第181話 順調
エオクシの防護衣が光る。
光線の当たったところが、青白く。
その光は彼の体を貫通。
後ろの岩にまで当たっていた。
エオクシ「ヤロオ!!!」
壮刃剣を振り下ろす。
竜の守護兵の頭を割った。
◇ 竜の守護兵に9241のダメージ。
エオクシ「どうだ!」
守護兵はその場に倒れ込む。
だが、割れた頭のまますぐ立ち上がる。
エオクシをにらみつけて剣を構える。
エオクシ「…冗談じゃねえ!」
さらにもう一撃。
斜めに大きく剣を振る。
守護兵の鎧を破る。
胸部を深々と裂いた。
守護兵はピタリと動かなくなる。
力なく膝からその場に崩れ落ちた。
◇ 竜の守護兵に11065のダメージ。
◇ 竜の守護兵を倒した。
◇ エオクシたちは戦いに勝利した。
エオクシ「…ふう」
マユノとカエノがエオクシに駆け寄る。
マユノ「エオクシ!大丈夫?」
カエノ「お腹をお見せください」
防護衣には光の跡。
点々と青白く光り続けている。
エオクシ「ちっとばかり熱いが痛みはねえ」
エオクシは防護衣を脱ぐ。
マユノとカエノに腹を見せる。
マユノ「これは…」
カエノ「傷跡が…光っている…?」
早速マユノとカエノは再生魔術の光を当てる。
だが、青白い光は消えない。
マユノはエオクシにほほえみかけた。
不安な空気を打ち消すために。
マユノ「素晴らしい戦いぶりでした。
最初の一撃も。最後の一撃も。
とてもとても軽やかで。
それでいて重みがあって。
素晴らしい技でした」
エオクシ「大したことねえよ」
カエノ「本当に素晴らしかったです」
カエノもほほえみかける。
マユノと2人で再生魔術をかけ続ける。
サヤノはその様子をただ見ていた。
アヅミナの後ろで。
サヤノ(確かにすごかった。
エオクシさんの戦いぶりは。
だけど、それだけじゃない。
エオクシさんの技だけじゃない…)
サヤノはアヅミナを見る。
サヤノ(あの人の…闇の魔術だ…。
アヅミナさんの黒い煙…。
あれが当たったら…
怪物の動きが急に鈍くなった)
サヤノを見るアヅミナ。
サヤノ「!!」
アヅミナ「…行かなくていいの?
傷の手当て…
2人では足りてないみたいだけど」
サヤノ「………」
サヤノはエオクシのところへ駆け寄る。
3人で再生魔術をかけた。
エオクシ「悪いな」
サヤノ「いいえ、これが私の任務ですから」
マユノ「よくなってきた!」
その言葉は気休めではなかった。
傷跡が発する光は次第に弱まっていく。
カエノ「よかった!」
サヤノ「………」
アヅミナの魔病感染。
見ているだけで息が詰まる不穏な煙。
その光景がサヤノの頭から離れない。
サヤノ(恐ろしい人…恐ろしい魔術…。
闇の術師アヅミナ…思っていた以上…。
あの黒い煙が人に触れたら…?
あの人がもしも…私たちと敵対したら…?
これほど恐ろしいことはない…。
何をどうしたら、あんな魔術を使えるの?
光の魔術と闇の魔術は対極の関係…。
傷や病を癒して命を救う光の魔術。
心と体を壊して命を蝕む闇の魔術。
あの人と分かり合えることなんて…
永久にないのかもしれない…)
青白い光は完全に消える。
エオクシの腹は元に戻った。
安心して再生魔術をやめるマユノたち。
エオクシは防護衣を着て話しかける。
倒れた竜の守護兵を見ているカタムラに。
エオクシ「今度こそ聞かせてもらうぜ」
カタムラ「………」
エオクシ「そいつはなんなんだ?」
カタムラ「ええ…」
カタムラはエオクシの方を向いて言う。
カタムラ「…秘術人形です」
エオクシ「秘術人形…?」
カタムラ「魔生体の一種です」
エオクシ「カルスみてえなもんか」
カタムラ「ええ。
ですが、秘術人形は少し違います」
エオクシ「何が違う?」
カタムラ「カルスのような通常の魔生体…
魔術師が魔力を注がなければ動きません。
魔力を注ぐのをやめれば、止まります。
注ぎ続けることで動き続けます。
ですが、秘術人形は独立して動きます」
エオクシ「秘術の力で勝手に動くってことか?」
カタムラ「そうです。はい、そのとおり。
魔力を込めて、秘力でそれを閉じ込める。
あとは魔力を注ぎ続けなくてもいい。
そういう仕組みです」
エオクシ「頭を割っても立ち上がるわけか」
カタムラ「血が通っていませんから。
この遺跡を守るために誰かが作った。
強い魔力を込めて、強い秘力で包んで。
そんなところでしょう」
エオクシ「…そうか」
アヅミナ(遺跡を守るため…?
