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アルジ往戦記  作者: roak
252/300

第252話 核心

アヅミナは口を開いた。

ロニに最初の質問を投げかける。


アヅミナ「あなたたちの狙いは?何?」

ロニ「………」

エミカ(…大雑把な質問だ。

 これでも…ちゃんと答えてくれるのかな)


ロニは答えた。


ロニ「破壊だ…」

アヅミナ「………」

ロニ「私たちの狙いは…破壊することだ…。

 星の秘宝を集め…巨方庭の祭壇に捧げ…

 魔真体を目覚めさせる…。

 その力で…破壊する…。

 それこそが…私たち…ノイ民の…狙い。

 ノイ民は…ずっと虐げられてきた…。

 許せない…。ミオ民が許せない…。

 だから…取り返す…。今こそ取り返す…。

 大陸を…ノイ民のものに…。

 建てる…。新しい国家を…。

 ノイ民の国家を…建ち上げる…。

 私たちは宝子…。ラグアと私は…託された。

 ノイ民の命運を託された…宝子だ…。

 絶対に…負けない…。勝つ…。必ず勝つ…。

 それが…私たちの…使命だ…」

アヅミナ「そうなんだ」

シノ姫「…ホジタの話と矛盾していない。

 今までの調査結果とも…。

 アヅミナ、続けてちょうだい」

アヅミナ「はい」

エミカ(…たくさん喋ってる。

 精神操作…こんなこともできるなんて…。

 本当に…恐ろしい魔術だ…)

アヅミナ「ラグアっていうのは?どんな人?」

ロニ「新たな国の王となる…。

 そのために生まれてきた男…。

 大遊説も…星の秘宝の収集も…

 魔真体の復活も…これらの活動は…

 全て彼が考えて…行っている…。

 彼こそが…決定者…。

 ノイ民全体の…意思決定者…。

 決定者であるラグアが止まれば…

 全ての活動は止まる…。

 だが…決して止まらない…。

 誰も…止められないから…。

 ラグアは強い…。本当に強い…。

 勝てる者などいない…。

 …大陸のどこを探しても…」

エオクシ「…そんなに強えのか?…面白えな」

ロニ「ラグアは…武術と魔術を…兼ね備えた男…。

 私の獣魔術を…覚醒させたのも…彼だ…」

アヅミナ「ラグアはどんな魔術を使うの?」

ロニ「4種の魔術を操る…」


ロニは明かした。

ラグアの魔術について。


ロニ「…というのが、ラグアの魔術だ」

アヅミナ「そうなんだ」

ロニ「それに…魔術だけじゃない…」


さらにロニは明かした。

ラグアの剣術と秘術について。


アヅミナ「…そうなんだ」

ロニ「………」

エオクシ(王攻剣…。

 この技が特にやばそうだな…)

アルジ(放光剣…。

 秘術と魔術を合わせた技…!

 そんな技があるのか!無欠の魔道戦士…。

 そう呼ばれるだけの力はあるみたいだな…!

 負けられないぜ…。絶対勝つ!!)


アヅミナはロニに問いかける。


アヅミナ「ラグアの弱点は?教えてくれる?」

ロニ「………」


問われても、弱点といえる弱点が出てこない。

だから、ロニは仕方なく思い出す。

過去にラグアが彼女に語った体験談を。

彼が人に話されることを嫌がるような体験談を。

少年時代のほろ苦い失恋。

学生時代の仲間たちとの下らない言い争い。

嫌いな食べ物を親に食べさせられたことも。


アヅミナ「そうなんだ」

ロニ「これが…ラグアの弱点だ…」

エオクシ(どれもまるで役に立たねえ!)

エミカ(ここまで…ぺらぺら話すなんて!)

アルジ(ラグア…案外普通の人かもしれない…)


シノ姫が小さなため息をついて言った。


シノ姫「残念です」

アヅミナ「………」

シノ姫「今のところ…大した情報はないですね」

アルジ&エミカ&エオクシ「………」

アヅミナ「次の質問で…引き出します。

 あたしたちにとって有益な情報を…」

シノ姫「お願い」

アヅミナ(用意していた…。この質問を…。

 この人を生け捕りにしたのは…

 このためだといってもいい)


アヅミナは問いかける。


アヅミナ「巨方庭の攻略法は?」

ロニ「………」


ロニの目がキッと開かれた。

短い沈黙ののち彼女は語り出す。


ロニ「巨方庭は…4地点の攻略が必要。

 …北の頂、南の泉、東の祠、西の砦…

 この4地点を攻略しなければ…」

アヅミナ(どれも通った場所か…)

