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アルジ往戦記  作者: roak
233/300

第233話 熱心

◆ 官舎 ◆

アルジとエミカは見上げた。

まだ新しいその官舎を。


エオクシ「支度をしてくる。ちょっと待ってろ!」

エミカ「ここに住んでるんですか」

アルジ「でかいな」

エミカ「豪華だ」

エオクシ「…そうか?

 見慣れちまってるから分からねえな」

アヅミナ「都の官舎だとここが1番いいかもね」

エオクシ「城からも近いしな」

アヅミナ「だから頻繁に呼び出されるんだけど」

アルジ(大変そうだな)

エオクシ「じゃあな」

アヅミナ「少し待っててね」

アルジ「ああ」

エミカ「はい」


エオクシとアヅミナは玄関へ入っていく。

アルジとエミカは外で待つ。

辺りに人の姿はなく、静まり返っていた。


エミカ「不思議だ」

アルジ「何が?」

エミカ「あのときは思わなかった。

 こんなことになるなんて」

アルジ「あのとき?」

エミカ「ヤマエノモグラモンを倒したときだ。

 村に戻ったら空から4人がやってきて…」

アルジ「ああ…」

エミカ「一緒に旅するなんて思ってなかった」

アルジ「そうだな。不思議だ」

エミカ「こんなに心強い仲間はいない」

アルジ「そうだな」

エミカ「アヅミナさんはやっぱりすごい人」

アルジ「エミカもだ。一緒にいると心強いぜ」

エミカ「………」

アルジ「いつもありがとな」

エミカ「それは私もだ。ありがとう」


アヅミナは早々と支度を終える。

エオクシの部屋の前に行く。

戸を叩き、声をかける。


アヅミナ「まだ?」

エオクシ「今行く!!」


戸が開く。

大きな荷物入れを持ってエオクシは現れた。


エオクシ「へへ…!すまねえな!!

 部屋ん中の金、集めるのに時間食っちまった!」

アヅミナ「そう」


歩き出す。

階段を降りていく。

彼らの部屋は最上階の4階にあった。

角と角。

離れた部屋に2人はそれぞれ住んでいた。

エオクシの後ろをアヅミナが歩く。


アヅミナ「いたね」

エオクシ「…あ?」


階段の途中で立ち止まり、振り返るエオクシ。

アヅミナも立ち止まる。


アヅミナ「戦える人たちが。

 あたしたちと同じくらい…」

エオクシ「まだ分かんねえだろ。

 実際に見てみねえと…」

アヅミナ「覇獣級の古代獣を倒した。3体も。

 そして、あなたの攻撃をあっさり避けた。

 もう十分でしょ?」

エオクシ「あっさりじゃねえだろ!あれは…」

アヅミナ「よかった。本当によかった」

エオクシ「………」

アヅミナ「シノ姫は考えてくれていた。

 あの2人となら巨方庭だって…」

エオクシ「そいつはどうだろな?

 あの遺跡は謎だらけだぜ。

 戦えりゃあいいってもんじゃねえだろ」

アヅミナ「それは分かってる。だけど…」

エオクシ「秘術人形との戦いは楽になるかもな」

アヅミナ「それだけでも大きい。

 前回よりも謎解きに集中できる」

エオクシ「………」


エオクシは問いかける。

さっきのアヅミナの言葉を思い出して。


エオクシ「なあ、エミカって大丈夫なのか?」

アヅミナ「何が?」

エオクシ「さっき言ってただろ。

 魔力がバラバラになるって」

アヅミナ「ああ…」

エオクシ「カルスで墜落すんのはごめんだぜ」

アヅミナ「ふ…」

エオクシ「何笑ってんだ」

アヅミナ「大丈夫。それはない」

エオクシ「本当か?」

アヅミナ「うん。あの子に魔術を授けた人…

 その人たちの意志が…とても強いんだと思う。

 エミカちゃんに…魔術を受け継いでほしい。

 とても強い意志で…

 魔術を引き渡したんだと思う」

エオクシ「…そうか」

アヅミナ「5人の魔力を1人の体で…。

 普通なら2、3日で壊れてもおかしくない。

 だけど、全然そんなふうに見えなかった。

 5人分の魔力が強く、しっかり結びついてる。

 1年なのか、半年なのか。

 それとも、1ヶ月なのか。

 どれだけ保てるのかはあたしも分からない。

 だけど、大丈夫。

 受け継いだ彼女の意志も強いから。

 魔真体を阻止するまではきっと大丈夫」

エオクシ「そうか。ならいいが…」

アヅミナ「でもね…

 さすがに蘇生魔術は受け継げなかったみたい」

エオクシ「蘇生魔術ってあれか…

 オレを生き返らせた…」

アヅミナ「うん。だから、もう死ねないからね」

エオクシ「死ぬかよ!」

アヅミナ「ふふ…その意気」


1階まで降りて、官舎を出る。

正面玄関の前で4人は合流した。


エオクシ「待たせたな」

アヅミナ「お待たせ」


アヅミナは早速カルスを取り出す。

魔力を注ぎ、展開した。


エミカ「………」

アヅミナ(あたしの魔力を感じても動じない。

 魔力の揺らぎもほとんどない。強者の証…)


4人はカルスの上に乗る。

アヅミナの魔力で高く高く上がっていく。

城の明かりは消えていた。

都全体も大分暗くなっていた。


アヅミナ「最初にあたしがカルスを動かすから」

エミカ「はい」

アヅミナ「みんな寝てていいからね。

 アルジ君も、エミカちゃんも、エオクシも」

アルジ「ありがとう。アヅミナさん」

エオクシ「たっぷり寝させてもらうぜ」

エミカ「あの、私は…」

アヅミナ「夜が明ける頃、交替しよう。

 それまであたしが操縦する」

エミカ「分かりました」


カルスの飛行は安定していた。

暗い夜空をまっすぐ進む。

静かに、滑らかに、そして、速く。


エミカ(すごい…。この乗り心地…!

