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アルジ往戦記  作者: roak
222/300

第222話 設定

エミカは伝えた。

ガシマとオンダクに頼みたいことを。


ガシマ&オンダク「………」


短い沈黙のあと、彼らは笑う。


ガシマ「そうか」

オンダク「やってみるか」

アルジ「エミカ…。そうだったのか」

エミカ「アルジと私だけだけじゃ難しい。

 簡単に手が届かない場所にそれはある。

 でも、あなたたちの力があれば…。

 大前隊の2人の力があれば…」

ガシマ「届くだろう」

オンダク「時間はどうだ?」

ガシマ「ここからなら大した距離じゃない。

 夕刻までに着くだろう。エミカの魔力なら」

エミカ「カルスの操縦は精一杯やります」

アルジ「あのときのあの話は…

 そういうことだったのか」

エミカ「…うん」

ガシマ「あの話?」

アルジ「ああ」

エミカ「アルジには少し話していたんです」

ガシマ「そうなのか」



◆◆ 5日前 ◆◆

◆ ナクサ ◆

マスタスと戦った日の翌朝。

エミカは1人で宿を出る。

隣で眠り続けるアルジを起こさずに。

宿の前で荷物入れを探る。

ラアムとナアムが入った荷物入れの中を。

そして、1通の手紙を取り出す。

前日、テノハを出るときに見つけたその手紙を。


「エミカへ」


見間違いではない。

はっきりとそう書かれている。


エミカ(リネさんは…私に何を…?)


彼女は探した。

落ち着いて手紙が読める場所を。

町の中を歩き、近くに公園があることを知る。

遊歩道を歩き、散歩する人々とすれ違う。

池の近くに置かれた長椅子を見つける。

それに1人で座る。

そっと手紙を開ける。

それにはこう書いてあった。


リネの手紙「エミカへ。

 あなたの旅がうまく行くことを願い、

 この手紙を送ります。

 あなたが私の光術を無事に受け継いだなら、

 やってほしいことがあります」

エミカ(やってほしいこと…?)


続きを読む。


リネの手紙「あなたには何度か話してるし、

 もう知ってると思うけど、

 私は複合魔術の研究をしていました。

 岩弾を光玉で包んだり、岩壁を雷光で覆ったり、

 2つの魔術を1つに合わせる。

 その方法について研究していました。

 最初はほとんど誰も評価してくれませんでした。

 鼻で笑われることも少なくありませんでした。

 そんな私の研究が評価され始めたのは、

 私が研究所を去る少し前のことでした」

エミカ「………」


エミカはさらに手紙を読み進める。


リネの手紙「私が書いた論文で、

 読んでほしいものがある。

 書いたのは私がまだ未熟だった頃。

 複合魔術について仮説を立てた論文です。

 あまりに大胆で突飛な仮説です。

 周りからの評価は散々なものでした。

 根拠のない妄想。

 正しい論文の体裁をなしていない。

 そんなことも言われた。

 当時の私は悔しくて泣いた。

 それでも、その論文はあなたに役立つはず。

 そう信じて、この手紙を書きました」

エミカ(私に読んでほしい論文…

 複合魔術のことを私に?)


次の文から具体的な指示が書かれていた。

リネから、エミカに。

こうしてほしいと具体的に書かれていた。


リネの手紙「北土の魔術研究所。

 2階、第3書庫。右から8番目の棚。

 上から3段目。そこにその論文がある。

 多くの論文が冊子になってまとめられている。

 私の論文が収められているのは第17巻。

 それを読んでほしい。役に立つと思うから。

 あなたが無事に光術を受け継いだなら…」

エミカ(リネさん…そんなこと言われても…)


エミカは困惑する。

その困惑もリネにはお見通し。


リネの手紙「…分かります。

 あなたを困らせていることは。

 研究所には厳重な警備が敷かれています。

 特に情報管理の厳しさは徹底しています。

 部外者の目に触れないようにしています。

 馬鹿げた主張と見なされた論文でさえも。

 どうしてそこまでして情報を守るのか。

 今は無価値でもいつか役立つかもしれない。

 奪われて、何かに利用されては困る。

 研究所の人たちはそう考えているからです」

エミカ「………」

リネの手紙「書庫の扉は魔錠がかけられています。

 書庫の管理を任された3人の特別な魔術師たち。

 その3人のうちのいずれかの魔波でなければ、

 解錠できない仕組みになっています。

 管理の方法が今も昔も変わっていなければ。

 なので、力任せに突破することは不可能。

 でも、大丈夫」

エミカ「大丈夫…?」

リネの手紙「あなたならきっと見つけられる。

 論文にたどり着くための方法を。

 だから、大丈夫。大切な教え子エミカへ。

 リネより」


手紙はそれで終わっていた。


エミカ「そんな…!」


手紙を折りたたんで、しばらく池を眺める。


エミカ「どうしたらいいのか…。

 そんなの分かりません」



◆◆ 3日前 ◆◆

◆ ナクサ ◆

コノマノヤタラズマを倒したあとのこと。

大陸猟進会と別れたアルジとエミカ。

レンカマク料理の店で食事をしたとき。

真剣な顔でエミカは話す。


エミカ「アルジに話しておきたいことがある」

アルジ「なんだ?」

エミカ「リネさんがくれたものについて」

アルジ「ああ、杖と服のことか?」

エミカ「それだけじゃない。

 実はもう1つ…

 リネさんがくれたものがある。

 でも、それは手の届かない場所にあって」

アルジ「手の届かない場所?なんだ?

