第266話 攻略
◆ 巨方庭 ◆
林の中を進む。
歩きながらアヅミナが問いかける。
アヅミナ「攻略法は覚えてる?」
エオクシ「忘れるわけねえだろ」
アルジ「えっと…」
エミカ「4地点の制覇」
アヅミナ「その4地点は?」
エオクシ「北の頂、西の砦…」
アヅミナ「東の祠…あとは…」
アルジ「えっと……南の泉か!」
アヅミナ「当たり」
目の前に泉が見えてくる。
アルジたちは立ち止まった。
アヅミナ「攻略はどこからでもいい。
ただし、2体目以降は光の導きに従え。
ロニはそう話してた」
エオクシ「なら、今回は南の泉からやるか」
アヅミナ「せっかく来たしね」
エミカ「ここで遺跡の番人と戦う…のか」
アルジ「竜の守護兵っていうんだよな?」
アヅミナ「そうだよ。
あたしたちは戦った。前回来たときに。
頭が竜。体は鱗に覆われている。
鎧をまとい、武器を手にしている」
アルジ「それを1時間に4体倒していくわけだ。
北の頂と西の砦と東の祠と南の泉で!」
アヅミナ「ええ。それで4地点制覇」
エミカ「分かりやすい」
アヅミナ「ロニが攻略法を話してくれたおかげ」
エミカ「アヅミナさんの魔術のおかげだ。
精神操作でロニから聞き出してくれた」
アヅミナ「でも、精神操作できたのは…
ロニを生け捕りにできたから。
ラッセイムスラを天火で撃ち落として、
アルジ君とエオクシが斬ってくれて、
最後はロニを気絶させられたから。
だから、これはみんなのおかげ」
エミカ「ああ…」
アヅミナ「いろんなことがうまくいったから、
ロニを生け捕りにして、精神操作をかけて、
巨方庭の攻略法を聞き出せた」
エオクシ「誰かの力じゃねえ。
全員の力だ。オレたちだからできた。
オレたちだからここまで来れた」
エミカ「そうだな」
アルジ「今回もオレたちならやれる」
アヅミナ「竜の守護兵だって倒せる。
4体全部を…新しい技と…魔術で…」
エオクシ「新しい技と魔術…
この条件が面倒で前回は苦労した」
アルジ「守護兵を倒すため使った技と魔術は…
次の守護兵には効かないってことだよな?」
アヅミナ「そうだよ。
使う前に見破られて避けられる。
氷術で凍ってたり雷術で痺れてたり
そういう状況なら話は別だけど…。
でも、結局次は効かなくなるから。
そのとき使った氷術も雷術も…」
エミカ「竜の守護兵を4体全部倒すには…
少なくとも4つの技や魔術が必要…。
そういうことか」
エオクシ「そうだな。
そんで俺たちにはもう…」
アヅミナ「それがある」
アヅミナ「…で、ここは?誰が行く?」
泉を静かに見つめるアルジたち。
エオクシ「オレがやる」
アヅミナ「それがいいかもね」
アルジ&エミカ「………」
エオクシ「アルジ、エミカ、よく見とけ。
どんなやつが出てきて、どう攻めてくるか」
アルジ「ああ」
エミカ「学ばせてもらう」
エオクシ「攻めてくる前に…
倒しちまうかもしれねえけどな!」
エオクシは泉に入っていく。
エオクシ「えーっと、この辺か?
いや、この辺だったか?」
何度も泉の底を踏みつける。
しばらくしてゴトンと音が鳴る。
エオクシ「…当たりだ!」
林の奥から現れる。
竜の頭部、人の胴体、赤い鱗。
頑強な鎧を装備している。
手にしているのは、1本の長い剣。
壮刃剣を構えて、エオクシは言う。
エオクシ「なんだ、赤いやつが出てくんのか」
アヅミナ「どこから攻略しても…
出てくる守護兵の順番は変わらないのかな。
1体目は赤。そう決まってるのかも。
そうなると…」
エオクシ「まあ、どうでもいいか!
とりあえずこいつ潰すぜ!!」
アルジ&エミカ「………」
守護兵の目が青白く光る。
エオクシはアルジたち3人に忠告する。
エオクシ「あの光に当たんじゃねえぞ。
オレが当たって、オレが倒す」
アヅミナ「それで光の傷は治る」
エオクシ「…だったな!」
アルジ&エミカ「………」
エオクシから離れるアルジたち3人。
竜の守護兵の目からまっすぐ光が放たれる。
エオクシは避けずに腹で受け止めた。
エオクシ「…!」
アルジ(!!?