 さっきの操縦士さんたちとほとんど違わない)

アヅミナ「やっと驚いてくれた」

エミカ「え…?」

アヅミナ「眠らなくてもいいの?」

エミカ「はい。

 都へ来るとき、少し眠りましたから。

 今はまだ眠くありません」

アヅミナ「いいよ。普通に話して」

エミカ「普通に…」

アヅミナ「エオクシなんて…

 あたしより8つも年下なのに

 なんにも遠慮とかないんだから」

エミカ「8つ…ですか」

アヅミナ「でも、その方が実戦はうまくいく」

エミカ「………」

アヅミナ「ね…」


アヅミナはエミカに笑いかけた。

アルジとエオクシは横になっていた。


エミカ(アヅミナさんは…

 実は気さくな人なのかも…。

 あと…思ってたより年上なのかも…)

アヅミナ「だから、エミカちゃんも…」

エミカ「…分かった」

アヅミナ「うん」


カルスはぐんぐん進み、都の上空を抜ける。


アヅミナ「歳は?いくつなの?」

エミカ「18。もう少しで…19」

アヅミナ「エオクシと変わらないんだ」

エミカ「そうなのか」

アヅミナ「この春19になったから」

エミカ「そうか」

アヅミナ「アルジ君は?」

エミカ(アルジの誕生日…いつだっけ…?)

アヅミナ「同い年?」

エミカ「19…かな」

アヅミナ「かな…?」

エミカ「………」

アヅミナ「2人はどういう関係なの?」

エミカ「アルジは…

 私の町の隣にある村に住んでいて、

 学校は違うけど、同じ学年で…」

アヅミナ「そうなんだ。幼なじみ?親戚とか?」

エミカ「どっちでもないんだ。

 学校の運動会を一緒にやったことがあって…」

アヅミナ「運動会…?」

エミカ「はい。

 2つの学校で一緒にやることがあって…」

アヅミナ「そうなんだ」


夜空を一瞬見上げてから、アヅミナは言った。


アヅミナ「あたしだけ仲間外れみたい」

エミカ「…え?」

アヅミナ「3人とも同じ学年なわけでしょ。

 あたしだけ離れてて…」

エミカ「離れてる感じはしない」

アヅミナ「そう…?」

エミカ「…うん」

アヅミナ「本当かな」

エミカ「………」

アヅミナ「まあ、いいか」

エミカ「それにアヅミナさんと私は一緒だ。

 同じ魔術師で、平和のために戦ってて…」

アヅミナ「平和のため…ふふふ…」

エミカ「………」


エミカは天界石の杖を強く握って、思う。


エミカ(アヅミナさんの雰囲気はなんだろう。

 どこ悲しげで、寂しげな…

 これも闇の魔術師だから?

 それに、なぜだろう?

 この人のそばがなんとなく心地よい。

 この人を放っておけない気持ちになる…。

 最初に会ったときと全然印象が違ってて…。

 これって…私が光術を受け継いだから…?

 光術使いは闇術使いに引き寄せられる…。

 リネさんが…

 マスタスに引き寄せられたように…?)


前方をじっと見てアヅミナは言う。


アヅミナ「まだ夜は長い。好きに過ごして」

エミカ「ありがとう」

アヅミナ「寝てもいいし、起きててもいい。

 でも、夜明けには交替できるように。お願い」

エミカ「眠くなるまで魔術書を読むよ」

アヅミナ「熱心ね」


エミカは荷物入れからリネの論文を取り出した。

指先から光玉を出して文字を照らす。

天火の習得に向けて彼女は読み始めた。


エミカ「…うん、うん…」

アヅミナ「………」


一方、アルジとエオクシは思う。

横になって目を閉じたまま。


アルジ(エオクシ、オレと同い年だったのか。

 こいつは余計に負けられないぜ)

エオクシ(なんだ…。

 オレより年下かと思って軽く焦ってたが、

 同い年だったとはな…!

 ほぉんのちっとだが、安心したぜ!!

 だが、いや、待て!

 安心してる場合じゃねえな!

 やっぱこいつには負けらんねえ!)


カルスは順調に飛び続けた。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 31

◇ HP   3753/3753

◇ 攻撃

 48★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 防御

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 素早さ

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、闘主の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り、

      雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 27

◇ HP   2415/2415

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ エオクシ ◇

◇ レベル 38

◇ HP   3692/4027

◇ 攻撃

 52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 素早さ

 48★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 36

◇ HP   404/460

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

 42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 魔力

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術


◇ 持ち物 ◇


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 80、活汁 30

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