表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルジ往戦記  作者: roak
217/300

第217話 海原

エミカはガシマに言った。


エミカ「ガシマさんは…降りてほしい」

アルジ&オンダク「………」


エミカの要求。

動揺を隠せないガシマ。


ガシマ「…どういうことだ?」

エミカ「そのシミです」

ガシマ「………」


ガシマの武道着についた黒いシミ。

それを指差してエミカは言う。


エミカ「多分それに秘術の力が」

ガシマ「…何?」

エミカ「それのせいでばれてるんだと思う。

 手に取るように…

 私たちの動きがばれてるんだと思う。

 ガムヤラトラゾウに」

アルジ「なんだって…?」

ガシマ&オンダク「………」



◆◆ 昨夜 ◆◆

◆ ナミナカ荘 風呂 ◆

湯に浸かりながらエミカとホウノが話をする。

お守りに込められた力について。


エミカ「お守りありがとう。大事にする」

ホウノ「はい。少しでもお役に立てたら…」

エミカ「赤と…黒の…糸の力か」

ホウノ「赤は動かす力。黒は繋げる力です」

エミカ「動かすっていうのは…」

ホウノ「人を元気にすることができます。

 いろいろな動き、働きを活発にできるんです」

エミカ「…そうなんだ。繋げる力は?」

ホウノ「はい。心が、体が繋がるのです」

エミカ「心が…体が…繋がる…」


イイナヨが寄ってくる。


イイナヨ「黒の力で繋がると、

 同じ心、同じ体を持てるのです」

エミカ「同じ心…同じ体…?」

イイナヨ「はい。たとえ遠く離れていても、

 何を見ているのか、何を聞いているのか、

 そして、今どこにいるのか、

 手に取るように分かるようになる。

 そのように言われています」

エミカ「…すごい。そんな力が…」

ホウノ「ですが、私たちはまだまだ未熟です。

 もっとお稽古しないとそうはなりません。

 秘術の道は長き道。

 終わりのない道なんです」

エミカ「秘術の道…。そっか…」

イイナヨ「お守りにも黒の力が働いています。

 ですが、とても弱い力です。

 励ましの気持ちがどうにか届くほどの…。

 ですので…あなた方のお話が聞こえてくる…

 筒抜けになる…そんなことはありません。

 ですので、安心して身につけてくださいね」

エミカ「安心したよ」

イイナヨ「ふふ…」

ホウノ「ああ…でも、一体いつになったら

 黒術を使いこなせるようになるんだろう?」

イイナヨ「強い術が使えるようになっても、

 絶対に悪用してはいけませんからね」

ホウノ「それは…分かってますよ!」



◆◆ 現在 ◆◆

◆ 縁環島 ◆

エミカはガシマに伝えた。

ホウノとイイナヨから聞いた話を。


ガシマ「黒の力…繋げる力…か」

エミカ「そうだ」


ガシマはラアムから降りた。

斧を高く持ち上げて言う。


ガシマ「ただ降りるだけじゃつまらねえ」

エミカ「………」

アルジ「…どうする?」

ガシマ「挟み撃ちだ」

エミカ「ガシマさんが…反対側から…」

ガシマ「そういうことだ」


オンダクもラアムから降りる。


エミカ「オンダクさん」

オンダク「オレもガシマとともに行く。

 お前たちの方へ誘い出してみせよう」

ガシマ「好機を逃すなよ!」

エミカ「分かった」

アルジ「よし、やるぜ」


アルジたちは二手に分かれる。

ガシマとオンダクが右回りに進む。

アルジとエミカは左回りに進む。

ガシマとオンダクは魔力を高めて走る。


アルジ「どうだ?」

エミカ「来てる…。古代獣はこっちに来てる」

アルジ「予想は当たりか。作戦成功だな」

エミカ「あとは倒せたら完璧だ」

アルジ「オレたちも降りないか」

エミカ「そうしよう」


ラアムから降りて歩き出す。

林の中を静かに歩く。


エミカ「もうかなり近い」

アルジ「うまく追い立ててくれてるな」


アルジとエミカは草むらの中、腰を落とす。

息を潜め、ガムヤラトラゾウが来るのを待つ。

ガサッと遠くの茂みで音がする。

アルジが立ち上がる。


アルジ「なんだ、ウサギか!」

エミカ「しっ…!」

アルジ「……!」


エミカが先に見つける。

傷だらけのガムヤラトラゾウの姿を。

指差して、その居場所をアルジに教える。

小さな声でエミカは伝えた。


エミカ「…アルジ…」

アルジ「おう」

エミカ「…カルスで帰ることを考えると…」

アルジ「ああ」

エミカ「…使える魔術は限られる…」

アルジ「おう」

エミカ「雷砲を使う」

アルジ「雷術か…」

エミカ「1発撃つのが…精一杯だと思う…

 あいつの動きが止まったら…」

アルジ「分かった。任せろ…!」


エミカが立ち上がる。

ガムヤラトラゾウが気づく。

驚異的な速さで放たれる雷砲。

大きな音を立てて命中。


ガムヤラトラゾウ「シャァアアアア…!!」


◇ ガムヤラトラゾウに1015のダメージ。

そして、アルジが走り出す。


アルジ(これで決める!!

 今度は最後まで!容赦しない!)


