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アルジ往戦記  作者: roak
232/300

第232話 秘点

シノ姫は懐から1枚の紙を出す。


シノ姫「今日、日が沈む頃、これが届きました」

アルジ「…手紙か?」

シノ姫「はい。合離蝶で送られてきました」


細長く折られたその手紙を広げる。

ひらひらとはためかせて彼女は明かした。

送り主と内容について。


シノ姫「送り主は大陸猟進会。

 内容は古代獣の出現について」


シノ姫は詳しく話していく。


シノ姫「現れた古代獣。

 その名はラッセイムスラ。

 前に1度見つけたけれど、見失っていた。

 どこに隠れているのか分からなかった。

 それが今、突然姿を現した。

 町や村、多くの民を襲ってる。

 壊して殺して回ってる。

 そういうことだそうなのです」

アルジ「そいつを倒しにいけばいいんだな」

シノ姫「注意して…」

アルジ「………」

シノ姫「ラッセイムスラの討伐は

 容易いことではありません」

アルジ&エミカ&エオクシ&アヅミナ「………」

シノ姫「このたび突然大陸に現れた古代獣。

 いずれも破格の強さです。

 それらの中で比べてみても、

 ラッセイムスラは飛び抜けた強さ。

 ほかとはまるで異なると

 手紙に書いてありました。

 政府が育てた大陸猟進会、

 彼らが挑んでも、狩りは失敗したそうです」

アルジ「大陸猟進会でも倒せなかった…。

 大陸首位猟師でも勝てなかったってことか?」

シノ姫「ええ、そのとおり。大陸首位猟師…。

 手紙によれば、彼は再起不能になったそうです。

 ラッセイムスラとの戦いに敗れて…」

アルジ「!!…再起不能だって…!?」

エオクシ「あのおっさんが…」

アルジ「知ってるのか?」

エオクシ「ヤマタンのおっさんだろ。

 大前隊の先輩だ。知ってて当然だろ」

アルジ「そっか」

エオクシ「つってもな、尊敬してるわけじゃねえ」

アルジ「そうなのか?」

エオクシ「って、おめえも…」

アルジ「知ってるぜ。オレたちは一緒に戦った。

 古代獣コノマノヤタラズマと。

 戦いの最後の最後…

 あのとき、ヤマタンさんが来てくれて…」

エオクシ「なぁんだ!それなら…」

シノ姫「あなたたち!」

アルジ&エオクシ「………」


シノ姫は険しい顔で言う。


シノ姫「勝手におしゃべりしないでよ…!

 話してるのは私なんだから…」

アルジ「…ああ、ごめんなさい…」

エオクシ「…すみませんでした」

エミカ&アヅミナ「………」


シノ姫はさらに続けた。


シノ姫「…ラッセイムスラについて調べました。

 古い資料をいろいろ探してね…」


シノ姫の側近の1人が書物を差し出す。

彼女はそれを受け取る。

開いてアルジたちに見せた。

そこにはラッセイムスラの姿が描かれていた。

それは、巨大な竜。

大きな翼で空を飛ぶ竜の姿が描かれていた。


シノ姫「…翼竜。今はもうどこにもいない。

 だけど、いた。大昔には生きていた。

 人がこの地に生まれる前、

 確かにそれは生きていた。

 天空を飛び回り、大地を見下ろし、

 長く君臨し続けた。

 生きとし生けるものの頂点に…」

アルジ「頂点…」

シノ姫「最も凶暴な気性、最も強靭な肉体、

 それらを併せ持った、古代獣の究極形。

 ラッセイムスラは、紛れもない最強の古代獣」

アルジ「最強なのか…!」

シノ姫「ラッセイムスラは…

 『収まらない魔獣』といわれている。

 危獣級、剛獣級、恐獣級、超獣級、覇獣級。

 これらの等級からはみ出し、まさに超越した、

 評価不能の規格外。そういう魔獣だそうです」


エミカが問いかける。


エミカ「その古代獣…ラッセイムスラも…

 ロニが魔術で生んだものなのでしょうか?」

シノ姫「間違いなくロニの仕業でしょう。

 手紙とともに体液の標本も送られてきました。

 それを審理院に送り、組成を調べました。

 すると、簡単に分かりました。

 それがさまざまな獣の体液でできたものだと。

 獣を生み出す獣魔術が…とうとう完成した。

 星の秘宝、創造の杖の力で。

 だから、ロニは生み出せた。

 究極の古代獣、ラッセイムスラを…。

 ホジタに聞いたらそんな話をしてました」

エミカ(ホジタ…。捕まったまま都にいるのか?)

アヅミナ「今…その古代獣はどこにいますか?」

シノ姫「ここから遥か西…」

アヅミナ「西…ですか」

シノ姫「西雲郷と呼ばれる古代遺跡…

 そちらに向かって飛んでいった…。

 手紙には、そのように書いてありました」

アヅミナ「西雲郷は確か…タフカフ山のある…」

シノ姫「そうです。タフカフ山。

 大陸最高峰がそびえる山岳地帯です」

エミカ(大陸最高峰タフカフ山。…遠い。

 ここから縁環島よりも…ずっと遠い…)

