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アルジ往戦記  作者: roak
216/300

第216話 同時

杖から王氷が放たれる。

すべての冷気を穴の中へ注いだ。


エミカ「行けっ!!!」


ゴオッと大きな音が鳴る。

そして、辺りに静寂が訪れる。


アルジ「…やったか?」

エミカ「どうかな…」

ガシマ&オンダク「………」


穴を見つめるアルジたち4人。

エミカが深刻な顔で言う。


エミカ「上がってきてる…!下から!!」

アルジ&ガシマ&オンダク「!!」

エミカ「強い魔波だ!

 オオトノラコアよりも強い!!」

アルジ「なんだって!!?」


ドバッと大きな音がして、穴から飛び出す。

大量の黒い液体、そして、大きな黒い塊が。

警戒し、身構えるアルジたち。

黒い塊はふわりと宙を舞って地面に降り立つ。

ドッシリと、4本の足で。

古代獣ガムヤラトラゾウが現れた。


ガムヤラトラゾウ「ラァー…シャシャアア…」


ギョロリと大きな目玉を動かす。

アルジたちを見る。

眠りから起こされて怒っている様子。

大きく口を開けて長く白い牙を出す。

ビッシリと歯茎を埋め尽くしている。

斧を構えながらガシマは笑う。


ガシマ「こんな化け物…見たことがねえなぁ!」


柔らかく、平らな形をした胴体。

前脚と後ろ脚には大きなヒレ。

ヌメヌメした真っ黒な体。

赤と青の筋が走っている。

背中には大きな3枚のヒレ。

首筋から後ろ脚まで縦に平行に並んでいる。

体長は、オンダクおよそ3人分。


オンダク「…これなら魚に見えなくもないか」

ガシマ「海を泳いでいたら…な」


ガシマの斧がメラメラと炎に包まれる。

オンダクの槍がガチガチに岩で覆われる。

アルジも剣に雷光を走らせた。


アルジ「秘術だろうが魔術だろうが関係ない。

 やってやる…!」


エミカが警告する。


エミカ「待って!」

ガシマ&オンダク「………」

アルジ「…どうした?」

エミカ「あいつは魔術を使ってくる。

 しかも、強力な…。注意してくれ。

 うかつに近寄ればやられる!」

ガシマ「エミカ、その助言はないぜ。

 オレたちは大前隊の…」


ガムヤラトラゾウが王火を撃ってきた。


アルジ&ガシマ&オンダク「!!!」


エミカが素早く反応し、王氷を撃つ。

アルジたちの目の前で王火は打ち消された。


ガムヤラトラゾウ「シャシャァアア…!!」


耳障りな鳴き声を響かせる。

エミカはガムヤラトラゾウの魔力を感じ取る。


エミカ(火術と氷術、両方の魔術を…

 どちらも高い威力で使いこなす…!

 こんな魔獣がいるなんて!)


ガムヤラトラゾウは王氷を撃ってきた。

エミカは王火で打ち消す。


アルジ「やるなぁ!」

エミカ「まだだっ!!」


ガムヤラトラゾウは立て続けに放つ。

王火を、王氷を。

エミカはそのすべてに反応。

打ち消していく。

3発の王火を3発の王氷で。

4発の王氷を4発の王火で。


ガムヤラトラゾウ「シャシャシャア…!!」

エミカ(古代獣…やっぱり規格外!!

 …でも!!)


エミカは前に力強く踏み出す。


エミカ(戦える!!

 リネ先生!力をください!)


