第2話 魔波
ゼゼ山を登るアルジたち。
次第に険しさを増していく山道。
トアとマサが遅れ始める。
先頭を歩くタラノスが振り返る。
タラノス「この辺で休憩にしよう」
アルジ「オレはまだ行ける」
トア「いや、休もう!」
マサ「はあ、はあ、疲れた!」
タラノス「休憩だ」
アルジ「………」
アルジたちは岩場の上に腰を下ろす。
付近には青々と草木が茂る。
ゼゼ山はあまり高い山ではない。
アルジたちはすでに中腹まで来ていた。
トア「先生、地鳴りの原因はどうやって調べる?」
タラノス「簡単さ。魔波で調べる」
トア「マハって?」
タラノス「魔波とは、空気を伝わる魔力の波。
それがあるかどうかを調べる」
アルジ「どうやって?」
タラノス「感じるんだ」
トア「先生、魔力を感じられるのか。
魔術師じゃん!」
タラノス「はは、先生は魔術師じゃないよ」
マサ「でも、魔力があるかどうか分かるんだろ?」
タラノス「まあな。お前たちくらいの年の頃は
真剣に魔術書を読んで覚えようとしたものさ。
だが、一向に上達しなかった。
今できるのは魔力を感じることくらいだな。
魔術には向き不向きがあるんだ」
アルジ「魔波があるとどうなる?」
タラノス「さっきの地鳴りは
安定の玉を失ったことが原因だ」
トア「魔波がなければ、ただの偶然ってこと?」
タラノス「そういうことだ」
アルジ「なんでそうなる?」
タラノス「うむ。歴史書によれば…」
トア「あー!出たよ!歴史書!」
タラノス「大事なことだから最後まで聞くんだ。
歴史書によれば大地から吹き出る魔波のせいで
この地域の地盤は不安定になっているそうだ。
その魔波を抑えて安定させていたのが安定の玉。
だから、安定の玉を失ったせいで
崖崩れが起きたなら、そこには強い魔波が
吹き出しているはずだ。分かったか?」
アルジ「ああ、なんとなく」
タラノス「さあ、休憩は終わりだ。登るぞ」
アルジたちはさらに登る。
登るにつれて斜面はなだらかになっていく。
聞こえてくる獣のうなり声。
立ち止まって身構えるアルジたち。
マサ「先生、なんの声だ?」
タラノス「モリオオカミの群れだ」
トア「どうするんだ、先生」
タラノス「静かに。様子を見よう」
林の中から姿を現す5匹のモリオオカミ。
アルジたちを取り囲み、距離を詰めてくる。
それぞれが牙をむき、うなり続ける。
タラノス「逃げられないな。戦うぞ!」
アルジたちは武器を構える。
1匹がアルジに襲いかかる。
アルジは体を回転させてひらりとかわす。
そして、脳天目がけて力強く剣を振り下ろした。
◇ モリオオカミAに65のダメージ。
◇ モリオオカミAを倒した。
タラノス「やるなぁ、アルジ!」
アルジ「これぐらい余裕だ」
剣を握りしめるトア。
トア「オレもやってやる!」
トアは1匹のモリオオカミに突進した。
剣を振り下ろすが避けられる。
横から別のモリオオカミに脚をかまれた。
◇ トアに43のダメージ。(HP47 → 4)
トア「ぐああー!」
アルジ「トア!」
タラノス「チッ!」
タラノスは剣を素早く振って斬る。
トアにかみついたモリオオカミを。
◇ モリオオカミBに117のダメージ。
◇ モリオオカミBを倒した。
ほかのモリオオカミたちは戦意を失い逃げ出した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。(レベル1 → 2)
トア「痛え…痛えよ!」
タラノス「じっとしてろ。薬を塗ってやる」
タラノスはトアに治療薬を使った。
◇ トアはHPが10回復した。(HP4 → 14)
タラノス「あとは自然治癒を待つしかない」
アルジ「トア…」
マサ「突進するからあんなことになったんだ」
アルジ「トアは勇気を出して立ち向かったんだ。
ビビって戦わないよりも遥かにいいだろ」
マサ「何?オレはビビってなんかいない!
