第196話 蒼炎
アルジは沈黙する。
アルジ「………」
ガシマ「2人の仲間が死んだ。
そのことは知っている。残念だったな」
アルジ「………」
アルジは考えた。
アルジ(なんでエミカは…
一緒に戦ってくれてるんだろう。
オオトノラコアのときも。
コノマノヤタラズマのときもだ。
リネに頼まれたからか。
リネの力を受け継いだからか。
魔真体の話も一緒に聞いたしな。
だからエミカも思ったんだよな。
一緒に食い止めなきゃって。
オレたちは同じ敵と戦う仲間。
そうだ、仲間だもんな…)
オンダク「どうした?」
アルジ「いや…」
ガシマ「尋問してるわけじゃねえ。
本当のところを言ってみろ。
別に隠すことじゃないだろ。
あいつが好きなら好きだと言え」
アルジ「………。
そういうあんたは…どうなんだ?」
ガシマ「オレはたくさんいる」
アルジ「は…?」
ガシマ「恋人がたくさんいる」
アルジ「な…」
ガシマ「結婚相手は1人だけだ」
アルジ「ああ…」
ガシマ「だが、恋人は何人いてもいい。
そうだろう」
アルジ「は…?」
ガシマは両手を湯から出す。
手のひらをアルジに向けた。
1本ずつ指を折っていく。
右手の親指から小指まで順番に。
アルジ「5…」
今度は左手の指。
5本折り終えると、右手の指を伸ばす。
さらに左手の指も伸ばす。
すべての指を伸ばすと、再び右手の指を折る。
そして、ガシマの指の動きが止まる。
アルジ「28…」
ガシマ「ああ。全員…思い出せたぜ」
アルジ「そんなことが許されるのか…?」
ガシマ「オレは大前隊だからな」
アルジ「許されるのか!?」
オンダク「殴られても蹴られてもくじけない」
ガシマ「…!」
アルジ「え?」
オンダク「そういう心構えが大事。
だよな、ガシマ」
ガシマ「オンダク、てめえ余計なことを…」
アルジ「殴られても蹴られても…」
オンダク「ああ。前にこいつはオレに言った。
それがうまくやるヒケツだと」
アルジ「はは…」
ガシマ「笑ってんじゃねえ」
アルジ「オンダクさん、もしやあんたも…」
オンダク「オレか」
彼はため息をついてから言った。
オンダク「オレにもいた。大事な人が。
いや、大事な人たちが。だが…」
アルジ「だが…?」
ガシマ「………」
オンダク「守れなかった」
アルジ「え…」
オンダク「長湯は苦手だ。先に行く」
オンダクは風呂から出ていった。
ガシマは小さな声で言う。
ガシマ「あいつには家族がいた」
アルジ「………」
ガシマ「妻と子が」
アルジ「そう…なのか」
ガシマ「この先はオレが話すことじゃねえな」
アルジ「………」
ガシマ「オレも上がる。気が向いたら教えろ」
アルジ「…?」
ガシマ「お前はエミカをどう思ってんのか。
お前が行かないのなら、このオレが…」
アルジ「やめろ!」
ガシマ「冗談だ。はははは」
アルジ「………」
ガシマも出ていった。
アルジ「………」
しばらくしてアルジも風呂から上がる。
服を着て脱衣所から出る。
3人が廊下で待っていた。
ガシマ「遅えぞ」
アルジ「悪い。いい風呂だったから」
エミカ「すっきりしたか?」
アルジ「ああ。エミカも…」
エミカ「久しぶりにお風呂に入れてよかった」
オンダク「飯だ。飯を食いにいくぞ」
アルジたちは食事会場に行く。
大きな部屋に宿泊客が集まっている。
卓の上に皿が何枚も並ぶ。
それぞれに料理が盛りつけられていた。
エミカ「あっちに演台があるけど…」
オンダク「何か芸でもやるんだろう」
ガシマ「有名な踊り手が来ているそうだ」
エミカ「そうなんですか」
ガシマ「蒼炎舞踊の踊り手らしい」
アルジ「なんだ…?その踊り…」
ガシマ「激しく美しい振りつけの踊りだ。
ハオサカヤ国の小さな村が発祥の地」
アルジ「詳しいんだな」
ガシマ「浴室の近くに案内板が出てただろ」
アルジ「見てなかった」
エミカ「ガシマさんは…
その踊りを見たことがあるんですか?」
ガシマ「ああ、ある。
もうずっと前だ。遠征のときに」
アルジ「また遠征か」
ガシマ「またってなんだ。またって」
アルジ「そのときも武術大会に出たのか?」
ガシマ「ああ、そうだ。
それ以外遠出する理由はなかったからな。
ガキの頃は。まだこんな小せえ頃だったな。
遠征先で蒼炎舞踊を初めて見たのは」
ガシマは座ったまま当時の背丈を手で表す。
アルジ「………」
それは幼子の背丈。
アルジ(幼い頃から武器を持ち…
戦って、勝って、戦って、勝って、
選ばれて…今の地位にいる。
前にリネがそんなことを言ってたな。
エオクシだけじゃない。
ガシマも…そういう人の1人ってわけか)
アルジたちは食事しながら踊りを見た。
アルジ「すごく激しい踊りだな」
エミカ「目まぐるしい」
3人の演奏家が大きな楽器で音楽を奏でる。
その音楽に合わせて1人の踊り手が舞う。
広い演台の端から端まで使う。
全身を躍動させている。
ガシマ「見事なもんだ」
オンダク「そろそろ部屋に戻らないか」
ガシマ「そうだな」
食事を済ませて会場を出る。
踊りはまだ続いていた。
廊下を歩きながらガシマは言う。
ガシマ「明日の予定について話す」
アルジ「ああ」
ガシマ「遊びに来たわけじゃねえからな」
部屋に戻って4人は座った。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 30
◇ HP 3603/3603
◇ 攻撃
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 防御
38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 魔力 13★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 1883/2234
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ ガシマ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 2178/2178
◇ 攻撃
36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 素早さ
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力 10★★★★★★★★★★
◇ 装備 練磨の大斧、金剛武道着
◇ 技 激旋回斬、大火炎車
◇ 魔術 火弾、火砲
◇ オンダク ◇
◇ レベル 35
◇ HP 2841/2841
◇ 攻撃
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 防御
39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 9★★★★★★★★★
◇ 装備 竜牙の長槍、超重装甲
◇ 技 竜牙貫通撃、岩撃槍
◇ 魔術 岩弾、岩壁
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15