杖を高く振り上げる。

大量の魔波を空へ解き放つ。

ガムヤラトラゾウは即座に見上げる。

その魔波の行き先を。

エミカの次の攻撃に備えるため。

素早く対処できるよう神経を研ぎ澄ます。

だが、速かったのはエミカの魔術。

落とされる。

雷術の上級魔術、雷柱が。

空中で閃光が走り、バシンと大きな音が鳴る。


ガムヤラトラゾウ「シャッ…!!!!!」


◇ ガムヤラトラゾウに3101のダメージ。

その魔術に王雷のような威力はない。

だが、十分だった。

ガムヤラトラゾウの動きを止めるには。


エミカ「雷術だ!あいつの弱点は雷術だ!!」


言い終えると、強いめまいに襲われる。

思わずその場にへたり込むエミカ。

急速に大量に魔力を使った反動だった。


ガシマ「エミカ!よくやった!!」

オンダク「あとは任せろ!!」

アルジ「うおおおお!!行くぜ!!!!」


駆け出すアルジ、ガシマ、オンダク。

それぞれがそれぞれの魔術技を見舞う。

雷獣で動けなくなったガムヤラトラゾウに。


アルジ「はあっ!!」


雷刃剣で斬る。

◇ ガムヤラトラゾウに10943のダメージ。


ガシマ「おらっ!!」


大火炎車で裂く。

◇ ガムヤラトラゾウに9577のダメージ。


オンダク「せいっ!!!」


岩撃槍で刺す。

◇ ガムヤラトラゾウに8903のダメージ。

さらにアルジが攻める。


アルジ「行くぜ!!」


光り出す勇気の剣。

鮮やかな赤い光が剣全体から出る。


ガシマ&オンダク「…!!!」


剣を高く振り上げて襲いかかる。


アルジ「剛刃波状斬撃!!!!」


斬っていく。

縦に、横に、斜めに。

さらに、縦に、横に、斜めに。

1回目。

◇ ガムヤラトラゾウに12076のダメージ。

2回目。

◇ ガムヤラトラゾウに11878のダメージ。

3回目。

◇ ガムヤラトラゾウに11474のダメージ。

4回目。

◇ ガムヤラトラゾウに11902のダメージ。

5回目。

◇ ガムヤラトラゾウに11066のダメージ。

そして、6回目。

◇ ガムヤラトラゾウに12533のダメージ。


ガムヤラトラゾウ「シャァァァアウ…!!!!」


全身をズタズタに斬り裂いた。

ぐったりと伏せたまま動かなくなる。

肩で息をしてアルジはその様子を見る。


ガシマ&オンダク「………」


アルジは振り向き、3人に言う。


アルジ「終わったみたいだ」

オンダク「お前…!なんて技を…!」

ガシマ「いかれてやがる…!」


エミカがどうにか立ち上がる。

アルジの方へ歩いていく。


エミカ「…アルジ」

アルジ「ありがとう。エミカ」


ガシマとオンダクは拍手する。

それは、心からの称賛。


アルジ「ガシマ…オンダク…」

ガシマ「まったくお前らは…」


そのとき。

ガムヤラトラゾウが動き出す。


アルジ「まだ生きてたのか!!」


4本の脚を巧みに動かす。

素早くその場から去っていく。

ガシマとオンダクが追いかける。

だが、ガムヤラトラゾウの方が速い。

クネクネと体をくねらせて逃げていく。

凹みの外へ。

林の中へ。


ガシマ「チッ!!!」

オンダク「追いかけるぞ」

ガシマ「だが、あの速さだ!どうする!!?」

エミカ「これに乗ってくれ!!」


エミカは魔生体ラアムを取り出した。


エミカ(私の魔力も残り少ない…。

 でも…みんなで動かせばきっと大丈夫…!)


魔力を注ぎ、巨大化させる。


ガシマ「魔生体か!」

オンダク「乗せてもらおう!」

エミカ「動かすのを手伝ってほしい」

アルジ「もちろんだ!」


4人でまたがる。

前からエミカ、アルジ、ガシマ、オンダク。

ラアムは一気に凹みを駆け上がる。

アルジたち4人が注ぐ魔力を動力源にして。


ガシマ「なかなかいい魔生体だ」

エミカ「みんなの魔力のおかげだ」


アルジたちはラアムの上から辺りを見回す。

だが、ガムヤラトラゾウの姿は見えない。


ガシマ「どこに行きやがった?」

オンダク「やつは泳げる。海に出たかもしれない」

アルジ「そのままドノカ町に行ったとしたら…!」

ガシマ「そいつは最悪だぜ!!」

エミカ「…静かにしてくれ…!」

アルジ&ガシマ&オンダク「………」


エミカは感覚を研ぎ澄ます。

魔力で感知しようとする。

ガムヤラトラゾウが今、どこにいるのか。


エミカ(ガムヤラトラゾウも大量の魔力を使った。

 だから…発する魔波がかなり弱くなってる。

 私も持ってる魔力をほとんど使ってしまった。

 感知は難しい。それでもやる!諦めない!)


エミカは魔力回復薬を5錠飲んだ。

そして、目を閉じて魔波の探索に集中する。


アルジ&ガシマ&オンダク「………」

エミカ「……いた!!!」


ついにエミカはガムヤラトラゾウを感知。

動き出すラアム。

林の中を駆ける。

だが、追いつけない。

その姿が視界に入ることさえない。

縁環島の林の中を駆け続ける。


エミカ「逃げてる!すごい速さで!

 追いつけない!それに…

 こっちの動きを把握してるみたいだ!」

オンダク「このまま走り続けても…

 魔力が削られるだけか」

ガシマ「1度止まるぜ!!」


ラアムは立ち止まる。


エミカ「…!」

アルジ「どうした?」

エミカ「止まった…。

 私たちが止まったら古代獣も…。

 ほとんど同時に…!」

ガシマ「敵はどこにいる?」

エミカ「凹みのちょうど反対側だ」

アルジ「姿は見えないな」

エミカ「私たちが追いかけると反対側に逃げる。

 さっきからぐるぐる追いかけっこをしてる」

オンダク「やつも魔力を感知しているのか?」

エミカ「多分…だけど…」

アルジ&ガシマ&オンダク「……?」


エミカは考える。


エミカ(敵もたくさん魔力を使った。

 アルジたちにあれだけ痛めつけられた…。

 なのに…どうして正確に私たちの位置を?

 弱った魔力で感知してる割に…正確過ぎる。

 まるで私たちをどこかで見ているかのよう。

 見てる…私たちを…見ている…?

 もしかして…!)


エミカは振り向き、ガシマをじっと見た。


ガシマ「…は?なんだ?」


そして、彼女は1つの考えにたどり着く。


エミカ「降りてください」

ガシマ「…!!?」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   3603/3603

◇ 攻撃

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 防御

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 魔力  13★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り、

      雷刃剣

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   2234/2234

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ ガシマ ◇

◇ レベル  33

◇ HP   2178/2178

◇ 攻撃

 36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 素早さ

 30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力  10★★★★★★★★★★

◇ 装備  練磨の大斧、金剛武道着

◇ 技   激旋回斬、大火炎車

◇ 魔術  火弾、火砲


◇ オンダク ◇

◇ レベル 35

◇ HP   2841/2841

◇ 攻撃

  28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 防御

  39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  9★★★★★★★★★

◇ 装備  竜牙の長槍、超重装甲

◇ 技   竜牙貫通撃、岩撃槍

◇ 魔術  岩弾、岩壁


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ ガムヤラトラゾウ ◇

◇ レベル 42

◇ HP   122553

◇ 攻撃

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 37★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 魔力

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 秘力

  36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔術  火牙、火爪、火毛、王火

      氷牙、氷爪、氷鱗、王氷

◇ 秘術  赤裂

      青眠

      黒液

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