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アルジ往戦記  作者: roak
265/300

第265話 評価

アルジたちは巨方庭の近くに来た。

草むらには敗れた戦士たち。


アヅミナ「みんな死んでる」

エオクシ「どいつも綺麗にやられてやがる。

 敵の技の精度が分かるってもんだな」

アルジ「この人はこれが致命傷か。

 一撃で…。こっちも、あっちもか」

エミカ「あ…!」


エミカは走った。

巨方庭をぐるりと囲む整備された歩道。

それを越えて、深い茂みへ。

今にも事切れそうな1人の戦士の姿。


戦士「…うう…」

エミカ「しっかりしろ!」


アルジ、エオクシ、アヅミナも行く。


アヅミナ(この人…ほとんど息をしてない。

 深い茂みの中で姿も見えなかった…。

 感じ取れたんだ。エミカちゃんは。

 この微かな、本当に微かな魔力を…)


エミカは戦士の腹部に大きな傷を見つける。

剣で斬り裂かれたような大きな傷を。

それは普通の傷と異なる。


戦士「………」

エミカ(なんだ…?白く光る傷?

 とにかく…死んでなければ治せる…!)


傷を見つめるエオクシとアヅミナ。


エオクシ「おい、あの傷…」

アヅミナ「サヤノさんのと似てる…」


エミカの再生魔術で傷を癒していく。

だが、その速度は異様に遅い。

エミカの額に汗が浮かぶ。


アルジ「…どういうことだ?

 普通の傷ならとっくに治ってるはずだぜ?

 あの傷…あの光…何かがおかしいぜ!」

エオクシ&アヅミナ「………」

戦士「ぐふっ!!…ふうう…!ふううう…!!」

エミカ「もう少しだ。頑張れ!」


再生魔術の強い光で傷を癒し続ける。

エミカの手がわずかに震え始めたとき。

アヅミナが彼女の肩に手を置いた。


アヅミナ「エミカちゃん」

エミカ「…え?」


振り向くエミカ。


アヅミナ「もうやめて」

エミカ「え…?」

アヅミナ「魔力をたくさん無駄にするかも」

エミカ「でも、この人なら…敵について何か…」

エオクシ「やめとけ」

エミカ「………」

戦士「ふううう…ふううう…」

エオクシ「そいつは多分…完全には治せねえ。

 おそらく秘術の攻撃だ」

エミカ「……!」

アルジ「秘術…!!

 ってことは…ロニが言ってた…

 放光剣って技で斬られたってことか?」

エオクシ「おそらくそういうこったな」


傷はまだ半分も癒えていない。

だが、戦士の容態は少しよくなった。

どうにか話ができるくらいに。

エオクシがしゃがみ、顔を見て声をかける。


エオクシ「よう」

戦士「ふうう…ふうう…お前は…」

エオクシ「大前隊のエオクシだ」

戦士「…そうか。ついに…大将が来たか…。

 一隊のエオクシ…。知ってるぞ…。

 大前隊…史上最強…と…」

エオクシ「…史上最強かどうかなんて知らねえよ」


戦士はアルジ、エミカ、アヅミナの姿も見る。

そして、悟った。


戦士「なるほど…そうか…。なるほど…。

 政府も本気ってわけか…。分かるぜ…。

 オレには分かるぜ…。送り込んだ…わけだ…。

 とっておきの…最高の戦力を…この巨方庭に。

 ……いて!!いててて!!!!」


白く光り続ける傷


手で抑え、彼は顔をゆがませる。

そして、息を切らしながら発した。

賛美と警告の言葉を。


戦士「お前ら…。つええな…。

 はーっ…!はーっ…!

 本当に…やべえぐれえ…つええ…。

 はーっ…!はーっ…!

 分かるぜ…オレも…魔術…使える…からな…。

 それなりの…戦いを…してきたからなぁ…。

 その気配…姿…魔力…滅多にいねえ…。

 よく分かる…。

 オレらより…遥かにつええってことが…」

アルジ&エミカ&エオクシ&アヅミナ「………」

戦士「…だがなぁ!

 …本当に…残念なんだがなぁ…」

アヅミナ「…何が?」

戦士「お前らでも…勝てる気が…しねえ…。

 いくらお前らでも…

 あいつらには…勝てる気がしねえ…」

エオクシ「…へえ、そうかい」

戦士「あいつらは…もっと…もっと…やべえ…。

 大前隊の第一隊より…さらに…つええ…」

エオクシ「………」

戦士「オレの感覚じゃあ…そんな評価…。

 そして…あいつらの中でも…

 とりわけやべえのは…

 誰よりも…!やべえのは…!!」

アルジ「…ラグアか?」

戦士「は…なんだ、知ってんのか…あんた…」

アルジ「そいつが賊の大将だろ」

戦士「そうだ…。あいつが…首謀者だ…。

 今回の…襲撃も…あいつが仕切っていた…。

 仲間たちからも…えらく慕われていたなぁ…」

アルジ「どんなやつだ?」

戦士「あいつは…すべてにおいて欠点がない…」

アルジ「………」

戦士「恐ろしい剣術を使う…。

 激しい魔術も使う…。まったく隙がねえ…。

 あいつは…超人だ…。

 それに…妙な…見たことねえ技も使う…。

 とんでもねえ技だ…。

 光り輝く斬撃を…飛ばしてくる…。

 あれで…何人もやられた…。

 このオレも…その1人…。

 気をつけろぉ…お前らぁ…。

 気をつけろよぉ…ぶはっ!?」

アルジ&エミカ&エオクシ&アヅミナ「!!」

戦士「ぶは!!ぐは!!ぶは!!!

 ぐは!!!ぶは!!!!