シノ姫「大陸猟進会は求めています。

 応援を…なるべく早い応援を求めています。

 明後日までに現地に行ける…?」

アヅミナ「…行けます」

エミカ「明後日までに…」

アヅミナ「2人でカルスを飛ばせば行けます。

 交替で夜通し飛ばし続ければ。…ね?」


アヅミナはエミカの顔を見て問いかける。


エミカ「私は…」

アヅミナ「カルスの操縦は?できる?」

エミカ「一応…できます」

アヅミナ「それなら大丈夫」

エオクシ「頼むぜ」

アルジ「エミカ、本当に大丈夫か?」

エミカ「とにかく…やってみる」


シノ姫は顔を少しゆがめて言う。


シノ姫「もう1つ…お伝えしておきましょう。

 ロニが…ラッセイムスラと一緒にいたそうです」

アルジ「ロニが…!!」

シノ姫「ラッセイムスラに乗り、それを操って、

 多数の町や村で大暴れしているそうです。

 すでに何万もの民を殺しているそうです」

エオクシ「!!なんだと…!?」

シノ姫「周辺地域の大前隊は壊滅したそうです。

 防衛隊も警備隊も壊滅したそうです。

 敵の力は思ったよりも強大だった」

エミカ「そんな…」

シノ姫「ヒジの国、カムテの町。

 山間の小さな町。

 そこに大陸猟進会が隠れているそうです。

 あなたたちはまず彼らに会ってください。

 何か役立つ情報があるかもしれない」

アルジ「…分かった。オレたちに任せてくれ」

エオクシ「よう、おめえ。足引っ張んじゃねえぞ」

アルジ「は…?お前もな」

エオクシ「…なんだと?」

シノ姫「おやめなさい!!」

アルジ&エオクシ「………」

アヅミナ(足を引っ張るな…か。エオクシ…。

 そんなこと…今まで言ったことなかったよね)

エミカ(できるかな…。

 目的地まで…カルスの操縦…。

 でも…今回は1人じゃないし…。

 アヅミナさんがいれば…大丈夫か)


シノ姫は懐から1個の合離蝶を出す。


シノ姫「これに力を込めておきます」

アルジ&エミカ&エオクシ&アヅミナ「………」

シノ姫「ここのところ、力を少し使い過ぎていてね…。

 あまり強い力は込められません。

 ですので…カムテの町に着いてから放って。

 大陸猟進会の潜伏先へ飛んでいくでしょう」


秘術道具の幻印に力を込める。

赤い光がその先端に灯った、そのときだった。


アルジ「うお…!」

シノ姫「あら…?」


勇気の剣が強い光を放つ。

幻印の光と同じ、赤い光を。

シノ姫の秘術に呼応するかのように。


シノ姫(感じてはいた…。

 あの剣に込められた秘力を。

 彼が城の前に降り立ったときから。

 でも…これほどの力が込められていたなんて…。

 これほど強い秘力が込められた道具は…

 初めて見る…!!)


目を見開き、シノ姫は剣が放つ光を見ていた。


エオクシ「なんなんだ?その剣は!?」

アルジ「オレの村の宝、勇気の剣だ」

エオクシ「勇気の剣…?」

アヅミナ「秘術…シノ姫の秘術に反応して…」

アルジ「ああ、どうやら…そうみたいだな!」

エミカ(シノミワさん…この人も秘術を…。

 この人の不思議な感じの正体は…この力?)


シノ姫が合離蝶に力を込め終える。

幻印の光が消え、勇気の剣の光も消えた。


シノ姫「…素晴らしい剣です」

アルジ「シノミワさん、

 この剣…なんだか知ってるか?」

シノ姫「それは、秘術道具ですね…。

 かつて秘術使いがその剣に力を込めた。

 とても…とても強い力を…。

 秘点が…大量の秘点が…

 その剣に打ち込まれています…。

 私には…それが見えます」

アルジ「秘点…」

シノミワ「秘術は点によって力を伝えるのです。

 術の力が強ければ強いほど

 点は長く強く残り続けます」

アルジ「そうなのか」

エオクシ(こいつが急に強くなったのは…

 この剣のおかげか…?

 シノ姫の力と同じ力で…

 強くなったっていうのか?

 こんなやつはいなかった…!

 大前隊にも…どこにも…!!

 ナキ村のアルジ…。変わったやつだな…!)

エミカ「シノミワさん、あなたのさっきの力も…」

シノ姫「秘術です。ですが…」

エミカ「……?」

シノ姫「このことは人に話してはなりません。

 私の秘術のことは…絶対に秘密に…。

 いいですね?」

エミカ「…はい」

アルジ「………」


シノ姫はアルジたちに問いかける。


シノ姫「ところで、旅の資金は十分ですね?

 アルジさんとエミカさん、いいですね?

 さっき渡した懸賞金もありますものね…」

アルジ「さっきもらったので十分だ」

シノ姫「エオクシ、アヅミナ、あなたたちは…

 昨日上げたお金があれば…」

エオクシ&アヅミナ「!」

シノ姫「…どうかしたの?」

エオクシ「いや…なんでもねえ…ありません」

アヅミナ(全部エオクシの負担…だね)

アルジ&エミカ「…?」


最後にシノ姫はほほえみ、声をかけた。


シノ姫「健闘を祈ります。行ってらっしゃい」

エオクシ&アヅミナ「はっ!!」

アルジ「…え?」

エミカ「行ってきます」


アルジはエオクシとアヅミナの真似をする。


アルジ「は…はぁっ!!」

エオクシ「なんだその返事は。

 バシッと1回で決めろ!」

アルジ「くっ…!」


そして、アルジたち4人は城を出る。

向かったのは、エオクシ、アヅミナの住む官舎。

まずは旅の準備をすることになった。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 31

◇ HP   3753/3753

◇ 攻撃

 48★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 防御

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 素早さ

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、闘主の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り、

      雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 27

◇ HP   2415/2415

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ エオクシ ◇

◇ レベル 38

◇ HP   3692/4027

◇ 攻撃

 52★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 素早さ

 48★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 36

◇ HP   404/460

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

 42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 魔力

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 10


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