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アルジ往戦記  作者: roak
21/300

第21話 正義

高級料理店、ノソノ屋

アルジとエミカは訪れる。

女の店員が迎える。


店員「ようこそ。

 リネ先生からご予約のあった方ですね」

アルジ「ああ、そうだ」

店員「こちらへどうぞ」


広い個室へ案内された。


アルジ(…飯を食うだけなのに広過ぎないか?)


角には大きな花瓶。

花が生けられている。

赤い花と白い花がいくつも咲いていた。

壁に飾られているのは大きな風景画。

連なる山々が大胆に描かれている。

開放感のある窓からは庭が見渡せた。


アルジ「………」

エミカ「座ろう」

アルジ「ああ」

エミカ「落ち着かないのか?」

アルジ「ちょっとな…!」

エミカ「私も最初はそうだった」


小さく笑うエミカ。

向かい合って座る。

卓の上には2枚の品書き。

アルジとエミカは手にとって眺める。


アルジ(どの品もすごい値段だな…!)

エミカ「どうする?」

アルジ「少し考えさせてくれ」

エミカ「遠慮はいらないよ。

 先生は好きなものを食べていいと言ってたし」

アルジ「そうだな…」

エミカ「私は特上膳にする」

アルジ「特上か…いいな」

エミカ「アルジもそれにするか?」

アルジ「なんでも好きなものを…か」

エミカ「どうする?」

アルジ「オレはこれにするぜ」

エミカ「!!」


アルジは「極み膳」を選択。

品書きの中で群を抜いて高価。


エミカ「本当に遠慮がないな」

アルジ「せっかくだしな。腹も減ってるし…」


店員が茶を持って部屋に入ってくる。

アルジとエミカは注文した。

注文をとり、去っていく店員。


エミカ「楽しみだな」

アルジ「ああ…!」


アルジは辺りを見回す。

落ち着かない様子。


エミカ「お祝いごとによく使われるんだ。

 ここのお店は」

アルジ「お祝い…か」

エミカ「ノソノ屋はワノエで最高級のお店。

 でも、高貴な人しか入れないわけじゃない。

 庶民でもお金を払えば気軽に入れる。

 気負う必要なんてないよ」

アルジ「そうなのか」

エミカ「誕生日とかちょっとした記念日とか

 そんなとき来る人が多いんじゃないかな。

 お店もそういう人たちをもてなしてくれる。

 私はそんな堅苦しくないところが好きだ」

アルジ「だから5回も来てるのか」

エミカ「ごちそうしてもらったんだ」

アルジ「………」

エミカ「5回のうち4回は。

 リネ先生にごちそうしてもらった」

アルジ「…そっか。太っ腹だな。

 あとの1回は?」

エミカ「親がお祝いしてくれた。

 そのとき初めてこのお店に来た」

アルジ「そっか、なんのお祝いだったんだ?」

エミカ「学校を卒業するときのお祝いだ。

 リネ先生の館に行くのが決まったときに」

アルジ「送り出してくれたんだな。頑張れって」

エミカ「うん」

アルジ「最後に来たのは?」

エミカ「リネ先生の館を出ていくときだ。

 先生は私の旅立ちを祝ってくれた」

アルジ「それから、北土の魔術研究所に…」

エミカ「そうだ。先生が推薦してくれた。

 北土の魔術研究所に…私のことを。

 魔術の勉強のために。期間は1年だけ。

 お試しで魔術を学ぶ制度があるんだ」

アルジ「へえ」

エミカ「私は最初、乗り気じゃなかった。

 でも、いい刺激になるだろうって、

 ワノエではそういう環境はないだろうって、

 リネ先生が熱心に勧めてくれたんだ」

アルジ「実際に刺激になったんだろ。

 すごそうだしな。北土の魔術研究所って」

エミカ「思ったよりずっとすごかった。

 リネ先生は偉大な魔術師だと思う。

 私なんかは全然及ばないと思ってる。

 だけど…」

アルジ「………」

エミカ「北土の魔術研究所には何人もいた。

 先生と同じか、それ以上の魔術師が。

 私は周りについていくだけで精一杯だった。

 そうしてるうち魔術が嫌になってきて…」

アルジ「………」

エミカ「ごめん、湿っぽい話をしてしまったな」

アルジ「いや、いいんだ。

 やっぱりすごいところなんだな。

 あんなに魔術が使えるエミカでも

 そんなふうになるなんて」

エミカ「ああ。でも、いい経験になったよ。

 すごい魔術師の人たちに会えたし、

 すごい魔術を知ることもできたから」

アルジ「それはよかったな」


大勢の男たちの声と足音。

隣の客室に新たな客が来た。

隣の客室とは2枚の大きな戸で隔てられている。

その戸を解放すれば、大きな1部屋になる造り。

やけに大きな話し声。

戸を突き抜けてアルジたちに聞こえてくる。


男の声「よし!いいか!お前ら!!

