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アルジ往戦記  作者: roak
175/300

第175話 水面

エミカは話した。

リネが遺してくれたものについて。


エミカ「手紙があったんだ」

アルジ「手紙…」

エミカ「リネさんの手紙が入ってたんだ」

アルジ「どこに?」

エミカ「袋の中。ラアムとナアムと一緒に」

アルジ「どんな手紙なんだ?」

エミカ「私に宛てられた手紙」

アルジ「どんなことが書いてあった?」

エミカ「それが…」


そのとき。

大きな音を立てて卓上に料理の皿が置かれる。


アルジ「うお…!!」

エミカ「…え!?」


皿の上にはゆでた巨大な甲殻類。

真っ赤な殻にぎっしりと白い身が詰まっている。

店員はニンマリと笑う。


店員「とっておきを持ってきました」

アルジ「なんだ?これは」

店員「レンカマクオオアカエビ」

アルジ「エビ…」

店員「凍らせて現地から運んできたものです。

 間違いなく一級品。特別な料理です」

アルジ「いいのか?オレたちが食っても…」

店員「注文したのはあなた方。

 さあ、どうぞ召し上がれ!」

アルジ「うおー!」

エミカ「………」


殻をむいていくアルジ。


エミカ「アルジ」

アルジ「…ああ、ごめん。手紙の話だったな…。

 とりあえず食べないか?これ。熱いうちに」

エミカ「…そうだな」


エミカも皿に手を伸ばす。

殻をむいて食べ始めた。

思わず顔がほころぶ。


エミカ「おいしい…」

アルジ「うまいよな」

エミカ(手紙のことはまた今度話そう。

 リネさんのこと思い出して切なくなった。

 もっと落ち着いて話せるときにしよう)


