる。


サルヤマ「やべえ…!村が…焼ける…!!

 もういい…!分かった!」


エミカは杖を小さく振って炎を消した。

◇ エミカはレベルが上がった。(レベル6→7)

◇ エミカは火樹を習得した。


サルヤマ「…ふぅ…」

エミカ「………」

サルヤマ「…なんて魔術だ…」

エミカ「リネさん、私はこれで精一杯です。

 あの方にもっとすごい魔術を…」

リネ「あら、あなたの力はその程度なの?

 分かった!やってやろうじゃない。

 ケガ人が出なければいいけど」

サルヤマ「何!?もういい!もう分かった!

 お前たちの実力はよく分かった!!」

アルジ「それたら、どうする?」


サルヤマは覚悟を決める。


サルヤマ「好きにしろ…!

 やりたいようにやりやがれ!

 ただし…オレから2つほど忠告がある!!」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   347/347

◇ 攻撃  12★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  2★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 7

◇ HP   192/253

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 8★★★★★★★★

◇ 魔力  15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹


◇ ミリ ◇

◇ レベル 5

◇ HP   144/144

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 6★★★★★★

◇ 魔力  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   678/678

◇ 攻撃   6★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25、魔力回復薬 16

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