第204話 両立
広場に集まったドノカ町の住人たち。
ガシマは彼らに告げる。
この町へ来た本当の目的を。
ガシマ「縁環島の古代獣を倒すこと。
それが、オレたちの目的だ」
町民たち「………」
ガシマ「そいつの名前はガムヤラトラゾウ。
ノイ府防衛隊の情報によれば、
そいつは地下から養分を吸い上げて
日に日に強くなっているらしい。
もしも今の調子で成長を続けたら…
数日間で手がつけられなくなるとのことだ」
動揺する住人たち。
ガシマ「何か知ってることがあれば教えてくれ。
古代獣のことでも。最近の町の様子でも。
なんでもいい」
住人たち「………」
町長のショウキが口を開く。
ショウキ「化け物が発見されたのは2日前…。
本当に突然のことでした。朝のことです。
漁船が何隻も沈められて…。
腕の生えた巨大な魚…。
漁師たちからはそんな姿だと…」
ガシマ「ただの魔獣じゃねえようだな」
ショウキ「何かお力になれることがあれば、
どうぞお申し付けください」
ガシマ「どこか落ち着ける場所が欲しい」
ショウキ「魔獣が現れてから…
宿はどこもやってませんが…」
ガシマ「宿じゃなくていい。
どこか休むことができれば」
ショウキ「私たちの屋敷でよければ…」
ガシマ「屋敷…。あれか」
ショウキ「はい」
ガシマ「海のすぐそばがいい。
縁環島がよく見える場所が」
ショウキ「海のすぐそばですか…」
アルジ「ガシマ、どういうつもりだ?」
ガシマ「今、オレたちに必要なもの。
それは休養」
アルジ「………」
ガシマ「オレたちは体力を消耗した。
少しばかり、さっきの戦いで。
戦おうと思えばまだ戦える。
だが、万全じゃない。
それは、お前もオレもオンダクも。
エミカはなおのこと」
アルジ「ああ」
エミカ(もう王火は1発も撃てないかも…)
ガシマ「ガムヤラトラゾウがいかに強いか。
それはよく分からない。未知数だ。
だからこそ万全の状態で挑みたい。
今は休養が必要だ」
アルジ「そっか」
ガシマ「そして、もう1つ」
アルジ「なんだ?」
ガシマ「この町に必要なもの。それは警備だ」
アルジ「………」
ガシマ「魔獣は縁環島からやってくる。
見張るんだ。オレたちが。
海の見える場所から。
そして、魔獣がやってきたときは戦う。
そうやってこの町を守るんだ」
アルジ「そういうことか」
ガシマ「ああ。休養と警備。
2つを両立させる場所。
それをオレは町長に求めている」
オンダク「縁環島への上陸は…明朝にするか」
ガシマ「それがいい。
それで魔獣が多少強くなったとしても…
万全の状態で戦いたい」
人だかりの中から声が上がる。
住人A「ナミナカ荘を使ってください!!」
ガシマ「ナミナカ荘?」
1人の男がアルジたちの前にやってくる。
男「宿です。私が経営している小さな宿です。
海のすぐ近くに建っております。
海の方から魔獣がワラワラ現れたもんですから、
宿はそのままにして従業員と逃げてきました。
裏口が開いています。
どうぞ、使ってください!」
ガシマ「そうか。そいつは助かる」
ナミナカ荘の経営者「宿はあちらです。
あの通りをまっすぐ歩けば…」
ガシマ「あの通りか」
ナミナカ荘の経営者「はい。
しばらく行くと波の形の看板が見えてきます。
海のすぐ近くなので分かりやすいかと。
風呂も寝具もどうぞご自由に使ってください。
飲み水の備蓄も十分にあるはずです。
食料は…ほとんどないかもしれませんが」
ガシマ「ナミナカ荘…使わせてもらおう。
感謝する」
ナミナカ荘の経営者「あの…お食事は…」
ガシマ「その心配は必要ない。
持ってきているものがあるからな」
アルジ(持ってきてる?
…なんか食料があるのか)
最後にオンダクが住人たちに告げる。
落ち着いた調子の声で。
オンダク「みんな聞いてくれ」
住人たち「………」
オンダク「明日、オレたちは縁環島へ行く。
そこで古代獣を倒す。
厳しい戦いになるだろう。
だが、オレたちなら大丈夫だ。
魔獣ごときに決して屈しない。
必ず倒して帰ってくる。
だから、安心して待っていてほしい。
今しばらくの辛抱だ。
戸締りして身を潜めていてほしい」
住人たち「………」
オンダク「以上だ」
アルジ&エミカ&ガシマ「………」
オンダクの話を聞いた住人たち。
いくらか不安が薄れた様子。
アルジたちは歩き出す。
海のそばにある宿、ナミナカ荘に向かって。
ガシマ「行くぜ」
ショウキ「どうか…ご無事で」
イイナヨ「ご健闘をお祈りします」
オンダク「任せておけ」
広場に集まった住人たちは散っていく。
それぞれが建物の中へ消えていく。
どんよりとした雲で空は暗くなる。
ポツリポツリと雨が降り出した。
ガシマ「雨か。少し急ごう」
4人は速足で進む。
広場を出て海に向かう。
やがて遠く向こうに海原が見えてくる。
波の形の青い看板が目に入る。
ナミナカ荘。
その宿は本当に海のすぐそばにあった。
ガシマ「あれか」
アルジ「海だ!」
ガシマ「いつでも戦えるようにしとけよ」
アルジ「もちろん」
エミカ「波の音がよく聞こえる」
オンダク「それが宿の名前の由来かもな」
裏口から中へ。
誰もいない。
がらんとしていた。
厨房をのぞく。
食材が食い荒らされていた。
アルジ「魔獣の仕業か」
ガシマ「…まだどっかに隠れてるか?」
エミカ「魔波は感じない。旅館にはいないよ」
オンダク「食うだけ食って出ていったんだな」
アルジたちは2階の宴会場へ。
ガシマが海側の大きな窓を開け放つ。
目の前に広がる大海原の景色。
潮風が入ってくる。
遠くには縁環島が見えた。
アルジ&エミカ&ガシマ&オンダク「………」
そこに古代獣がいる。
4人は島を見つめて気を引き締めた。
雨の勢いは増していく。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 30
◇ HP 3603/3603
◇ 攻撃
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 防御
38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 魔力 13★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 2234/2234
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ ガシマ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 2178/2178
◇ 攻撃
36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 素早さ
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力 10★★★★★★★★★★
◇ 装備 練磨の大斧、金剛武道着
◇ 技 激旋回斬、大火炎車
◇ 魔術 火弾、火砲
◇ オンダク ◇
◇ レベル 35
◇ HP 2841/2841
◇ 攻撃
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 防御
39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 9★★★★★★★★★
◇ 装備 竜牙の長槍、超重装甲
◇ 技 竜牙貫通撃、岩撃槍
◇ 魔術 岩弾、岩壁
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15