大きく剣を振り下ろし、斬りつけようとする。

その瞬間だった。


アルジ「ぐああああああ!!!!!」

エミカ「アルジッ!!!!」


離れた場所にいたガシマとオンダク。

アルジの叫び声を聞く。


オンダク「あいつ…!」

ガシマ「やらかしたか!!」


ガムヤラトラゾウを痺れさせたのは一瞬。

アルジの攻撃は間に合わなかった。

◇ アルジに2254のダメージ。(HP3603→1349)

ガムヤラトラゾウの口から吐き出された黒い液体。

アルジはそれを大量に浴びた。

その熱さに倒れ込み、転がって苦しむ。


エミカ「アルジ!!!」


エミカが手をかざす。

光が出る。

アルジの傷を癒していく。


エミカ(ダメだ…!魔力が足りない!光が弱い!

 これじゃ再生魔術にならない…!)


治療魔術で回復させる。

◇ アルジはHPが914回復した。(HP1349→2263)


アルジ「うう…ごめんな…エミカ…!」

エミカ「違う!アルジは悪くない!

 雷術の威力が足りなかったんだ!」


その間にガムヤラトラゾウは逃げていく。

ガシマとオンダクが走ってきて合流する。


ガシマ「おい!!獲物は!?」

エミカ「………」


立ち上がり、魔波を感知。

深刻な顔で彼女は言う。


エミカ「海の方に逃げた…!」

オンダク「何!!?」


アルジたちは走って追いかける。

だが、ガムヤラトラゾウは見つからない。

生い茂る木々の間を駆け抜けて砂浜へ。

砂の上には黒い液体が垂れたあと。

波打ち際まで伸びていた。


ガシマ「チィッ!もう行っちまったのか」

オンダク「町を狙われたらまずいな…」

ガシマ「ああ…まずいなんてもんじゃねえ…!」


エミカは魔力回復薬を5錠飲む。

それから、カルスを取り出した。

砂浜の上で展開させる。


エミカ「乗って!!」


アルジたちは跳び乗る。

カルスは浮上する。

海原の上を低く飛ぶ。


エミカ(速度が上がらない…!)


ふらふらと揺れながらカルスは海の上を飛ぶ。


ガシマ「やつは今どこにいる?」

エミカ「向かってる!町に向かってる!!」

ガシマ「!!そうか…!」

オンダク「追いつけそうか?」

エミカ「できるだけのことはする…!」


そのとき。

ガシマが見つける。

海面に浮かんで泳ぐガムヤラトラゾウを。

3枚の背ビレを海面から出している。

体をくねらせ泳いでいる。


ガシマ「いたぜ!」

オンダク「あれか!!」


エミカもその姿を確認する。

だが、なかなか追いつけない。

遠くに見えていた町が徐々に近くなる。


エミカ「…くっ…!」


エミカの目に涙が浮かぶ。

歯を食いしばり、魔力をカルスに注ぐ。

不安定に揺れながらも少しずつ加速する。


ガシマ「よし、このまま追い越せ!

 砂浜へ先に行くぞ!

 警備隊とともに迎え撃つ!」

オンダク「その調子だ!もう少しだ!頑張れ!」

エミカ「………」


エミカは懸命に操縦した。

ほとんど尽きかけている魔力で。

そのときだった。


ガシマ「…おい、お前!何してる?」


ガシマはアルジに問いかけた。

アルジはカルスの端に立っている。

海面を見下ろしている。


アルジ「とどめを刺しにいく」

ガシマ「何言ってやがる!!」

アルジ「砂浜に先回りしてどうするんだ?

 そこにやつが来るとは限らないだろ!」

ガシマ「!…なんだと…!!?」

アルジ「島に引き返すかもしれない!

 オレたちを避けて

 別な場所から上陸するかもしれない!」

ガシマ「アルジ…!てめえ…!よく言うぜ!

 しくじっといて…!!」

アルジ「しくじったからオレが行く…!

 オレがあいつにとどめを刺してくる!」


エミカを見てアルジは言う。


アルジ「カルスをあいつに近づけてくれ。

 オレが跳び移れるように…!」

エミカ「…え!?」

オンダク「貴様!!何を言ってる!!」

ガシマ「ふざけんじゃねえ!!!」


アルジは力強く答えた。


アルジ「やる。必ずやる。オレを信じろ!!」

エミカ「…アルジ!」

ガシマ&オンダク「!!」


勇気の剣が強い光を放つ。

その光にガシマもオンダクも目を細めた。


ガシマ&オンダク「!!!?」


アルジは再び海を見下ろす。

ガムヤラトラゾウはすぐ近くにいた。


アルジ「とどめを刺したら、すぐに戻る。

 オレが跳び移れるように

 あいつの近くで飛ばしていてくれ」

エミカ「…本当にやるのか!」

ガシマ(本気なのか…!?)

オンダク(いかれたやつだ…!)


そして、アルジはカルスから跳んだ。

晴れた空の下、荒れた海の上。

縁環島の古代獣討伐は最終局面を迎える。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   2263/3603

◇ 攻撃

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 防御

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 魔力  13★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り、

      雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   2234/2234

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ ガシマ ◇

◇ レベル  33

◇ HP   2178/2178

◇ 攻撃

 36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 素早さ

 30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力  10★★★★★★★★★★

◇ 装備  練磨の大斧、金剛武道着

◇ 技   激旋回斬、大火炎車

◇ 魔術  火弾、火砲


◇ オンダク ◇

◇ レベル 35

◇ HP   2841/2841

◇ 攻撃

  28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 防御

  39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  9★★★★★★★★★

◇ 装備  竜牙の長槍、超重装甲

◇ 技   竜牙貫通撃、岩撃槍

◇ 魔術  岩弾、岩壁


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ ガムヤラトラゾウ ◇

◇ レベル 42

◇ HP   122553

◇ 攻撃

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 37★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 魔力

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 秘力

  36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔術  火牙、火爪、火毛、王火

      氷牙、氷爪、氷鱗、王氷

◇ 秘術  赤裂

      青眠

      黒液


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