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アルジ往戦記  作者: roak
23/300

第23話 準備

アルジとエミカは町を歩く。

途中、小さな公園の木陰で休む。


エミカ「…痛むのか?」

アルジ「ああ、少し。でも大丈夫。行こう」


また歩き出し、リネの館へ向かう。

空はすっかり暗くなっていた。



◆ 大魔術師リネの館 ◆

エミカは扉の鐘を鳴らす。

ミリが出てくる。


エミカ「ただいま」

ミリ「おかえり!どうだった?ノソノ屋は?」

エミカ「食事どころじゃなかった」

ミリ「え…って、どうしたの!?」


負傷したアルジの姿がミリの目にとまる。


アルジ「警備隊長と戦った」

ミリ「警備隊長…?どうして…」

エミカ「絡んできたのは向こうなんだ。

 ひとまずリネ先生と話がしたいんだけど」

ミリ「…分かった」


広間に通される。

リネは椅子に座って静かに過ごしていた。


エミカ「リネ先生、ただいま戻りました」

リネ「エミカ…」


エミカは経緯をリネに伝えた。

ノソノ屋で隣の部屋に警備隊が来たこと。

ナンダスが戦いを挑んできたこと。

アルジが彼と戦って負傷したこと。

一気に話してリネに伝えた。


リネ「…そうでしたか。それは大変でしたね」

アルジ「オレは…斬ってしまった…。

 ワノエの警備隊長を…」

リネ「…そんなに心を痛めることはありません。

 自分の身を守るためだったのですから…。

 それに…警備隊長のナンダス…

 彼は町の有力者から好かれる一方で、

 黒い噂が絶えませんでしたから…」

エミカ「あんなの斬られて当然の人間だ」

アルジ「………」

エミカ「アルジが斬らなかったら、

 私が火球で焼いてただろう」


リネはアルジに向かって杖を振る。

まばゆい光がアルジを包む。

治療魔術で胸の傷を癒した。

◇ アルジはHPが全回復した。(HP90→347)


アルジ「ありがとう」

リネ「いいえ、いいのです」

エミカ「…食事がまだだったな。

 ノソノ屋に戻ろうか」

リネ「その必要はありません。

 お店の人が運んできてくれました」

エミカ「え…?」

リネ「ノソノ屋から持ってきてくれたのです」

エミカ「そうなんですか」

リネ「それに、私たちの分も」

エミカ「私たちの分って…」

リネ「食べずに帰ったお客がいたそうです。

 代金だけ払って、食べなくていいと…。

 それで、極み膳がたくさん余ったとか…」

アルジ「あいつらの分か!」

リネ「あいつら…?」

エミカ「警備隊の人たちです。

 大勢でやってきて極み膳を注文したので…」

リネ「そうだったんですね」

アルジ「あいつら金だけ払って帰ったのか」

リネ「さあ、一緒に食べましょう。

 ミリも来なさい」

ミリ「私も!?…いいんですか?」

リネ「もちろんです。4人分ありますから」

ミリ「ありがとうございます!」

エミカ「よかったな」

ミリ「やった!」


アルジたちは食事を始める。

エミカの特上膳も極み膳になっていた。

豪華な料理の数々を4人で囲む。


ミリ「この木の実、苦手だな。

 エミカ食べてよ」

エミカ「しょうがないな」

リネ「おいしいのに」

ミリ「こういうのどうしてもだめなんです。

 でも、ほかの料理はどれも最高です」

エミカ「よかったな」

リネ「アルジさんは…」

アルジ「?…ああ」

リネ「何か苦手な食べ物はありますか?」

アルジ「オレは…基本的にないんだけど、

 ドブノフ煮込みがちょっと…な」

リネ「ドブノフ煮込み。

 それはナキ村の伝統料理では?」

エミカ「自分の村の料理が苦手とは…」

アルジ「だめなものはだめなんだよ」

ミリ「だめなものはだめだよね。はは…」


アルジは最初、食事が進まなかった。

連戦による心の疲れから。

だが、食べるほど食欲は増していく。

いくつもの器に盛られた海の幸と山の幸。

その豪華な一品一品が彼に元気をくれた。


アルジ(いろんな料理があって目が回る…。

 でも、これはこれで楽しいかもな)