 今日はとことん飲め!食え!!」

複数の男の声「おおおおおおおおおおお!!」

エミカ「………」

アルジ「うるさいな…」


男の話は止まらない。


男の声「いやぁ!!今日はよかったなぁ!!

 みんな!!おい!今日は祝いだ!

 めでたいめでたい1日だ!!

 好きなだけ飲んで食っていいぞ!!」

複数の男の声「おおおおおおおおおおお!!」

エミカ「………」

アルジ「この集まりは…なんなんだ…?」

男の声「いいか!今日から毎日ノソノ屋だ!!

 ノソノ屋で飯を食うぞ!!

 今日は確かにめでたいが、明日もめでたい!

 明後日も!!毎日が祝いの日よ!!」

複数の男の声「おおおおおおおおおおおお!!」

エミカ(…なんの集まりだろう)

アルジ(この人たちは一体…)

男の声「もうあの汚ねえ食堂に行かなくていい!

 毎日ノソノ屋で飯を食うんだ!!

 金だ!金を使え!ガンガン使うのさ!!

 それでも使い切ることはないかもなあ!」

複数の男の声「わはははははははははは!!」


注文をとりにきた店員にその男は告げる。


男の声「極み膳!!人数分持ってこい!!」


それから、ほかにも料理をいくつも注文した。

大声で、早口でまくし立てるように。


男の声「いいか!早く持ってこいよ!!」

アルジ「…ひどいやつだな」

エミカ「………」

男の声「おい、お前らぁ!!よく聞けよ!!

 今日は機嫌がいいから大事な話をしてやる!!

 特別講義ってやつだ!!心して聞け!!

 よそじゃ金払っても聞けるか分からねえ!!

 それくらい大事な大事なお話よ!!!

 組織で働くとき!!

 人が集まって仕事をするとき!!

 決して忘れちゃならねえ大事なことがある!!

 そいつを今日はお前らに教えてやる!!

 頭に叩き込んでやる!!いいか!!!!」

複数の男の声「はい!!!!」

アルジ「…?」

エミカ「………」

男の声「いいか、お前ら!!

 人が作る組織には共通していえることがある!

 こいつは、どんな組織にもいえることだ!!

 人が作る以上、そうならざるを得ない!!

 人が集まってできているものである以上だ!

 必然的にそうなるというものよ!!」

別の男の声「それは…なんですか?」

男の声「いいか…それはだな…」

別の男の声「………」

男の声「どんなに間違ったことも…

 でかい声で言えば正しくなる!!

 そういうことだ!!」

複数の男の声「お…おおおお……!!!!」

アルジ&エミカ「………」

男の声「それにしてもバカなやつよ!!

 ウマイ飯もイイ女も知らないクソガキが!

 大体そういうことをするものさ!!!

 正義ぶってやったんだろうがバカの極みだ!

 お望みどおりオレたちが活用してやるぜ!!」

アルジ「………」

エミカ「もしかして…」

男の声「人生の喜びとはなんたるか!

 金の力がいかほどか!

 なぁんにも知らないからこそ!!!

 ああいうバカな真似ができるんだ!!」

アルジ&エミカ「………」

男の声「カクノオウを倒した!?まぐれだ!

 まぐれ!!それかあれだ!!

 誰かの手柄を自分のものにしてるだけだろ!

 ガキには無理だ!!」

アルジ&エミカ「………」

男の声「おい、それにしてもよぉ…」

アルジ&エミカ「………」

男の声「隣の部屋、客いんのか!?

 なぁんも聞こえてこねえじゃねえか!!

 あの戸を開けて!ぶち抜いて!!

 豪快に部屋を使おうぜ!!おいロウ!!

 ちょっと行って、開けてこいや!!」

ロウ「分かりました!ナンダス隊長!!」

エミカ「やっぱり…ワノエ警備隊だ…」

アルジ「ナンダス隊長…?」


アルジとエミカは静かに立ち上がる。

警備隊員によって勢いよく戸が開けられる。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 8

◇ HP   347/347

◇ 攻撃  12★★★★★★★★★★★★

◇ 防御  6★★★★★★

◇ 素早さ 8★★★★★★★★

◇ 魔力  2★★

◇ 装備  勇気の剣、革の鎧

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃


◇ エミカ ◇

◇ レベル 6

◇ HP   192/192

◇ 攻撃  3★★★

◇ 防御  3★★★

◇ 素早さ 7★★★★★★★

◇ 魔力  9★★★★★★★★★

◇ 装備  術師の杖、術師の服

◇ 魔術  火球、火砲


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療薬 8


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ ナンダス ◇

◇ レベル 18

◇ HP   541/541

◇ 攻撃  11★★★★★★★★★★★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 7★★★★★★★

◇ 魔力  

◇ 装備  隊長の剣、隊長の戦闘着

◇ 技   破空斬

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