あんなの食らって大丈夫なのか…!?)
エオクシの腹部に青白い光が残る。
それを気にせずエオクシは突進。
竜の守護兵に向かって、まっすぐに。
エオクシ(新技を見せてやる!)
大きく斬り上げ、斬り下ろす。
エオクシは天地双竜剣を繰り出した。
鎧を破壊し、腹を裂き、頭を割った。
◇ 竜の守護兵に64992のダメージ。
◇ 竜の守護兵を倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ エオクシはレベルが上がった。(レベル40→41)
倒れた竜の守護兵を見下ろすエオクシ。
エオクシ「なんだ、もうくたばりやがったか」
アルジ(天地双竜剣…強くなってる…!)
エミカ(技を…完全に自分のものにした…?)
アヅミナ「ここからは時間との戦い…」
エオクシ「1時間であと3地点か」
アルジ「…走るか?」
エミカ「いや、これを使おう!」
エミカは荷物入れから取り出す。
魔生体ラアムとナアムを。
アヅミナ「いいね。そういうのがあるんだ。
それなら速く移動できそう。
1つあたしに貸してくれる?」
エミカ「使ってくれ」
エミカはナアムをアヅミナに渡す。
2人はそれぞれ魔力を注ぐ。
それぞれ巨大化させて飛び乗る。
ラアムにアルジとエミカが。
ナアムにエオクシとアヅミナが。
エオクシ「面白え形だな」
アヅミナ「変わった形だけど、よくできてる。
魔力を注ぐとよく分かる。淀みなく流れてる」
エミカ「これで移動すれば時間を短縮できる」
アルジ「よし、行くぜ!!!」
アヅミナ「待って」
泉の水が急に赤くなる。
その赤い水が地を這って、伸びていく。
光を薄らと放ちながら東の方へ。
アヅミナ「次は東の祠。光に沿って行くよ」
アルジ「…これが光の導きに従えってことか」
エオクシ「アルジ、おめえどこ行こうとしてた?」
アルジ「あっちの方かな」
エミカ「そっちは巨方庭の真ん中じゃないか?」
アルジ「ははは…。
悪い、悪い、従うぜ。光の導きにな!」
アヅミナ「途中でラグアたちと出くわすかも」
アルジ「…!!」
エミカ&エオクシ「………」
アヅミナ「その可能性も…頭に入れておいてね」
アルジ「おう…!」
ラアムとナアムは連なって走り出す。
木の根を飛び越え、張り出した枝を潜る。
林の中を駆ける。
エミカのラアムの操縦。
それにアヅミナがナアムでついていく。
エミカ(アヅミナさん…
初めてなのに…もうあんなに乗りこなしてる。
リネさんが見たらびっくりするだろうな…)
アヅミナ(素晴らしい魔生体…。
これも…エミカちゃんの先生が作った…。
天火の論文のときも思った。すごい人…。
魔術院の術師だけが優れた魔術師ではない。
改めて…よく分かった)
そして、前方に巨大な岩が見えてくる。
赤い水の流れは、その岩の下へと続いていた。
アルジ「東の祠って…ここか?」
エオクシ「ああ。入り口は狭え。
しかも中は急斜面。
こっからは歩いていくしかねえ」
アヅミナ「暗いから気をつけて」
エミカ「光玉で照らそう」
アヅミナ「お願い」
ラアムとナアムから降りて、アルジたちは進む。
岩の下部には穴。
その穴に赤く光る水が流れ込んでいる。
アルジたちは穴に入っていく。
急斜面を慎重に下る。
下りながら話し合う。
アルジ「敵はこの奥か」
アヅミナ「次は青かな」
アルジ「青…?」
アヅミナ「竜の守護兵のこと」
エミカ「さっきは体が赤かった」
エオクシ「あいつら色が違う」
アルジ「赤い守護兵の次は青い守護兵ってことか」
アヅミナ「うん。青も結構強い。だけどね…」
エオクシ「問題は白と黒だ」
アルジ「白と黒」
エミカ「強いのか?」
アヅミナ「2体とも破格の耐久力」
アルジ「頑丈なのか」
エオクシ「頑丈なんて言葉じゃ足りねえ。
ありゃ異常だ」
アヅミナ「白は…倒せなかった。
あたしの王火をいくら浴びせても。
上級術師の王岩をいくら落とされても」
エオクシ「最後は魔力が切れて、
隙をつかれて、死んだ…」
アルジ「死んだ?」
エオクシ「ああ。斬られて、死んじまった…。
前回来たときの仲間の1人がな」
エオクシの力のない声。
アヅミナは言う。
アヅミナ「あたしは白か黒と戦う。
青とは戦わない」
アルジ「白か黒…」
アヅミナ「あたしの獄火は白か黒に使いたい」
エオクシ「それがいいだろな」
アヅミナ「青が相手じゃ獄火がもったいない」
エオクシ「白と黒に見切られるわけにはいかねえ」
アルジ「なら、オレも白と黒だ」
エミカ「私の天火も…」
エオクシ「エミカは青にしとけ」
エミカ「なんでだ?」
エオクシ「天火で青を倒せ。
そうすれば、とっておける。
アルジの技とアヅミナの獄火を白と黒にな」
エミカ「………」
アヅミナ「あたしからもお願い」
エミカ「アルジはいいのか?白と黒で」
アルジ「剛刃波状斬撃と壮刃破竜斬撃…
2つの技の見せどころだ。
敵が弱くちゃつまらないだろ!」
エミカ「あのな…つまらないって…」
アルジ「もちろんなめてるわけじゃないぜ。
もしものときは頼む。
エミカの魔術で助けてくれ」
エミカ「ああ。もちろんだ」
アルジ「天火で青を倒しても、
ほかの魔術は効くんだよな?」
アヅミナ「王火とか王氷とかほかの魔術は効く。
あたしの王火と王氷は学習されたけど」
アルジ「なら、決まりだ。青はエミカだ。
頑張ってくれ」
エミカ「…アルジ」
アルジ「安心しろ。いざというときはオレも戦う。
オレには使える技がたくさんあるんだぜ!」
エミカ「ありがとう!」
エオクシ(そうだ…。手札がいくつあるか。
これが大事だ。アヅミナとオレは…