違う。そんな感じじゃない。
あれは…試すため。
侵入者の実力を試すため。
試すために戦っていた。
あたしにはそう見えた…)
カエノが岩山を指差して言う。
カエノ「あれ!見てください!
何か…赤い光が…!」
山頂から赤く光る液体のようなもの。
溶岩のように岩肌を伝っている。
それは西の方へ伸びていた。
エオクシ「気味悪いな」
カタムラ「示しているのでは…?」
マユノ「どういうことですか?」
カタムラ「おそらくですが、
あの光は我々に道を示している。
次はあちらへ行けと。
あの光にはそういう意図を感じます。
あ…そうだ!!」
駆け出すカタムラ。
エオクシが追いかける。
光術三姉妹がエオクシを追う。
カタムラが向かった先。
それは小さな石板が埋め込まれた場所。
カタムラ「…ほう」
エオクシ「…!!」
石板の1点が赤く光っている。
円形の石板に描かれた正方形。
その4つの頂点のうちの1点が光っている。
カタムラ「我々の探索は…
順調なのかもしれません」
マユノ「この光って…
北の岩山はこれでおしまいだと…」
カタムラ「多分そういうことだと思います。
そして、『次は西へ行け』。
さっきの赤い光は示している」
エオクシ「本当にそうなのか?」
カタムラ「私の推測です」
エオクシ「推測か。まあいいや。
オレにはよく分からねえ。
昔の遺跡のことなんて。
何をどうするかはあんたに任せる。
オレは誰も傷つけさせねえ。
敵は全部倒す。それだけだ」
カエノ「ご自分の体も大事にしてくださいね」
エオクシ「それも分かってる」
マユノ「分かってなさそうだから
忠告してるんですよ」
エオクシ「大丈夫だ。安心しろって」
カエノ「ケガはいくらでも治しますから。
エオクシさんも安心してくださいね」
エオクシ「おう」
カタムラ「素晴らしい思いやり。
素晴らしい信頼関係じゃないですか。
皆さんがいてくれて、私も心強い。
次も張り切っていきましょう」
岩山を下るとアヅミナが1人待っていた。
地面の方をじっと見ている。
彼女の視線の先には赤黒い泥のような塊。
エオクシ「なんだ?それ…」
アヅミナ「溶けた」
エオクシ「…何?」
アヅミナ「怪物の体がドロドロに溶けた。
それで、固まった」
エオクシ「それが…そうなのか…?」
アヅミナ「うん。あたしは何もしてないよ。
ただここで見てただけ」
カタムラ「何か…予感がします」
エオクシ&アヅミナ「………」
カタムラ「大変な仕掛けが施されている。
この巨方庭には。そんな予感がします」
マユノ「気を引き締めていきましょう」
カエノ&サヤノ「はい」
エオクシたちは歩き出す。
山頂から現れた赤い光の筋を目指して。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ エオクシ ◇
◇ レベル 37
◇ HP 3692/3692
◇ 攻撃
49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 壮刃剣、戦究防護衣
◇ 技 天裂剣、地破剣
◇ アヅミナ ◇
◇ レベル 35
◇ HP 404/404
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 装備 大法力の魔杖、漆黒の術衣
◇ 魔術
火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火
氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷
暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、
酷死魔術
◇ マユノ ◇
◇ レベル 36
◇ HP 1176/1181
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 装備 蒼天想の魔杖、来陽の魔道衣
◇ 魔術 氷弾、氷柱、氷裂、氷波、王氷
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ カエノ ◇
◇ レベル 35
◇ HP 1084/1103
◇ 攻撃 3★★★
◇ 防御
20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 魔力
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 装備 超放気の魔杖、連星の魔道衣
◇ 魔術 雷弾、雷砲、雷破、雷花、王雷
氷弾、氷矢
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ サヤノ ◇
◇ レベル 35
◇ HP 953/961
◇ 攻撃 1★
◇ 防御 11★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 清化印の魔杖、光心の魔道衣
◇ 魔術 岩弾、岩砲
雷弾、雷槍
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ カタムラ ◇
◇ レベル 16
◇ HP 766/766
◇ 攻撃 7★★★★★★★
◇ 防御 9★★★★★★★★★
◇ 素早さ
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 3★★★
◇ 装備 魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、
探検用強化研究衣
◇ 魔術 光玉、治療魔術
◇ 秘術 青珠
◇ 持ち物 ◇
◇ 活汁 100、魔力回復薬 100