ロニ「6年前…ラグアと私は挑んだ…。

 巨方庭の攻略に…。だが…失敗に終わった。

 大失敗だった…。何かある…。

 あの遺跡には…何か大きな秘密がある…。

 それを解明しない限り…攻略は不可能…。

 あのとき…私たちはそういう結論に至った…」

アヅミナ「それでどうしたの?」

ロニ「私たちは探した…。

 攻略の手掛かりになるものを…。

 そして…私たちは…見つけた…。

 1冊の…古文書を…。

 古い資料館に…ほこりをかぶって眠っていた…」

アヅミナ「その古文書になんて書いてあったの?」

ロニ「古文書には…こう書いてあった…。

 北の頂、南の泉、東の祠、西の砦…

 4地点へ…行け…。

 そして…4地点の…『板』を押せ…」

アヅミナ(あの石板のことか)

ロニ「そうすれば…竜の守護兵が現れる…。

 彼らは…遺跡の番人…。同時に…判定者…。

 古王の祭壇へ行くのに…相応しいか試される。

 先へ進むには…戦わなければならない…。

 倒せば…認められる…。竜の守護兵に…。

 そうやって…4地点の守護兵を…倒す…。

 順番は…どこからでもいい…。

 だが…2体目以降は…光の導きに従え…。

 それで…4体の守護兵…すべてを倒す…。

 それが…巨方庭の…ただ1つの…攻略法…」

アヅミナ「4体を倒したらどうすればいいの?」

ロニ「中心へ行く…。巨方庭の中心だ…。

 円形に配置された巨石…。その中央。

 現れる…。大きな魔籠が…現れる…。

 それに乗れ…。そうすれば…運んでくれる…。

 古代の民が生み出した特別な空間…秘術空間へ。

 その秘術空間の奥に…古王の祭壇がある…」

アヅミナ「秘術空間…?」

ロニ「秘術の力でできた…深遠なる部屋…。

 巨方庭の…地下深くに…それはある…」

アヅミナ「地下深く…」

エオクシ(巨方庭でオレたちがやってきたこと…

 間違いじゃなかったってことか…。だが…)


アヅミナは問いかける。


アヅミナ「巨石の場所に…

 何体も竜の守護兵がいた。

 あれはどういうこと?」

ロニ「………」

アヅミナ「あたしたちは4地点を巡った。

 竜の守護兵を4体倒した。

 それで巨方庭の中心に行った。

 そうしたら守護兵が何体も待ち構えていた。

 あれはどういうこと?」


ロニはニッと笑った。


ロニ「グズグズするな…!」

アヅミナ「………」

エオクシ「…なんだと?」

アルジ&エミカ「………」

ロニ「蘇る…。竜の守護兵は…何度でも蘇る…。

 やつらはいくらでも復活する…。

 襲いかかってくる…。

 巨方庭に蓄えられた莫大な秘力…。

 それがそういう仕掛けを可能にしているのだ。

 しかも…竜の守護兵は…

 どんな技も…どんな魔術も…

 1度受けて…倒されたら…学習する…。

 次に現れる守護兵は…同じ攻撃を食わない…」

アヅミナ「蘇る条件は?」

ロニ「倒してから…およそ1時間。

 1時間経つごとに…1体…蘇る…」

アヅミナ「…そっか」

エミカ「技や魔術を学習して…何度でも蘇る。

 すごく…恐ろしい話」

エオクシ「ああ。だが、解決策は単純だ」

アルジ「1時間以内に新しい技と魔術で…

 4体倒せばいい…ってことか」

アヅミナ「そのとおり」

ロニ「………」

アヅミナ「途中まで攻略していたらどうなるの?

 1度巨方庭を出たら…最初からやり直し?」

ロニ「…そうだ。始めからやり直し…。

 それだけじゃない…。魔籠の定員は8人…。

 1回の転送が完了すれば…光の道筋は消える。

 次に侵入する者は…

 始めから攻略しなければならない…」

アヅミナ「古王の祭壇を壊す方法は?」

ロニ「知らない…」

アヅミナ「………」

ロニ「古王の祭壇は…秘術で守られている。

 魔真体を起動させる…重要な装置だからな…。

 特別な空間の…特別な装置…。

 破壊など…不可能…」

アヅミナ「そうなんだ」


ロニは目を閉じた。


エオクシ「…とにかく行ってみるしかねえな。

 巨方庭をさっさと攻略して、

 古王の祭壇に先回りしようぜ」

エミカ「そこで…

 あとからやってきたラグアと戦うわけか」

エオクシ「そういうことだ」

アルジ「よし、やってやるぜ!」

アヅミナ「…待って。まだ1つ…聞かなきゃ」


アヅミナが問いかける。


アヅミナ「青い光はなんなの?

