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アルジ往戦記  作者: roak
187/300

第187話 勇姿

カタムラは力のない声で言った。


カタムラ「…分かりません」

エオクシ「………」

カタムラ「私にも…分かりませんよ」

マユノ&カエノ&サヤノ「………」

カタムラ「こんな遺跡は初めてですからね。

 秘術でさまざまな仕掛けが施された遺跡…

 初めてで…とにかく驚きっぱなしなのです。

 何ができて何ができないのか、

 何をしたら何が起きるのか、

 何がよくて何が間違っているのか、

 自信を持って言えることは…1つもない。

 ですが…そうですね。

 はっきり言えることはあります」

エオクシ「…なんだ?」

カタムラ「それは、私の思いです。

 私の思いは…エオクシさん、あなたと同じ」

エオクシ「………」

カタムラ「円陣のとき、あなたは言いました。

 誰も傷つけさせねえと。誰も死なせねえと。

 私もその気持ちとまったく同じなのです。

 この任務で…誰も死んでほしくない。

 誰も傷ついてほしくない。

 全員無事で都に帰りたい。

 それが私の思いです」

エオクシ「…それなら」

カタムラ「ええ、やりましょう。

 少しでも可能性があるのなら…

 それに賭けるべきです。

 もちろん…

 シノ姫に見てもらって治るならそれもいい。

 その可能性も否定されたわけではありません。

 ですが…ここでしかできません。

 秘術人形と戦うことは。

 今、巨方庭でしか試すことができません。

 それならば、やってみる。

 そうするのがよいのではないでしょうか。

 どういう法則で何が起きるのか分からない。

 だからこそ…試してみる。

 これが…私の考えです。

 いかがでしょうか?」


エオクシは光術三姉妹の顔を見た。


エオクシ「…だそうだ」

マユノ&カエノ&サヤノ「………」

エオクシ「サヤノ、やれるか?」


力強くうなずくサヤノ。


エオクシ「そうか。…反対はいねえな?」


エオクシはアヅミナの方を向いた。


エオクシ「5対1だ」

アヅミナ「………」

エオクシ「力を貸してくれねえか?」

アヅミナ「………」


アヅミナは涙をふいて小さな声で言う。


アヅミナ「…分かった」


そして、6人は大きな岩へ向かっていく。

青い光の筋をたどって進む。

歩きながらアヅミナが告げた。


アヅミナ「敵を見つけたら、

 まずはあたしが王火を使う」

マユノ&カエノ&サヤノ「………」

アヅミナ「あたしの全力で敵をひるませる」

エオクシ「おう」

アヅミナ「そしたら、サヤノ。

 今度はあなたの出番」

サヤノ「はい」

アヅミナ「王岩を撃ち込んで。

 敵が完全に潰れるまで。

 あなたの魔力が続く限り。撃ち込んで」

サヤノ「はい」

アヅミナ「あなたの王岩は発展途上。

 隙が大きいし、威力も安定していない。

 だから…あたしの王火でまずは弱らせる。

 あなたが思い切り攻撃できるように」

サヤノ「はい!」


マユノがアヅミナに近づいて言う。


マユノ「ありがとうございます。

 あと…さっきはすみませんでした」

アヅミナ「…いいの。

 あたしも信じることにした。

 あなたたちの力を。

 だから…次の敵も頑張りましょう」

エオクシ「おし、オレも…」

アヅミナ「あなたは下がってて」

エオクシ「………」

アヅミナ「前に出られると、

 あたしがあなたを焼いたり

 サヤノがあなたを潰したりしちゃうから」

マユノ「加減はできないもんね」

カエノ「再生不能の大ケガをしてしまうかも」

マユノ「そうなったら、面倒見切れません」

エオクシ「…言うじゃねえか。

 なら今回は任せたぜ」

マユノ「ええ、後ろで見守っていてください」


岩の前に立つ6人。

光の筋をたどり、岩の奥へ回り込む。

ポッカリと空いた穴を見つけた。

岩の下部、地面との境目。

大きく口を開けているかのよう。

光の筋は、その中へ続いている。


マユノ「この中に…

 本当に入っていくんですか?」

カタムラ「…そうですね」

エオクシ「例の石板はねえのか?近くに」


岩の裏側などを探すが、見つからない。


カタムラ「やはり入るしかないようですね」

アヅミナ「行こう」

エオクシ「こうなりゃどこまででも行くぜ」

マユノ「光玉を飛ばします」

カエノ「私も」


穴の中へと2つの光玉が飛んでいく。

エオクシが最初に穴へ入っていく。

カタムラが続く。

アヅミナ、光術三姉妹も入る。


エオクシ「縦穴だ!かなり下るぜ!」


狭くて急な縦穴。

手をつきながら下りていく。

光玉と地を這う光の筋。

それらを頼りに進む。

縦穴を下り終える。

巨大な地下空間が広がっていた。

エオクシは大きなため息をつく。


エオクシ「…すげえな。これは」


カタムラも光玉を出す。

荒々しい岩肌を照らしだす。


カタムラ「広い…。

 アマ円1個分…あるかどうか。

 そんなところでしょうか。

 光の筋は続いています。

 石板を探しましょう」


地下空間を歩く。

ところどころ岩が隆起している。

6人の行く手を阻む。

回り込み、よじ登り、進んでいく。

青い光の筋を頼りに。


エオクシ「あったぜ!!」


地下空間の最深部。

壁に埋め込まれた円形の石板を見つける。

その石板に描かれているのは正方形。


カタムラ「今までと同じ…。そして…」

エオクシ「ああ…」


正方形の4つの頂点。

そのうちの2点が光っている。

それぞれ赤い光と青い光を発している。


エオクシ「ここと…あと、南にある泉。

 残り2体の竜の化け物を倒せば、

 4つの点が光る…。そういうことだろ?」

カタムラ「…おそらく。

 4つの点が光ることで古王の祭壇…つまり、

 魔真体の起動装置は…現れる…気がします」

エオクシ「罠じゃなけりゃあ…な」


青い光の筋は壁を伝って上の方へ伸びている。

その行き先が果たしてどこなのか。

突き出した岩の陰に隠れていて見えない。

カタムラが石板に手を添える。


カタムラ「…押しますよ。いいですか?」


アヅミナがサヤノの横顔を見る。


アヅミナ「準備はいい?」

サヤノ「はい…!」

アヅミナ「押して」

カタムラ「押します」


石板が壁に押し込まれた。

ゴトンと大きな音が鳴る。

アヅミナの顔が凍りつく。

光術三姉妹は身構える。


アヅミナ(今までにない強大な魔力…!

 …こっちに来てる!)


マユノとカエノの光玉が空間内を照らす。

岩陰から1体の竜の守護兵が現れた。

白い鱗、分厚い鎧。