慎重に様子を見てただけだ!」
タラノス「まあ、待て。お前ら。
どちらの考えも正解だ。勇気も大事。慎重も大事。
トアは少しうかつだった。だが、勇気はあった。
先生はトアの勇気を評価したい」
タラノスの顔色が急に変わる。
アルジ「先生、どうした?」
タラノス「……魔波だ!あっちか!」
駆け出すタラノス。
登山道を外れて林の中を進む。
やがて立ち止まり、叫んだ。
タラノス「なんてことだ!」
タラノスは山の斜面をじっと見下ろす。
その斜面は大きく崩れていた。
崩れたところからタラノスは確かに感じる。
強大で不穏な魔力の波を。
タラノス「クソ!安定の玉を失ったのが原因か!」
マサ「先生!」
タラノスの方へ駆けてくるマサ。
タラノス「どうした!」
マサ「アルジが!アルジが!」
タラノスとマサはアルジの元へ駆けつける。
タラノスは目撃する。
負傷した脚を手で押さえているトア。
そんな彼を守るように剣を構えて立つアルジ。
そして、1頭の巨大な獣。
それは、ヤマグマと呼ばれる獣。
普段は物静かな性格。
だが、ふとしたきっかけで凶暴になる。
そのヤマグマも凶暴化していた。
しかも、それだけではない。
タラノスは感じる。
普通のヤマグマと様子が違うのを。
そのヤマグマは、魔力を身につけていた。
対峙し続けるアルジ。
タラノス「アルジ!やめろ!危険だ!」
アルジ「オレはやる!剣があれば、やれる!」
アルジは決してヤマグマから目を離さない。
構えた剣も下ろそうとしない。
タラノス「そいつはただのヤマグマじゃない!
魔力だ!魔力を持っている!
おそらく…魔波を浴びて魔獣化したんだ!」
アルジ「魔獣?魔獣だろうと関係ない!」
タラノス「バカ野郎!」
タラノスはアルジを突き飛ばす。
そして、ヤマグマに向かって剣を構えた。
タラノス「村長に報告しろ!」
アルジ「……」
タラノス「今すぐ山を下りて報告するんだ!
安定の玉を渡したのが原因で崖崩れが起きたと!
地下の魔波があふれだし、大変なことになると!
3人で山を下りて報告するんだ!」
ヤマグマ「グルルルルルル…」
アルジ「先生は!?先生はどうするんだ!」
タラノス「オレはこいつを倒す!
それから下山する!また村で会おう!」
アルジ「そんな!オレも戦う!」
ヤマグマがタラノスに殴りかかる。
タラノスは横に跳ねてどうにか攻撃を回避する。
ヤマグマの爪で深く傷つけられた木。
ゴキゴキと音を立てて倒れていく。
アルジ「なんだ…この力…」
タラノス「見たか!これが魔獣の力!3人で逃げろ!
今お前たちがやるべきことはそれだけだ!」
トア「ああ!」
マサ「分かった!」
アルジ「………」
マサ「おい、行くぞ!アルジ!」
アルジ(先生、ごめん!)
アルジたちは急いで下山した。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 2
◇ HP 60/88
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 3★★★
◇ 素早さ 3★★★
◇ 魔力
◇ 装備 木の剣、革の鎧
◇ トア ◇
◇ レベル 1
◇ HP 14/47
◇ 攻撃 2★★
◇ 防御 1★
◇ 素早さ 1★
◇ 魔力
◇ 装備 木の剣、革の鎧
◇ マサ ◇
◇ レベル 1
◇ HP 53/53
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ 1★
◇ 魔力
◇ 装備 木の剣、革の鎧
◇ タラノス ◇
◇ レベル 8
◇ HP 172/172
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 3★★★
◇ 素早さ 4★★★★
◇ 魔力 1★
◇ 装備 鉄の剣、銅の鎧
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬8
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ モリオオカミ ◇
◇ レベル 1
◇ HP 53
◇ 攻撃 2★★
◇ 防御 1★
◇ 素早さ 2★★
◇ 魔力
◇ ヤマグマ ◇
◇ レベル 17
◇ HP 336
◇ 攻撃 12★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 10★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 5★★★★★
◇ 魔力 2★★