 守護兵の目から出る光…。

 当たると青い傷が残る光…。

 あれは一体…何?」


ロニは目を開けて答える。


ロニ「臆病者に…

 2度と挑戦させないための仕掛けだ…」

アヅミナ「臆病者…」

ロニ「あの光を受けて…

 巨方庭を出ると…助からない…。

 古文書には…『敗者の傷痕』と記されていた…。

 青い光で傷を負い…

 巨方庭から逃げ出せば…心を失う…。

 抜け殻のようになり…ただ朽ちていく…」

アヅミナ「回復の方法は?」

ロニ「倒すことだ…。竜の守護兵を…倒すこと。

 巨方庭から…出ることなく…守護兵を…倒す。

 光を浴びた者が…光を放った守護兵を…倒す。

 これだけが…ただ1つの…回復の方法…」

アヅミナ「そうなんだ」

ロニ「………」

アヅミナ(あのときの光術三姉妹の再生魔術…

 やっぱり…全部無駄だった…)


エオクシが力強く言う。


エオクシ「情報はそろったな」

アヅミナ「そうだね」

アルジ「次は巨方庭の攻略か」

エミカ「準備しよう」

アヅミナ「そうだね」

シノ姫「………」


シノ姫が前へ歩いていく。

アヅミナの隣に立ち、ロニをじっと見続ける。


アヅミナ「…どうかされましたか?」

シノ姫「…んー…」

アルジ&エミカ&エオクシ&アヅミナ「………」


首を傾げながらシノ姫は言った。


シノ姫「…おかしいと思わなかった?」

アヅミナ「…はい?」


シノ姫はしゃがみこみ、ロニの額をなでる。

ゆっくりと、何度も。

ロニは顔をしかめる。


シノ姫「語尾の1つ1つの響きが…おかしいの」

アヅミナ「どのように…おかしいのでしょうか?」


シノ姫は穏やかな口調で答えた。


シノ姫「あなたの魔術は効いている。

 これは間違いない。

 彼女が精神操作にかかっている。

 そのことははっきり分かる」

アヅミナ「…はい」

シノ姫「問われたことに偽りなく答えている…

 とは思う」

アヅミナ「はい」

シノ姫「だけどね…おかしいの」

アヅミナ「何がですか?」

アルジ&エミカ&エオクシ「………」

シノ姫「偽ってはいないけど…隠している。

 もっと、もっと、核心の部分を…。

 何を考えてるのか、何を思ってるのか、

 彼女の心の活動の…その最も中心的な部分…。

 それを一生懸命に隠しながら…話してる…。

 そんな話し方だったと思うの…」

アヅミナ「そうでしょうか?」

シノ姫「私には分かるの!」

アヅミナ「………」

シノ姫「あなたより長く生きてるんだから。

 面倒な人たちと渡り合ってきたんだから」

アルジ&エミカ&エオクシ「………」

アヅミナ「それでは…どうされますか?

 シノ姫様」


シノ姫はほほえむ。

懐から幻印を取り出す。

さらに、何枚もの札も取り出す。

その札は、秘術道具、例札。

幻印の先端に青い光が灯る。

その光を例札に押し付けていく。

1枚、2枚、3枚と。

全部で14枚の例札に青い光が灯る。

それから、それらを貼っていく。

ロニの頭にベタベタと。


ロニ「………」

シノ姫「私の秘術で…彼女の心の殻を静めます。

 言いたくない、秘密にしたい、そんな心の領域。

 それを隠して守る心の活動。それを…静めます。

 それから…アヅミナ、問いかけてくれる?」

アヅミナ「…何を問うのですか?

 もう彼女から聞き出すことは…」

シノ姫「お黙りなさい」

アヅミナ「………」

シノ姫「これは、総合統合官の命令です」

アヅミナ「………」

シノ姫「たかが魔術院のたかが魔術師が…

 逆らえるものではないのです…」

アヅミナ「…申し訳ございません。

 ロニにすべき質問は…なんでしょうか?」


シノ姫は答えた。


シノ姫「あなたの本心を聞かせて…。

 そう言ってみて…」

アヅミナ「…はい」

アルジ&エミカ&エオクシ「………」


じっと様子を見守るアルジたち。

審理院の調査員たちも静かに見守る。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 33

◇ HP   4234/4234

◇ 攻撃

 52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 魔力  15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、闘主の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、

     壮刃破竜斬撃、雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   2714/2821

◇ 攻撃  11★★★★★★★★★★★

◇ 防御

  31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  53★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火弾、火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術

      天火


◇ エオクシ ◇

◇ レベル 40

◇ HP   4488/4488

◇ 攻撃

  56★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 素早さ

  52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣、天地双竜剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 39

◇ HP   505/509

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

  49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 魔力

  54★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術

  獄火


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 50、活汁 12

◇ 創造の杖

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