まっすぐな長剣を手にしている。


カタムラ「…来た!!」

竜の守護兵「グルルルルル…」


アヅミナは王火を繰り出した。

彼女が出せる最高の速度、最強の威力で。

◇ 竜の守護兵に9988のダメージ。


竜の守護兵「ゴ…ア…!!」

アヅミナ「…どう?驚いた?

 まだまだこれから!!」


アヅミナの猛攻が始まった。

立て続けに王火を放っていく。

2回目。

◇ 竜の守護兵に8754のダメージ。

3回目。

◇ 竜の守護兵に8233のダメージ。

4回目。

◇ 竜の守護兵に9765のダメージ。

5回目。

◇ 竜の守護兵に10008のダメージ。

竜の守護兵に何もさせず、圧倒する。

竜の守護兵が片膝をついた。

そのとき。

アヅミナは叫んだ。


アヅミナ「サヤノ!!!」

サヤノ「はい!!!」


今度はサヤノが魔力を高める。

宙に放たれた膨大な魔力。

巨岩となって落下する。

轟音を立てて竜の守護兵に衝突。

◇ 竜の守護兵に6721のダメージ。


サヤノ(もっと…!もっと行ける!!

 私はもっとやれる!!)


2回目。

◇ 竜の守護兵に9021のダメージ。

3回目。

◇ 竜の守護兵に9677のダメージ。

4回目。

◇ 竜の守護兵に9034のダメージ。

サヤノの勇姿を見つめるマユノとカエノ。


マユノ(速さも…強さも…安定してきた!)

カエノ(行ける!!このまま…押し切れる!!)

エオクシ「すげえ!!すげえぜ!!」

カタムラ「これは…行けますね!」


アヅミナはほほえむ。


アヅミナ(王岩も…

 一流の術師が使えばここまで強くなる。

 あたしの王火とほとんど同じ破壊力。

 …修正する必要があるんじゃない?

 世に出回ってる多くの魔術書を…!)


5回目。

◇ 竜の守護兵に8765のダメージ。

6回目。

◇ 竜の守護兵に8234のダメージ。

7回目。

◇ 竜の守護兵に9159のダメージ。

サヤノは肩で息をしている。

彼女の魔力は底をつき始めていた。

目はうつろになり、足がふらつく。


サヤノ「…どうして…?どうして…?」

マユノ&カエノ「………」

エオクシ「…どういう…ことだ?」

カタムラ「一体…なぜ…」

アヅミナ「…もう潰れても…おかしくない…

 なのに…」

サヤノ「…どうして!!!」


8回目の王岩を撃つ。

◇ 竜の守護兵に6451のダメージ。

それでも竜の守護兵は沈まない。

片膝をついたまま。

王岩を背中に受けて耐え続ける。

決して潰されることなく。

じっと反撃の機会をうかがっている。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ エオクシ ◇

◇ レベル 37

◇ HP   3451/3692

◇ 攻撃

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 防御

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 素早さ

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 35

◇ HP   404/404

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術


◇ マユノ ◇

◇ レベル 36

◇ HP   1176/1181

◇ 攻撃   4★★★★

◇ 防御

18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 装備  蒼天想の魔杖、来陽の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷裂、氷波、王氷

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ カエノ ◇

◇ レベル 35

◇ HP   1084/1103

◇ 攻撃   3★★★

◇ 防御

20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 装備  超放気の魔杖、連星の魔道衣

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷破、雷花、王雷

      氷弾、氷矢

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ サヤノ ◇

◇ レベル 36

◇ HP   953/961

◇ 攻撃   1★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 43★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★

◇ 装備  清化印の魔杖、光心の魔道衣

◇ 魔術  岩弾、岩砲、王岩

      雷弾、雷槍

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ カタムラ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   766/766

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御   9★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力   3★★★

◇ 装備  魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、

     探検用強化研究衣

◇ 魔術  光玉、治療魔術

◇ 秘術  青珠


◇ 持ち物 ◇

◇ 活汁 95、魔力回復薬 80


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ 竜の守護兵(白) ◇

◇ レベル 40

◇ HP   215449

◇ 攻撃

 58★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力  16★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  白竜の長剣、白竜の鎧

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷進、王雷

◇ 秘術  白退、白散

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