 ………………………うっ…」


それきり戦士は息絶えた。

白く光る傷が食い込み、命を奪ったのだった。

エミカの再生魔術の効果を打ち消して。


エオクシ「………」

アルジ「どうした?エオクシ」

エオクシ「あ…?ああ…」

アヅミナ「何?どうしたの?」

エオクシ「いや…」

エミカ「…どうしたんだ?」


エオクシは深刻な顔で話した。


エオクシ「こいつ…見たことのある顔だった。

 さっきよく見て確かめた。間違いねえ…」

アルジ「誰なんだ?」

エオクシ「前回のアマシロ武術大会で…

 準決勝まで勝ち上がっていた」

アルジ「準決勝ってことは強いんだな」

エオクシ「ああ。

 直接戦っちゃいねえが、試合は見た。

 二隊員を派手に打ち負かしてたな…」

アルジ「二隊員を…派手にだって…?」

エオクシ「ああ。

 こいつは確かどっかの防衛隊の戦士…。

 だが、間違いねえ。

 二隊の上位層並みの実力はある」

アヅミナ「だから?何が言いたいの?」

エオクシ「こいつの侵入者に対する評価は…

 あてにならねえわけじゃねえってことだ」

アルジ「大前隊よりも強いって言ってたな」

エオクシ「ああ。

 侵入者の力は一隊を超えている…。

 そう考えといてよさそうだ!」

アルジ&エミカ「………」


アヅミナは冷めた様子で言う。


アヅミナ「怖いの?」

エオクシ「そんなんじゃねえ。

 警戒してるだけだ」

アヅミナ「所詮、相手は人でしょ?」

アルジ&エミカ&エオクシ「………」

アヅミナ「今回の敵は古代獣ではない。

 数は多くても、あたしたちと同じ人間…」


アヅミナは杖をつかみ、闇の魔波を発した。

アルジとエミカは思わず身構える。


アヅミナ「当たれば一撃で終わり」

エオクシ「………」

アヅミナ「エミカちゃんの天火とあたしの獄火。

 見つけた瞬間、撃って、当てる。

 それで終わり。あたしたちの勝ち。

 そうでしょ?」

エオクシ「…簡単に言ってくれるじゃねえかよ」

アヅミナ「確かに距離を詰められたら分からない。

 一流の戦士が間近で襲ってくれば、分が悪い。

 だけど、十分な間合いさえ保てたら大丈夫。

 ね、エミカちゃん」

エミカ「ああ。感知する。敵の魔波を。

 だから…大丈夫だ。

 見つけたら…天火をすぐに撃ち込む」

アヅミナ「さっきの感知…素晴らしかった」

エミカ「ああ…」

アヅミナ「あなたが走っていったから…

 あたしも気づいた。

 そこに微かな魔力があるって。

 本当に素晴らしい感知力」

エミカ「ありがとう。アヅミナさん」

エオクシ(ベタ褒めか…)


アルジはアヅミナの方を向いて言った。


アルジ「アヅミナさん、オレは…」

アヅミナ「…どうしたの?」


エオクシがアルジの肩に手を置いた。

小声で、早口で伝える。


エオクシ「敵を倒して、全員で無事に帰る…。

 …それを考えたら、

 アヅミナの言ったやり方が最善だ…」

アルジ「…ああ…まあ…そうか…」

エオクシ「もしも天火と獄火が外れたら…

 そんときはおめえがラグアを倒しにいけ…」

アルジ「そうだな…そうするか…」

エオクシ「…ああ…好機は巡ってくる…。

 それを逃すな…!」

アルジ「…おう…!」

アヅミナ「…?」


エミカが首を傾げる。


エミカ「何を話してたんだ?」

アルジ「あ、ああ、えっと…」

エオクシ「別に…大したことじゃねえよ」

エミカ「大したことじゃない?一体なんだ?」

アヅミナ「嘘でしょ。

 大したことじゃないのに…

 あんな顔して耳打ちするわけないでしょ」

エミカ「そうだ。

 大事な話なら私たちにも言ってくれ」

アヅミナ「言って」

エオクシ「………」

エミカ「言ってほしい」

エオクシ「…もっといい機会は巡ってくる。

 だから、それを逃すなって言ったんだ…」

エミカ&アヅミナ「…?」

エオクシ「アルジのやつ…なんだか…

 アヅミナに気があるみてえだからよ…」

アヅミナ「!!?」

エミカ「…え?」

アルジ「は!?バカヤロウ!!!!

 そういうことじゃねえ!!!」

エオクシ「はっはっ」

エミカ「………」

アルジ「そういうことじゃないんだ!!!」

エミカ「………」

エオクシ「はっはっはっ」

アヅミナ「………」

エオクシ「…と、おしゃべりはここまでだ」


エオクシは巨方庭に目を向ける。


エオクシ「始めるぜ。巨方庭の攻略を!」


アルジたちは巨方庭に足を踏み入れる。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 33

◇ HP   4234/4234

◇ 攻撃

 52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 魔力  15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、闘主の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、

     壮刃破竜斬撃、雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   2821/2821

◇ 攻撃  11★★★★★★★★★★★

◇ 防御

  31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  53★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火弾、火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術

      天火


◇ エオクシ ◇

◇ レベル 40

◇ HP   4488/4488

◇ 攻撃

  56★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 素早さ

  52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣、天地双竜剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 39

◇ HP   509/509

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

  49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 魔力

  54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術

  獄火


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 50、活汁 8

◇ 創造の杖


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ 竜の守護兵(赤) ◇

◇ レベル 37

◇ HP   29874

◇ 攻撃

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力  15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  赤竜の剣、赤竜の鎧

◇ 魔術  火弾、火砲、王火

◇ 秘術  赤刻


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