食事を終えてリネは言う。


リネ「エミカ、私は決めました」

エミカ「?…何をですか?」

リネ「家業はしばらく休止して、旅に出ます」

エミカ「!」

リネ「一緒に倒しましょう。マスタスを…」

アルジ「!!」

リネ「私も、いえ、私たちも旅に同行します」

エミカ「私たちって…」

ミリ「私も行くよ」

エミカ「ミリも?」

ミリ「うん」

リネ「約1年半…ミリもよく学んでくれました。

 きっと大きな戦力になってくれるでしょう。

 ねえ、ミリ」

ミリ「はい!」

リネ「いいですか?アルジさん」

アルジ「もちろんいいぜ。リネ先生」

リネ「先生はやめてください」

アルジ「………」

エミカ「…?」

リネ「先生だなんてもう呼ばなくていいのです。

 今日から私は1人の魔術師。

 あなた方と対等です。名前で呼んでください」

アルジ「いいのか?」

リネ「ええ。私がそうしてほしいのです。

 同じ旅の仲間。そうでありたいと思うのです」

アルジ「分かった。よろしくな。リネ!」

ミリ「いきなりその呼び方はないんじゃない?」

アルジ「そうか…?」

エミカ「リネさんでいいですか?」

リネ「それで結構です。リネでもリネさんでも。

 とにかく先生はやめてほしい。いい?」

エミカ「はい」

ミリ「慣れないな…」


◇ ミリが仲間になった。

◇ リネが仲間になった。

リネは立ち上がる。


リネ「それで、みなさんへ贈り物があります。

 ささやかですが、渡したいものが…」

エミカ「なんですか?」

リネ「さあ、こちらへ」

アルジ&エミカ&ミリ「………」


アルジ、エミカ、ミリも立ち上がる。


リネ「旅の準備です」


リネはアルジとエミカの姿を見て言う。


リネ「そのような装備ではこの先心配です。

 地下の宝庫へ来てください。案内します」

アルジ「宝庫…!」

エミカ(初めて行く…!)


リネは歩き出し、3人を連れていく。

暗い階段を下りると、現れたのは黒い扉。

扉には大きな円形のくぼみ。

それにリネはそっと手を当てる。

すると、くぼみから青い光が放たれる。

ガチンと音を立てて扉は開かれた。


アルジ「おお…!」

リネ「私の魔力に反応します。

 魔錠と呼ばれる仕掛けです」


宝庫の中は真っ暗。

リネは指先に小さな光の玉を生み出す。

白い光が放たれて、辺りを照らす。

リネが得意とする光の魔術、光玉だった。


アルジ&エミカ&ミリ「!」


宝庫の中がよく見える。

いくつもの箱が並んで置かれていた。

箱の大きさはさまざま。

大きなものもあれば小さなものもある。


リネ「ええと…これと…これと…これ!」


リネは3つの箱を両手で抱える。

光の玉は指先から離れ、頭上で浮遊している。


アルジ「オレが持つぜ」

リネ「ありがとう」


広間に戻る。

リネは3つの箱を開ける。

それらには武器と防具が納められていた。


リネ「さあ、どうぞ」

エミカ「!!…いいんですか?

 こんなに…素晴らしいものを」

ミリ「私もこんな素敵なものを…」

リネ「いいのです。それらはもともと贈り物。

 ひいきにしてくれている方々から私への。

 使う機会もなく、ただ眠らせていました。

 あなたたちに役立ててほしい」


◇ 魔樹の杖を手に入れた。

◇ 魔石の杖を手に入れた。

◇ 深紅の魔道衣を手に入れた。

◇ 紺碧の魔道衣を手に入れた。

アルジにも箱の中身が渡される。

それは、精巧に作られた高価な鎧。

厚い生地に硬い金属板がついている。

板はいくつも並んでいて、まるで鱗のよう。


アルジ「これは…!」

リネ「隣国の高官が私にくれたものです。

 『銀獣の鎧』といいます」

アルジ「銀獣…そんな獣がいるのか」

リネ「銀獣は絵巻物に出てくる架空の獣。

 その鱗に鎧の形状をなぞられたのでしょう」

アルジ「そうなのか」

リネ「腕利きの職人の手によるものです。

 あまり重くないので、素早く動けるでしょう。

 それでいて耐久性が高く、優れた防具です。

 私は使うことがありませんから差し上げます」

アルジ「ありがたく使わせてもらうぜ」


◇ 銀獣の鎧を手に入れた。


リネが明日の予定について告げる。


リネ「さぁ、出発は明日の早朝です。

 目的地は北土の魔術研究所…」

アルジ「研究所に…行くのか」

リネ「はい」

エミカ「…行きましょう」

リネ「ええ」

ミリ「研究所にマスタスはいるんですか?」

リネ「いないと思う」

ミリ「………」

リネ「彼がどこにいるか。それは分からない。

 研究所には手がかりを得るために行くのです。

 さぁ、今日はもう眠りましょう」


アルジたちはそれぞれの部屋へ。

早々と寝支度を済ませ、たっぷり眠った。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   347/347

◇ 攻撃  12★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 12★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  2★★

◇ 装備  勇気の剣、銀獣の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 6

◇ HP   192/192

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 7★★★★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲


◇ ミリ ◇

◇ レベル 5

◇ HP   144/144

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 6★★★★★★

◇ 魔力  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱


◇ リネ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   678/678

◇ 攻撃   6★★★★★★

◇ 防御  16★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 25、魔力回復薬 16

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