第256話 決勝
アヅミナは問いかける。
アヅミナ「どうしたの?1人でこんなお店に来て」
アルジ「…えっと…」
アルジは説明した。
カクノオウを倒し、ワノエに戻るとき。
エミカに首飾りを買うと約束したことを。
アヅミナ「贈り物…そうなんだ」
アルジ「ああ、買おうと思って」
アヅミナ「ちゃんと覚えてるなんて優しいね」
アルジ「上げるって言っちまったしな」
アヅミナ「素敵なの買ってあげてね」
アルジ「…ああ」
アルジは並べられた品物を見る。
アルジ(この辺かな…)
真剣な顔で探す。
アヅミナ「どんなのがいいの?」
アルジ「緑色の…綺麗な石が入った首飾りで…」
アヅミナ「そうなんだ。これとか、これは?」
アルジ「値段がかなり違うな」
アヅミナ「それはね…」
アヅミナはアルジに話して聞かせた。
なぜ値段が違うのか、どういうものが高いのか。
アルジ「そうなのか」
アヅミナ「しっかり選んでね」
アルジ「ああ。
でも…なんでそんなに詳しいんだ?」
アヅミナ「好きだから」
アルジ「そっか」
彼女の両手の指。
右手と左手に3つずつ。
はめられた指輪を見て納得。
アヅミナ「あたしも買おうと思って来たんだ」
アルジ「贈り物…?」
アヅミナ「いいえ、自分に」
アルジ「………」
ほほえみながら品物を見て彼女は言った。
アヅミナ「買うことにしてるんだ」
アルジ「………」
アヅミナ「嫌な仕事を頑張れたら、ご褒美にね」
アルジ「そっか…」
アヅミナ「ロニにかけた魔術…見てたでしょ」
アルジ「…ああ」
アヅミナ「好きでやってるわけじゃないんだよ」
アルジ「ああ、それは…なんとなく分かる」
アヅミナ「嫌でしょうがないときもある」
アルジ「………」
アヅミナ「だけど、やらなきゃね」
アルジ「…ああ」
アヅミナ「ねえ…アルジ君は…」
アルジ「…なんだ?」
アヅミナ「あたしのこと悪い人って思ってた?」
アルジ「いや…全然…そんなことないぜ」
アヅミナ「そう…?」
アルジ「ああ」
アヅミナ「本当に…?」
アルジ「本当だ。
アヅミナさんは…なんていうか…
思ってたより…えっと…なんていうか…」
アルジの頬が赤くなった。
そんな彼を見てアヅミナは小さく笑う。
アヅミナ「ふふ…」
アルジ「………」
アヅミナ「ほら、選ばなきゃ」
アルジ「ああ…そうだな」
アヅミナがいろいろ助言する。
そして、アルジは選んだ。
首飾りの1つを。
アヅミナ「きっと喜んでくれると思う」
アルジ「…だといいけどな」
アヅミナ「あたしはまだここにいる。
それじゃあね」
アルジ「ありがとう。いろいろ教えてくれて」
アヅミナ「どういたしまして」
その首飾りは高価なものだった。
シノ姫からもらった金の大半を使った。
アルジは店の出入口に向かう。
アヅミナを残して。
去り際に振り返る。
彼女は品定めに夢中な様子。
アルジ「………」
店を出る。
近くの小さな時計塔が時刻を告げる。
アルジ(げっ!!もう大会の時間だ!!)
大急ぎで駆けていく。
大前隊の訓練場へ。
南の通りの方へ。
その途中。
1軒の菓子屋がアルジの目にとまる。
アルジ「あ…この店は…」
◆ 城宿 ◆
エミカも目を覚ます。
ぼんやりとした意識のまま置き手紙を読んだ。
エミカ(アルジの字…踊ってるみたいな字だ…)
起き上がり、風呂に入り、支度する。
もうすぐアヅミナが迎えにくる時間。
部屋を出て、宿を出る。
エミカ「アヅミナさん」
アヅミナ「よく休めた?」
エミカ「…はい。お待たせしました」
アヅミナ「大丈夫。ほとんど待ってないよ。
さあ、行こう」
エミカ「うん」
夜の街の中を2人は並んで歩いていく。
劇場が並ぶ通りへ。
◆ 大前隊訓練場 ◆
アルジは到着した。
約束の時刻から大幅に遅れて。
正門をくぐり、敷地内を進む。
アルジ(でかい建物だ…。
この中でやってんのか…?
外には…いないよな…。
やっぱり…この室内訓練場か…?)