それから、料理が次々と運ばれてくる。


アルジ「うお!これも頼んだっけ?」

エミカ「頼んだと思う。

 いろいろ注文したから」

アルジ「そっか。腹減ってたしな。食おうぜ」

エミカ「うん」


煮込んだ肉。

焼いた魚。

蒸した野菜。

どれも香辛料が効いていた。

食べるほど味の虜。

次々と皿を空にした。

そして、団子が運ばれたとき。


アルジ「ふう、腹いっぱいだ」

エミカ「私も。これ以上は無理だ」

店員「袋に詰めましょう。

 持って帰って食べてください」

アルジ「ありがとう!」


店員は袋に団子を詰めた。

アルジとエミカは席を立つ。

代金を支払おうとする。

店員が笑顔で食事代を告げた。


アルジ「げっ!!」

エミカ「…どうした?」

アルジ「金が…」


手持ちの金では足りなかった。

エミカがリネの遺した金をすべて出す。


エミカ「これで足りるか?」

アルジ「助かる!」

店員「えっと…少し足りませんね」

アルジ&エミカ「………」


立ち尽くす3人。

店員は思い出して言う。


店員「1品、金を払わなくていい」

アルジ「…いいのか?」

店員「あんたら立て替えてくれただろ。

 猟師やってる、ほかの客の…」

アルジ「ああ、リンスケのことか!」

店員「だから、1品払わなくてもいい。

 ほら、この料理。今日はタダだ!」

アルジ「そうすると…」

エミカ「足りる」

アルジ「よし!」


喜ぶアルジとエミカに店員は尋ねた。


店員「なあ、ところで…

 南国首位猟師はどうなったか知ってるか?」

アルジ&エミカ「………」

店員「リンスケって猟師はどうなった?」

アルジ&エミカ「………」


アルジは悲しげに口を開く。


アルジ「どっちも…死んだよ」

店員「…!!」

エミカ「魔獣にやられたんだ…」

店員「…そうか…。

 店に来る客から聞いてはいた。

 基地の猟師が全滅したと。

 ただ2人の猟師を除いて。

 そして、生き残った2人…。

 そいつらが魔獣を倒したと」

アルジ&エミカ「………」

店員「もしや…!あんたらが…」

アルジ「…そうだ」

店員「!!」

アルジ「オレたちはこれからも魔獣と戦う。

 すべての古代獣を倒すつもりだ」

店員「古代獣…?」

エミカ「強い魔獣のことです。

 大陸各地で人を襲っているようです」

店員「信じられない…。

 そうか、そういうのと戦っているのか…。

 頑張ってください。

 そして、どうかご無事で」

アルジ「ありがとう」


アルジは店員に尋ねてみる。


アルジ「なあ…」

店員「…ん?」

アルジ「古代獣がノイ地方にも出たらしい。

 何か…知ってるか?」

店員「さあ、ちょっと知らないね」

エミカ「ここからノイ地方に行くには

 どうしたらいいですか?」

店員「船がいいでしょう。

 港町ユシノギから毎日出ていますよ」

アルジ「その町はここから近いのか?」

店員「いや、遠いです。

 歩くと20日はかかるでしょうね」

アルジ「20日か…」

エミカ(ラアムとナアムでも3日はかかる…)

アルジ「船にはどれくらい乗ることになる?」

店員「長旅ですよ。2、3日は乗らないと…」

アルジ「2、3日…」

店員「しかも、金がかかる」

アルジ「いくらかかる?」

店員「今日のお代の倍は下らないかと…」

アルジ&エミカ「………」

店員「本当に遠いところですから」

アルジ「そうみたいだな。

 よく分かったぜ。ありがとう」


店員を呼ぶ客の声。


店員「はーい!今行きますよ」

アルジ「それじゃ」

エミカ「さよなら」

店員「はい、またぜひ!」


アルジとエミカは店を出る。

大通りを歩きながら話した。


アルジ「どうするか…」

エミカ「………」

アルジ「金はなくなったし、

 行きたい場所は遠過ぎる…」

エミカ「懸賞金…。

 せめて懸賞金がもらえたら…」

アルジ「ああ、そうだ。

 一体どうなってんだ?

 いつ持ってくるんだ?」

エミカ「このままだと宿に泊まるお金もない」

アルジ「野宿はごめんだぜ」

エミカ「大陸猟進会のお世話になろうか」

アルジ「それしかないか…」

エミカ「…うん」


穏やかな昼下がり。

たくさんの人とすれ違い、歩く。

エミカは提案した。


エミカ「公園に行こう」

アルジ「公園…」

エミカ「こんなときは心を落ち着けるんだ。

 また池の周りを歩いてもいいし

 どこかで座って休んでもいい。

 冷静に考えるにはここは賑やか過ぎる」

アルジ「そうだな」


公園に行く。

人の姿はまばら。

アルジとエミカは話し合う。

大きな池の周りを歩きながら。


アルジ「どうするか…」

エミカ「私たちには時間がない。

 これから何日もかけて移動するなんて…

 いつ魔真体が目覚めてもおかしくないのに」

アルジ「確かにそうだ。

 ゆっくり船に乗ってる場合じゃないぜ。

 古代獣は諦めてラグアとロニを探すか」

エミカ「うん、その方がいい気がする。

 …町で聞き込みしようか」

アルジ「そうするか」

エミカ「…あ」

アルジ「どうした?」


エミカは指差す。

その先には1脚の長椅子。

池の近くにポツンと置かれている。

誰も座っていない。


エミカ「座って少し休まないか?」

アルジ「ああ」


アルジとエミカは並んで座る。

目の前には大きな池。

日の光を受けて輝く水面。


アルジ&エミカ「………」


池の向こう側には遊歩道を歩く人々の姿。

穏やかな昼下がりの光景が広がっている。


アルジ(こうしてると…

 なんだか魔獣退治も異大陸の話も…

 全部嘘だったような気がしてくる)


池の中を泳いでいた1匹の魚が跳ねる。

それを見てアルジはふと思い出す。


アルジ「そういえば…」


アルジはエミカの方を見る。


アルジ「なあ、エミカ。

 さっき言ってたリネの手紙って…」

エミカ「………」


エミカは座ったまま眠っていた。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   3603/3603

◇ 攻撃

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 防御

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 魔力  13★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   1883/2234

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15

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