第188話 暗闇
サヤノの魔力が尽きる。
王岩を撃てなくなる。
震える手から杖が落ちた。
倒れ込みそうになるサヤノ。
マユノとカエノに支えられる。
竜の守護兵が剣を構えたそのとき。
再び猛烈な炎に包まれる。
アヅミナの王火が焼いていく。
◇ 竜の守護兵に8866のダメージ。
アヅミナ「飲んで!薬を!早く飲んで!!」
サヤノ「…はい…!」
マユノ&カエノ「………」
震える手で魔力回復薬を飲むサヤノ。
王岩をあと何発撃てばいいのか。
彼女には分からない。
サヤノ(1日の目安は…5錠!
でも…飲む…もっと飲む!
飲まなきゃ…やってられない!
最後まで戦えない!!)
20錠の魔力回復薬を飲んだ。
サヤノの魔力が回復していく。
アヅミナは再び王火を撃つ。
◇ 竜の守護兵に7781のダメージ。
竜の守護兵「…フグ…!!」
さらなる炎が竜の守護兵を包み込む。
◇ 竜の守護兵に8763のダメージ。
焼き続ける。
◇ 竜の守護兵に6868のダメージ。
全身を焦がしていく。
◇ 竜の守護兵に8233のダメージ。
アヅミナは大きくよろけた。
視界はぼやけ、平衡感覚が失われていく。
限界が近かった。
サヤノ「アヅミナさん…!行けます…!」
アヅミナ「あとは…頑張って…必ず倒して…」
サヤノ「はい…!!」
マユノ&カエノ「………」
再びサヤノが攻撃を始める。
全身の魔力をかき集め、空中に飛ばす。
その力を岩に変え、落としていく。
黒焦げになっても立ち続ける竜の守護兵に。
◇ 竜の守護兵に7231のダメージ。
倒れそうになるアヅミナをエオクシが支える。
エオクシ「大丈夫か!」
カタムラ「規格外の耐久力…ですね」
エオクシ「なんなんだ!あいつは!!」
カタムラ「現代に生きるありとあらゆる魔獣。
そのすべてを遥かに凌ぐ耐久力。
なんなのでしょうか?分かりません。
分かりませんね。古代の術師たちは…
どうやってこんな化け物を生み出したのか。
この遺跡、やはり普通ではありませんね…」
サヤノは途切れることなく攻撃を繰り出す。
竜の守護兵に攻撃の機会を与えないように。
◇ 竜の守護兵に8592のダメージ。
もう1発。
◇ 竜の守護兵に6999のダメージ。
さらにもう1発。
◇ 竜の守護兵に5471のダメージ。
それでも竜の守護兵は潰れない。
身をかがめ、背中で岩を受け続ける。
そのしぶとさに6人はあきれた。
永遠に倒れない。
そういう魔術がかけられているのか。
誰もが思い始める。
サヤノの目からポロポロと涙がこぼれる。
サヤノ「倒れて…!倒れてよ…!」
恐れ、怒り、悲しみ、焦り。
それらの感情が混ざり合う。
混ざり合って高まっていく。
そして、彼女に涙を流させた。
尽きかけた魔力で王岩を絞り出す。
◇ 竜の守護兵に4227のダメージ。
マユノ「…カエノ。光玉は任せます」
カエノ「マユノ…」
マユノ「もう…黙って見てられません」
アヅミナ「…待って…!」
マユノ「いいえ、待ちません」
サヤノが大きくよろめいたとき。
今度はマユノが魔力を高める。
王氷を撃つ態勢に入る。
そのとき生じた一瞬の魔力の揺らぎ。
竜の守護兵は、極めて鋭敏に察知。
マユノの王氷は完全に見切られていた。
竜の守護兵は突進する。
目を青白く光らせながら。
マユノ「…熱っ!!」
目から出た光がマユノの体を貫く。
アヅミナもサヤノも動けない。
王火も王岩も出せない。
エオクシは跳び出した。
竜の守護兵の元へ駆けていく。
剣を振り上げる。
だが。
マユノ「…あう!!」
ドン、と大きな音。
マユノの体は大きく斬り裂かれた。
◇ マユノは15924のダメージ。(HP1176→0)
◇ マユノは死んだ。
振り下ろされるエオクシの壮刃剣。
竜の守護兵の鎧を破り、右腕を斬り落とす。
◇ 竜の守護兵に4597のダメージ。
サヤノ「……?」
カエノ「…え…」
一瞬何が起きたのか理解できない2人。
地面に転がったマユノの変わり果てた姿。
それを見てカエノとサヤノは状況を把握。
2人の悲鳴が辺りに響く。
マユノには蘇生魔術も再生魔術も通じない。
2人には火を見るよりも明らか。
エオクシ「ヤロォオオオ!!!」
エオクシはさらに剣を振る。
だが、当たらない。
刃は空を斬る。
次の攻撃も、その次の攻撃も当たらない。
すべて避けられる。
剣の軌道が予知されているかのように。
エオクシ「クソオオオ!!!」
竜の守護兵は大きく剣を振った。
エオクシは剣で受ける。
ゴキンと大きな音を立てて刃と刃がぶつかる。
エオクシの手は痺れ、後ろに倒れそうになる。
エオクシ(とんでもねえ重さだ!!!