開け放たれた扉。
それを抜けて、足を踏み入れる。
天井にあるいくつもの魔灯火。
煌々と光を放っている。
中は、昼間のように明るい。
床に伏せた戦士たちの姿。
アルジの目に飛び込んできた。
彼らはうめき声を上げている。
その奥にエオクシが1人、立っていた。
エオクシ「遅えぞ」
アルジ「…悪い」
集まったのは腕に自信のある46人の戦士たち。
大前隊の頂点、エオクシ。
彼と戦えるとあって多くの腕自慢が集まった。
だが。
エオクシ「見ろよ、このザマだ」
アルジ「全部…倒したのか」
エオクシは手にした木剣をくるくる回す。
額に汗を浮かべながら長身の男が言う。
床に伏せたままエオクシを見上げて。
トブヤ「おい…!もう1本だ…!」
エオクシ「まだ懲りねえのか。てめえは」
あきれた様子でエオクシが言う。
エオクシ「そうだな…あいつと戦ってみろよ」
トブヤ「…?」
エオクシ「そこにいんだろ。
今来たばっかのやつが」
トブヤ「………」
アルジ「…オレか?」
エオクシ「あいつに勝ったら、また戦ってやる」
トブヤはニヤリと笑い、立ち上がる。
アルジの方を向いて距離を詰めてきた。
アルジ「…やるのか?」
トブヤ「へへ…!」
アルジは床に落ちていた木剣を拾う。
トブヤは駆け出し、木剣を振り下ろす。
トブヤ「!!」
アルジは素早くかわした。
そして、木剣を強く振る。
トブヤの腕に重い打撃を叩き込む。
ボキンと大きな音がした。
トブヤの両腕はへし折られた。
トブヤ「ぐぅぅぅあああああああ!!!!」
アルジ「あ…大丈夫か?」
エオクシはニヤリと笑って床に座り込む。
エオクシ(…やっぱりな。
あのくらいの戦士じゃ…
まるで相手にならねえか…)
驚いたのは床に伏せていた戦士たち。
現れた者が何者か。
誰もが知らない。
戦士A(誰だ…?)
戦士B(何者だ!?)
戦士C(大前隊…?いや…見たことねえ…)
戦士D(『迅速の風剣使い』…トブヤ…。
あいつの攻撃をいとも簡単に避けた…!
エオクシに殴られて…
いくらか負傷していたとはいえ…!
トブヤの攻撃の鋭さは…十分だった!
そこらの戦士じゃ…見切るのは到底無理!
そして、あの反撃…!
無駄のない…流れるような体の動き!!
すべての力を…木剣の一撃に集めて…
打ち込む…!あの動き!!
あいつは…!!一体…何者だ…!?)
エオクシが笑いながら言う。
エオクシ「誰かあいつを治療院に運んでやれ」
戦士たち「………」
トブヤ「…うぅうう…痛え…!痛え…!」
戦士の1人が立ち上がり、トブヤに肩を貸す。
2人で歩いて訓練場を出ていった。
エオクシ「おい、アルジ。手加減してやれよ」
アルジ「…ああ。次はちゃんと手を抜くぜ。
都の警備ができなくなったら困るもんな…。
せっかく遠くから集まってきてくれたのに」
エオクシ「そういうこった」
アルジは片手で小さく素振りする。
アルジ「…こんなもんかな?」
そんな彼の言動が刺激した。
床に伏せた戦士たちの闘争心を。
1人、2人、3人、次々と立ち上がる。
アルジをにらみつけながら。
エオクシも立ち上がり、大きな声で言う。
エオクシ「おし!おめえら!よく立った!!
あいつをやれ!!ぶっ倒して見せろ!!
倒したらオレがまた相手してやるぜ!!!」
戦士たち「うおおおおおおおおお!!!!」
アルジ「…受けて立つ!!」
立ち上がったのは9人。
一斉に襲いかかってくる。
だが。
戦士E「ぐは!!!」
戦士F「ぎょっ!!」
戦士G「おえ!!!」
戦士H「くは!!!」
戦士I「かは!!!」
戦士J「だほ!!!」
アルジは次々と殴り倒す。
床に沈めていく。
その猛烈な戦いぶりを見て、残り3人は諦めた。
武器を投げ置き、手を上げて、言う。
戦士たち「降参だ…」
アルジ「…それがいいだろう」
エオクシは体を震わせる。
アルジの実力に。
もはや我慢の限界。
木剣を手に、アルジの方へ歩いていく。
エオクシ「おい、アルジ」
アルジ「………」
木剣を構え、向き合う2人。
エオクシ「決勝戦だ」
アルジ「…いいぜ!」
戦士たちは静かに見守る。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 4234/4234
◇ 攻撃
52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 素早さ
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 魔力 15★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、闘主の鎧
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、
壮刃破竜斬撃、雷刃剣
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 30
◇ HP 2821/2821
◇ 攻撃 11★★★★★★★★★★★
◇ 防御
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
53★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火弾、火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
天火
◇ エオクシ ◇
◇ レベル 40
◇ HP 4488/4488
◇ 攻撃
56★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 素早さ
52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 壮刃剣、戦究防護衣
◇ 技 天裂剣、地破剣、天地双竜剣
◇ アヅミナ ◇
◇ レベル 39
◇ HP 509/509
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 魔力
54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 大法力の魔杖、漆黒の術衣
◇ 魔術
火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火
氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷
暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、
酷死魔術
獄火
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 50、活汁 12
◇ 創造の杖
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ トブヤ ◇
◇ レベル 31
◇ HP 2042
◇ 攻撃
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 4★★★★
◇ 装備 風月剣、黒革防衣
◇ 技 迅速の斬撃、乱月の凶刃、暗天風雨斬