戦い方をほとんど学習されちまってる。
だが、アルジとエミカ…おめえたちは違う。
特にアルジ…。
おめえはまだ底が見えてねえ。見せてみろ。
竜の守護兵との戦いで、おめえの本当の力を!)
アルジたちは穴の奥へ進む。
エミカの光玉の明かりを頼りに。
やがて巨大地下空間に出る。
最深部まで歩いていき、円形の石板を見つけた。
エオクシ「おう、これだ、これだ」
アルジ「なんだ?」
アヅミナ「これを押すと守護兵が現れる」
アルジ「そうなのか」
エオクシ「さっきも泉の底にあるやつを踏んだ」
アルジ「そうだったのか」
アヅミナ「エオクシ、早く押して」
エオクシ「今押してやる」
エミカ(私の天火で…すぐに倒してみせる…)
エオクシが石板を押す。
ゴトンと音がして、現れる。
青い竜の守護兵が。
エミカはその姿を見つけるなり天火を放った。
エミカ「えい!!」
竜の守護兵「…!!?」
超高熱の球体が守護兵の全身を焼き尽くす。
武器も、鎧も、鱗も。
◇ 竜の守護兵に70207のダメージ。
◇ 竜の守護兵を倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ エミカはレベルが上がった。(レベル30→31)
アルジ&エオクシ&アヅミナ「………」
エミカ「あれ…なんだ…。もう終わりか」
やがて青い光の筋が地面に現れる。
岩の起伏をいくつも越える。
地下空間の外へ伸びていった。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 4234/4234
◇ 攻撃
52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 素早さ
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 魔力 15★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、闘主の鎧
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、
壮刃破竜斬撃、雷刃剣
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 31
◇ HP 2821/3027
◇ 攻撃 11★★★★★★★★★★★
◇ 防御
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 魔力
55★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火弾、火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
天火
◇ エオクシ ◇
◇ レベル 41
◇ HP 4488/4781
◇ 攻撃
58★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
48★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 素早さ
54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 壮刃剣、戦究防護衣
◇ 技 天裂剣、地破剣、天地双竜剣
◇ アヅミナ ◇
◇ レベル 39
◇ HP 509/509
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 魔力
54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 大法力の魔杖、漆黒の術衣
◇ 魔術
火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火
氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷
暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、
酷死魔術
獄火
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 50、活汁 8
◇ 創造の杖
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ 竜の守護兵(赤) ◇
◇ レベル 37
◇ HP 29874
◇ 攻撃
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 15★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 赤竜の剣、赤竜の鎧
◇ 魔術 火弾、火砲、王火
◇ 秘術 赤刻
◇ 竜の守護兵(青) ◇
◇ レベル 37
◇ HP 28777
◇ 攻撃
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 防御
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 12★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 青竜の剣、青竜の鎧
◇ 魔術 氷弾、氷砲、王氷
◇ 秘術 青深