しかも片腕で!!どうなってやがる!!)
竜の守護兵はさらに剣を振ってくる。
エオクシは後ろへ跳んで回避した。
彼が再び向かっていこうとしたとき。
エオクシ(!!?…動けねえ!!!)
体が硬直した。
アヅミナ「今…行っちゃだめ」
彼の動きを止めたのは、アヅミナ。
動きを読んで先回りして捕まえた。
精神操作をエオクシにかけた。
エオクシ「行かせろ!!アヅミナ…!!」
アヅミナ「今行ったら…潰される…!」
エオクシ「…!!?」
エオクシは見上げた。
竜の守護兵の頭上を。
エオクシ「なんだ…!!あれは…!!?」
アヅミナ「あたしも…あんなの…初めて見た…」
視界に入り切らないほどの巨石。
不自然に宙に浮いている。
サヤノは泣きながら叫んだ。
サヤノ「絶対許さない!!お前は!!
絶対に許さない!!!」
高速で落とされる巨石。
竜の守護兵に激しくぶつかり押し潰す。
◇ 竜の守護兵に16448のダメージ。
地面が揺れて衝突音が轟く。
天井の岩盤が崩れるのではないか。
そう思わせるほどの衝撃。
サヤノは魔力が尽きて倒れこむ。
全身の力が抜ける。
手足を動かすこともできない。
だが、頬を伝う涙は止まらない。
サヤノ「…マユノ…マユノ…!
嫌だ…!嫌だ…!!」
しかし、竜の守護兵は動き出す。
立ち上がろうと地面をつかむ。
エオクシが斬りかかろうとする。
だが、動けない。
アヅミナの精神操作はかけられたまま。
エオクシ「行かせろ!!」
アヅミナ「…まだ危ない」
アヅミナが警戒するもの。
それは、カエノ。
彼女は杖の両端を左右の手でつかんでいる。
そして、その杖を高く水平に掲げる。
何をするつもりか。
魔術師なら瞬時に分かる体勢。
王雷。
巨大な雷が竜の守護兵を直撃。
カエノ「これで死になさい!!!!」
竜の守護兵「ゴォア…!!!」
閃光と轟音。
彼女の全魔力を込めた一撃。
竜の守護兵の息の根を止めた。
◇ 竜の守護兵に18089のダメージ。
◇ 竜の守護兵を倒した。
◇ エオクシたちは戦いに勝利した。
◇ カエノはレベルが上がった。(レベル35→36)
◇ サヤノはレベルが上がった。(レベル36→37)
そして、地下空間内は暗闇に飲まれる。
マユノとカエノ。
2人の光玉を失って辺りは真っ暗になった。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ エオクシ ◇
◇ レベル 37
◇ HP 3451/3692
◇ 攻撃
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 壮刃剣、戦究防護衣
◇ 技 天裂剣、地破剣
◇ アヅミナ ◇
◇ レベル 35
◇ HP 404/404
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 装備 大法力の魔杖、漆黒の術衣
◇ 魔術
火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火
氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷
暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、
酷死魔術
◇ カエノ ◇
◇ レベル 36
◇ HP 1084/1181
◇ 攻撃 3★★★
◇ 防御
20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 魔力
45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 装備 超放気の魔杖、連星の魔道衣
◇ 魔術 雷弾、雷砲、雷破、雷花、王雷
氷弾、氷矢
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ サヤノ ◇
◇ レベル 37
◇ HP 953/961
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 11★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 装備 清化印の魔杖、光心の魔道衣
◇ 魔術 岩弾、岩砲、王岩
雷弾、雷槍
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ カタムラ ◇
◇ レベル 16
◇ HP 766/766
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御 9★★★★★★★★★
◇ 素早さ
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 3★★★
◇ 装備 魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、
探検用強化研究衣
◇ 魔術 光玉、治療魔術
◇ 秘術 青珠
◇ 持ち物 ◇
◇ 活汁 95、魔力回復薬 60