 どういうことだ?」

エミカ「どうしたらいいか分からない」

アルジ「力になるぜ」

エミカ「嬉しい。

 でも、今すぐ解決しなくていい」

アルジ「いいのか?」

エミカ「私の話を聞いてくれたらそれでいい。

 ああしたらいいとか、こうしたらいいとか、

 別に今すぐ答えがほしいわけじゃないから。

 アルジには知っておいてほしいと思うから。

 話しておきたい」

アルジ「ああ。一体なんだ?」

エミカ「手紙があったんだ」

アルジ「手紙…」

エミカ「リネさんの手紙が入ってたんだ」

アルジ「どこに?」

エミカ「袋の中。ラアムとナアムと一緒に」

アルジ「どんな手紙なんだ?」

エミカ「私に宛てられた手紙だ」

アルジ「どんなことが書いてあった?」

エミカ「それが…」


そのとき。

大きな音を立てて卓上に料理の皿が置かれる。


アルジ「うお…!!」

エミカ「…え!?」


皿の上にはゆでた巨大な甲殻類。

真っ赤な殻にぎっしりと白い身が詰まっている。

店員はニンマリと笑う。


店員「とっておきを持ってきました」

アルジ「なんだ?これは」

店員「レンカマクオオアカエビ」

アルジ「エビ…」

店員「凍らせて現地から運んできたものです。

 間違いなく一級品。特別な料理です」

アルジ「いいのか?オレたちが食っても…」

店員「注文したのはあなた方。

 さあ、どうぞ召し上がれ!」

アルジ「うおー!」

エミカ「………」


殻をむいていくアルジ。


エミカ「アルジ」

アルジ「…ああ、ごめん。手紙の話だったな…。

 とりあえず食べないか?これ。熱いうちに」

エミカ「…そうだな」



◆◆ 現在 ◆◆

ガシマはアルジを小突く。


ガシマ「エミカの話を聞いてやれよ」

アルジ「…しょうがないだろ。

 腹が減ってたんだから」


オンダクが大きな声で言う。


オンダク「本当にやるんなら、すぐに行くぞ」

アルジ&ガシマ「………」

オンダク「やるんだろ?エミカ」

エミカ「…やる!」


カルスに乗るアルジたち4人。

浮上するなり打ち合わせを始めた。


ガシマ「いいか。

 本当の目的は決して明かさない。

 大前隊が研究所に極秘調査を行う。

 そういう設定で行くぞ」

オンダク「オレとガシマはそれでいいだろう。

 アルジとエミカはどうする?」

ガシマ「大前隊員ってことにしておけ」

アルジ「…いいのか!?」

ガシマ「北土の魔術研究所のホジタ。

 あいつははとんでもねえ悪事に加担した。

 古代獣が暴れて平和が大いに乱れてる。

 非常事態だ。やむを得ねえだろう」

オンダク「アルジはともかく…

 エミカは見た目がまずい。

 大前隊の戦士には見えねえな」

エミカ「………」

ガシマ「それなら…」

オンダク「…エミカは魔術院の術師。

 同時に審理院の調査員でもある。

 …という設定はどうだ?」

ガシマ「…だから、書庫に用がある。

 重要な文書を押収する必要がある。

 ホジタの重大犯罪に関わる重要文書を…。

 …これでどうだ?」

オンダク「いいだろう」

アルジ(勝手に話が進んでるが…

 いいのか?これで!)

エミカ(真剣に考えてくれてる…。

 頼んでよかった。

 この2人なら…なんとかしてくれる…

 そんな気がする…!)


やがてオノレノの町が見えてくる。

北土の魔術研究所がある、その町が。

日は西に傾き始めている。


アルジ「あれだ!あの建物だ!!」


広い庭の芝生の上にカルスは着陸する。


ガシマ「行くぞ!!」


走り出す4人。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 31

◇ HP   3753/3753

◇ 攻撃

 48★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 防御

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り、

      雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 27

◇ HP   2415/2415

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ ガシマ ◇

◇ レベル  35

◇ HP   2367/2367

◇ 攻撃

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力  11★★★★★★★★★★★

◇ 装備  練磨の大斧、金剛武道着

◇ 技   激旋回斬、大火炎車

◇ 魔術  火弾、火砲


◇ オンダク ◇

◇ レベル 36

◇ HP   3083/3083

◇ 攻撃

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 防御

  41★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★

◇ 素早さ

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  10★★★★★★★★★★

◇ 装備  竜牙の長槍、超重装甲

◇ 技   竜牙貫通撃、岩撃槍

◇ 魔術  岩弾、岩壁


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 10

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